2026年3月9日、阪南大学 経営学部の安城ゼミ・千島ゼミは、企業連携プロジェクトとして実施したマーケティング調査の成果報告会を行いました。本プロジェクトは、昨年 11月2日・3日に開催された阪南大学緑松祭において、香料メーカーである塩野香料株式会社と連携し実施した調査活動をもとにしたものです。
緑松祭での調査では、現在の人気商品トレンドを踏まえて選定した複数の香水を対象に、ブランド名やボトルデザインといった先入観を排除した「ブラインド嗅覚テスト」を実施しました。これは、香りそのものに対する印象や受容度を純粋に把握するための調査方法で、10代〜20代の若年層が新しい香りをどのように感じ取り、購買意識にどのような影響を受けるのかを探ることを目的としたものでした。
 
今回の報告会では、学生たち独自で香水商品のマーケティング実態を調査し、ブラインド嗅覚テストの結果と実際の商品がどのように市場展開されているか、について議論しました。特に、香りの評価が予想とは異なる結果となった場合、その意外なデータをどのように解釈し、市場ニーズから乖離しない形で商品開発に活かしていくべきかという点が重要なテーマとなりました。

報告後には、塩野香料株式会社の岡本様より、香料メーカーとしての実務経験を踏まえた質問やアドバイスをいただき、学生たちは実際の製品開発やマーケティング調査においてデータをどのように活用していくべきかについて理解を深める貴重な機会となりました。

学生活動状況報告

【参加した両ゼミ生のコメント】

・今回のブラインド嗅覚テストでは、同じ香りでも年齢層や使用シーンによって評価が大きく変わることを知りました。例えば、若年層では人気が低かった香りが、30代以上では高い評価を受ける場合もありました。これは香りの好みが個人の経験や生活環境と結びついているためだと感じました。ブランドやパッケージの影響を排除して調査したことで、普段は見えにくい純粋な嗅覚の評価を確認できたことが大きな学びでした。
 
・今回の活動では、企業が商品を開発する際にどのように消費者の感覚を分析しているのかを具体的に知ることができました。特に、ブラインドテストの結果と実際の市場で人気のある香水のマーケティング戦略を比較することで、商品が売れる理由には香りの要素と印象の結びつきだったり、当然ながらプロモーションの影響やどこで買うことができるかという情報も岡本様の説明を聞いて気づくことができました。商品の価値には、複数の要素が理由がある状態で組み合わさっていることを確認し理解できました。
 
・調査結果の中に予想外の評価が含まれていることについて、企業の方から「その結果をどのように商品開発に活かすか」という視点のアドバイスをいただきました。私たちは当初、予想と違う結果は失敗のように感じていましたが、企業ではむしろ新しい市場ニーズを発見する手がかりになると教えていただきました。この経験から、マーケティング調査では結果そのものよりも、その意味をどのように解釈するかが重要であると感じました。

教員コメント

経営学部 経営学科
安城 寿子 教授

学生のプレゼンは、しばしば近視眼的・自己満足的な内容に陥りがちですが、今回は香料の実務に携わっておられる岡本様から実践的視点に基づくご意見をいただけたことで、大きな学びの機会となりました。学生たちには、何を対象とするにしても、製品や業界の特性と現状を十分に理解しないまま議論すると的外れになり得ることを実感してもらえたと思います。例えば、「ディオール」や「シャネル」はラグジュアリーブランドに違いありませんが、香水の価格に着目すると近年のフレグランス専門メゾンほど高額とは限らず、相対的に捉える視点が重要です。さらに、「これは売れる」「ビジネスチャンスがある」といった主張を展開する際には、その根拠となるデータや資料について「誰がどこで言っていることなのか」を明示し、それが信用に足るものかを判断する姿勢を身につけてほしいと考えています。

連携先コメント

塩野香料株式会社 岡本ひかる様

昨年11月に実施したブラインドによる嗅覚テストについて、学生の皆さまと結果を共有する報告会を行いました。私からは調査結果の報告を行い、その後、学生の皆さまには実際に香水売り場を訪れたうえで考えた売り方や視点について発表していただき、意見交換を行いました。実際に店舗に足を運び、売り場の構成や接客から得た情報を踏まえて考察されていた点から、主体的に取り組まれている様子が印象的でした。普段、香りのマーケティングに携わっている立場として、学生の皆さまが各香水をどのような視点で捉え、どのような売り方を考えたのかを知ることは、私自身にとっても非常に興味深い経験でした。香りのマーケティングは、香りそのものだけでなく、コンセプト、パッケージデザイン、価格、文化的・歴史的背景など、多くの要素が複雑に絡み合う分野です。「なぜこのブランドはこの売り方をしているのか」という問いは、経験を重ねた今でも、日々向き合い続けています。今回の調査や発表を通じて、香りのマーケティングの難しさと同時に、その面白さに触れ、学生の皆さまにとって何かしらの気づきや刺激につながっていれば幸いです。