「アート」というと、非常に特殊なジャンルだと思う人が多いかもしれませんが、アートもまた商業の一つです。それぞれの作品には価格があり、何というアーティストがいつ頃どういう技法で制作したどれくらい有名な作品なのかで価格は変わってきます。アーティストの評価が変われば、作品の価格も変動します。

価格はピンキリで、高額なものになると1億円以上する場合も少なくありません。有名な例として、1987年には、東京海上(現損保ジャパン日本興亜)がゴッホの≪ひまわり≫を58億円で落札するということがありました。

今回は、そんなアート市場について理解と考察を深めるフィールドワークとして、8月6日と9月1日の2回に分けて、あべのハルカス美術館見で「深堀隆介」展の見学会を行いました。深堀隆介(1973~)は、透明樹脂の上にアクリル絵の具を使って何層にも金魚を描きこんでいくという独自の技法による「2.5Dペインティング」(2.5D=2次元と3次元の間)で知られる作家です。小難しい説明はぬきにしても、単純に「かわいい」「涼し気」な視覚的インパクトで鑑賞者を魅了する作品群と言えるでしょう。
   



 
2000年代に、深堀が東京のラフォーレ原宿のH.P.FRANCE(アッシュペーフランス)で一升桝の中で泳ぐ金魚の作品を販売していた時、その価格は1万円だったそうです。それが現在ではいくらになっているのか?後期のプレゼミでは、深堀をふくむ現代アート作品の価格相場を調査し、2ゼミ合同でグループプレゼンテーションを行ってもらう予定です。

【おすすめ参考図書】
ダニエル・グラネ、カトリーヌ・ラムール『美術の経済——“名画"を生み出すお金の話』鳥取絹子訳、宮津大輔解説、紀伊國屋書店、2015年。