|PROFILE
加賀美 太記 教授

2021年に阪南大学流通学部に准教授として入職しマーケティングを専門に学びを展開。また、初年次教育や学生支援にも深く関わる加賀美先生。理論を軸に学ぶゼミを運営する一方で、学生一人ひとりと丁寧に向き合う。
記者:
先生は阪南大学に長く関わられているそうですね。

加賀美先生:
そうですね。専任教員としては6年目ですが、大学院生時代に非常勤講師として授業を担当していたので、通算だと10年になります。

記者:
長く見てこられた中で、阪南大学生の印象はありますか?

加賀美先生:
関西、大阪らしい明るさがありますね(笑)。
でも、意外と真面目なんです。
ちゃんと勉強に向き合おうとする姿勢は感じますし、教員との距離もかなり近い大学だと思います。

記者:
距離が近いからこその特徴もありそうですね。

加賀美先生:
ありますね。
親しいからこそ、緩い雰囲気になってしまうときもありますが、距離が近い分だけ学生に向き合う教員が多いですね。
たぶん、大学の全体の雰囲気が、そうさせているのではないかと思います。

「まずは、“大学に来るのが楽しい”から」

まずは、“大学に来るのが楽しい”から。 そして、泥臭く、丁寧に向き合う

記者:
先生は初年次教育にも関わられていますよね。

加賀美先生:
はい。経営学部はもともと元気で明るい学生が多いので、まずは友達や知り合いを作れる環境を整えることが大事だと思っています。

いきなり授業を始めるより、アイスブレイクをして、自己開示できる雰囲気を作るところから始めるように心がけていますね。


記者:
“学び”より前に、“環境づくり”がある。

加賀美先生:
そうですね。
大学に来て、「ここ楽しいな」と思えることってすごく大事なんです。
その中で、先輩学生であるSA(Student Assistant)の存在も大きいですね。
グループに馴染めない学生に自然に声をかけたり、留学生ともすぐ打ち解けたり。本当に助けられています。

記者:
離学者対策でも、そうした人間関係づくりを重視されているんですか?

加賀美先生:
かなり大きいと思っています。
大学で話せる人がいる、大学に行けば楽しい。そう思えることって、継続につながるんですよ。
だからこそ、初年次でどれだけ環境を作れるかが重要だと思っています。
それでも馴染めない学生には、教員が面談したり、ゼミで声をかけたり。泥臭く、丁寧にやっています。

最初から、ハードルを上げすぎない

記者:
授業づくりで意識していることはありますか?

加賀美先生:
最初からハードルを上げすぎないことですね。
目標が大きすぎると、その時点で学生は嫌になってしまうことがあるので。
その学生の状況や力に合わせて、少しずつ目標設定をしていくことを意識しています。

記者:
経営学部ではフィールドワークも多いですよね。

加賀美先生:
そうですね。初年次教育では企業訪問やグループワークも多く取り入れています。
90分座って講義を受けるのがしんどい学生もいますから。
ただ、最終的には社会で必要になるのって、“座って考える力”でもあるんです。
だから学年が上がるにつれて、テキストを読む時間を増やしたり、調べたり考えたりする力を養う方向にシフトしていきます。

学生を、“一人の人”として見る

記者:
先生が学生と向き合う上で、大切にしていることは何ですか?

加賀美先生:

学生を“一人の人”として対等に扱うことですね。

自分自身、大学や大学院で出会った先生方にそう接してもらった経験があって。その背中を追いかけている部分もありますし、次の世代への恩返しでもあると思っています。

記者:
学生を見る時に意識していることはありますか?


加賀美先生:
一面的に評価しないことですね。
勉強が得意じゃなくても、それぞれに光る部分や強みがある。
だから、ちゃんとリスペクトを持って接したいと思っています。

“学び”に火がつく瞬間

記者:
加賀美ゼミでは、マーケティング以外の卒論テーマも認めているそうですね。

加賀美先生:
はい。やっぱり、自分が興味を持てないテーマって続かないと思うんです。
だから、学生自身が「これをやりたい」と思えるテーマを大事にしています。マーケティングに限らず、自分の関心から出発した方が、結果的に良い研究になることが多いですね。

記者:
学生の成長を感じる瞬間はありますか?

加賀美先生:
ありますね。
卒論を読んでいて、「一段深く考えられているな」と感じた時とか。
こちらの期待値を超えてくる瞬間は、この仕事をしていて本当に嬉しいです。

記者:
先生ご自身は、“学ぶこと”が好きだったんですか?

加賀美先生:
そうですね。僕自身は、勉強が好きだったので研究者の道に進みました。
でも、本学の学生全員が最初から“勉強好き”なわけではないと思うんです。
だからこそ、「この学びって面白いかもしれない」「人生に役立つかもしれない」って、少しでも感じてもらえる授業にしたいと思っています。
最初は興味がなかった学生でも、何かひとつ引っかかるものを見つけて、自分から深く考えるようになる。
そういう瞬間に立ち会えるのが、この仕事の面白さですね。

挑戦の現在地

記者:
先生にとって、今の「挑戦の現在地」とは?

加賀美先生:
研究ですね。
教育、大学運営、研究。この3つをバランスよくやることを大事にしていますが、もっと腰を据えて研究したい気持ちもあります。

特に、コロナ禍を通して感じた“人とのつながり”ですね。
人と人との関係性が、マーケティングだけじゃなく、社会そのものにも良い影響を与えると思っていて。
その部分を、これからもっと深く研究していきたいと思っています。

Editor's Note

取材を通して印象的だったのは、加賀美先生が学生一人ひとりを「一人の人」として尊重されていることでした。
インタビューの中で、「学生を対等に扱うことを大切にしている」とお話しされていましたが、その言葉の端々からも、相手を一面的に判断せず、それぞれの個性や強みに目を向けていることが伝わってきました。
また、その考え方の背景には、先生ご自身が学生時代や大学院時代に出会った恩師の存在があることも印象的でした。自分が受け取った学びや経験を、今度は次の世代へ返していく。その姿勢には、教育者としての温かさと責任感が感じられます。
学生の可能性を決めつけず、その人なりの成長を信じて向き合う。加賀美先生のお話を伺いながら、私自身も相手を一面的に見るのではなく、その人の良さや可能性に目を向けられる人でありたいと感じました。