産官学連携先:KCI京都服飾文化研究財団
本ゼミでは、香水をテーマとした実践的な取り組みを継続しており、今年で3年目を迎えました。当初は試行錯誤の連続でしたが、活動は少しずつ具体的な形になりつつあります。

その成果の一つとして、昨年ゼミで制作した香水について、ボトルやラベルのデザインを具体的に検討する段階まで進み、ゼミ内で企画コンペを行った結果、3年生の井上和奏さんの案が1位に選ばれました。井上さんが考案した香水のネーミングは「Mon Sona」という造語で、「Persona」という言葉を意識しつつ、「私を新しく変える仮面」といった意味合いを込めたものです。

さらに、ラベルデザインについてもゼミ内コンペを実施したところ、フォントの使い方に工夫を凝らした井上さんの案がこちらでも1位となり、現在はラベルの印刷まで進んでいます。今後は、制作した香水を実際にボトルへ充填するボトリング作業を行い、4月には完成した形として披露できる見込みです。


一方、2年生の取り組みとしては、香水づくりと並行し、デザインの重要性について理解を深めることを目的として、ラベルデザインに関する課題に取り組んでもらいました。具体的には、3年生の井上さんが考案した「Mon Sona」というネーミングを引き継ぎ、これを「アール・デコ」様式を意識したラベルデザインとして表現するとしたらどのようなものになるかを考える、という課題です。

しかし、経営学部には美術やデザインに関する専門科目がないこともある、そもそも「アール・デコ」という様式について十分理解していないゼミ生も少なくないため、まずは事前学習として、

三菱一号館美術館で開催されていた「アール・デコとモード」展の事例を参考にしながら、その特徴や背景について理解を深めました。アール・デコは、香水を中心に語られる際、ルネ・ラリックのボトルデザインが中心になることが多く、タイポグラフィや幾何学的な構成といった重要なデザイン要素が見過ごされがちですが、実際にはこうした要素こそがアール・デコの大きな特徴の一つでもあります。そうしたポイントをしっかり踏まえた上で、グループに分かれてラベルデザインに取り組みました。


各グループのデザイン案を見ると、ラリックの造形にとらわれることなく、アール・デコの特徴を理解しようとする姿勢が見られました。今後の制作活動への発展が期待されます。

学生活動状況報告/浅井颯太(2年)

 
今回の課題に取り組むまでは、アール・デコと言われてもアール・ヌーヴォーとの違いがよく分かっていませんでした。しかし、事前学習として展覧会で紹介されていたさまざまな事例を見ることで、幾何学構成や字体の図案化など、アール・デコの特徴が少しずつ理解できるようになりました。今回のデザインではフォントの選択にもっとこだわりたかったのですが、時間が足りず十分に厳選するところまでできなかった点が心残りです。KCI学芸員の筒井様のフォントに関するご意見を拝見し、「やはり…」と思いました。もし来年度も機会があれば、今回の案を修正して完成度を高めてみたいと思っています。 

教員コメント

経営学部 経営学科
安城 寿子 教授

経営学部では、デザインについて体系的に理解する機会は必ずしも多くありませんが、今回の課題はゼミ生にとってその重要性を実感するよい機会になりました。最終課題としてグループで制作したラベルのデザイン案について、「アール・デコとモード」展の企画に携わられたKCI(京都服飾文化研究財団)学芸員の筒井様からご意見を頂くことができたことも、ゼミ生にとって大きな刺激となったように思います。いただいたご意見をゼミ内で共有し、今後の課題について考える貴重な機会となりました。この場を借りて、筒井様に心より感謝申し上げます。

連携先コメント

KCI京都服飾文化研究財団
学芸員 筒井 直子 氏

一般的によく言われるアール・デコ期の「幾何学的、直線的」という印象のみに陥らず、どのグループもシンプルかつ洗練されたイメージに仕上げられていると思います。また、過剰な装飾をそぎ落としたアール・デコ期の意匠に通ずる要素を備えつつも、現代に相応しく馴染みやすいデザインになっていると感じました。あえて言うならば、使用フォントが1950年代以降のものを使用しているグループが多く、ややもったいない印象を受けました。その点では、Eグループは、当時のフランスによくみられる手描きのタイポグラフィを意識したフォントを使用しており、時代の雰囲気がよく表現されているように思います。