ファッションというと、どうしても店頭に並んでいる商品やファッションショーなど「最終形態」に目が行きがちですが、それが生み出される過程に、どのような企業や技術が関わっているのかを理解することも非常に重要です。
こうした裏側を知ることが、ファッションをより広く深く学ぶことにつながります。
   
写真右:工場内の衛生管理は徹底されているため、見学の際は全員が専用のクリーンスーツに着替えて行いました。
安城ゼミでは9月16日、千島ゼミと合同で香料メーカー・塩野香料株式会社の工場を訪問し、「抽象を具体化する」というプロセスを体感する機会を得ました。
塩野香料株式会社は1808年(文化5)創業の長い歴史を持ち、食品や化粧品などに欠かせない香料を研究・製造・販売している企業です。事業はフレーバー(飲料や菓子向け)、セイボリー(加工食品や調味料向け)、フレグランス(化粧品や日用品向け)の三部門に分かれており、学生たちはそれぞれの特徴について説明を受けた後、実際の製造工程を間近で見学しました。
さらに、一人ひとりがコーラのフレーバー調合に挑戦し、イメージした香りを実現する難しさと技術の奥深さを実感しました。
今回のフィールドワークは、ファッションと香りという一見異なる分野を結びつけながら、ブランドづくりへの理解を深める貴重な機会となりました。

教員コメント

経営学部 安城 寿子

多くのファッションブランドが、自らの世界観を表現するものとして香水を展開しています。
色や形と並んで、香りはブランドの印象を決定づける重要な要素です。例えば「甘い香り」といっても、フローラル系かフルーティ系か、あるいはグルマン系かによって、全く異なるイメージが生まれます。
今回の見学を通して、ゼミ生たちは香料が実際にどのように製造されているのかを知るとともに、思い描いた香りをそのまま再現することの難しさと面白さを実感しました。

学生活動状況報告

「香料」という大きな括りの中にはさまざまなジャンルがあり、それぞれの部門で消費者のニーズに応える香りを生み出すために、日々さまざまな努力が行われていることを体感できた一日でした。
実際にコーラのフレーバーを調合する場面では、なかなかうまくいかず、1滴垂らすと嫌な匂いになるのに、もう1滴垂らすとよい匂いになるなど、試行錯誤の連続でした。そうした試行錯誤を経て、思い描いた通りの製品が実現するのだということを理解することができました。


経営学部2年 小原 大和

実際に工場を見学し、どのように製品が作られているのかを目の当たりにし、貴重な体験ができたことを非常にありがたく思っております。特に印象に残ったのは、コーラの香料を調合する体験です。どの香料を多く加えるかによって全く異なるものになり、友達のものと比べてみると、その違いがさらによく分かりました。
一つ質問があり、多くの企業がコロナ禍で影響を受ける中、塩野香料様にはどのような影響があり、それをどのように乗り越えてこられたのかを伺ってみたいと思いました。

経営学部2年 中原 星李