産学連携先:タイ国政府観光庁大阪事務所

 2023年度において清水ゼミではふたつの連携先と共同研究を行いました。そのうちのひとつである「タイ国政府観光庁(TAT)大阪事務所」に訪問し、2024年2月27日に研究の成果を聞いていただきました。
 ゼミ活動を振り返ってみたいと思います。最初に研究テーマを自分たちで見出すことから始めました。そのためにタイの観光戦略、観光政策、観光データ、旅行会社のタイ旅行の商品開発など、タイの周辺状況を調査することで、現状の課題を見つけ出す作業を行いました。タイは世界でも有数の観光立国であり、観光庁の設立も1960年ということで、観光に関してかなり早い時期から国家レベルで取り組みがなされている国です。そのような背景から観光プロモーションに関する課題を見つけ出すのは容易ではありませんでした。何か今までにないプロモーションを考えたいということで、試行錯誤の中、チームメンバーが全員男性だったこともあり、「男子旅」というテーマにたどり着きました。このテーマはTATではまだフォーカスされていませんでしたので、面白いのではということになり研究を進めることにしました。男子学生へのアンケート調査や9月にタイに行き現地調査も実施しました。男子でもホテルのクオリティを重視したい、こだわってショッピングをしたいというニーズもあることがわかり、学生男子旅のツアープランも作成しました。
 報告会では現在のTATのウェブサイトではまだカテゴリーに入っていないこのテーマを可能性があると評価していただきました。TATのみなさまには大変お世話になりました、心よりお礼を申し上げます。
(清水苗穂子)

学生活動状況報告

「ゼミ活動最終報告」 国際観光学部3年 松井 楓馬

 約1年半TATと連携して、タイフェスティバルのイベントスタッフや企業研究でタイについてたくさんのことを学びました。初めは何を研究テーマにすればよいのか、自分たちはタイについての知識が浅いことから、研究は思うように進みませんでしたが、9月にタイに訪問したことで、タイ現地の情報やタイ研究に関する意欲が増してきて進めることができました。
 タイを訪れるまでのイメージは、ムエタイが有名で仏教徒が多い国で発展途上国だということくらいしか知識がありませんでしたが、実際に訪れると僕たちの想像を遥かに上回るほど、バンコクの街並みは賑やかで大阪や東京に引けを取らない大都市で、新しい建物やショッピングセンターがたくさんありました。当然ですが、実際にバンコクに行かないと知る事ができなかったことで、タイに訪れる観光客を増やすにはこの事実を伝えないといけないと感じました。またタイ訪問経験者のリピーター率が高いが理由が少しわかりました。
 春休みになると研究発表が近づいて毎晩2時間ほど資料作成や発表準備を行いました。企業に発表することによって研究内容を深く学ぶことができ、今まで企業に研究を報告するという機会もなかったので、とても貴重な経験をすることができて良かったです。ひとつの国についてここまで深く学んだのは初めてで、TATのみなさんから発表を褒めてもらえたことは本当に自分の自信になりました。
 この研究での経験は今後社会に出てからも働く場面で活きてくると思うので、ひとつの研究を成功させる事ができて良かったと感じています。TATのみなさま、本当にありがとうございました。

「これまでの研究を通して」 国際観光学部3年 村木 翼

 最初TATについて研究する事で何をすればいいのか、そして元々タイについてあまり知らない状態で研究ができるのかと思っていました。最初はタイの事をなにも知らないのでタイについて調べていきました。そもそもタイが観光で人気の国ということを知らず、タイフェスティバルのサポート活動をしたときに、タイのファンがとても多くいることを知り、そしてタイ航空の方やTATの方、イベントに参加した方々と交流し、タイの魅力を知ることができました。そこから最初はタイの食文化で観光客を増やすという形で勧めていきましたが、なかなか上手く研究が進まず、その時にTATのHPを確認すると女子旅はあるが男子旅というものが無いことに気づき、そこで男子学生に旅行してもらうという方向性で研究を進めていきました。
 そして実際にタイに行き、自分が想像している景色と全く別物でした。街並みは日本より都会のネオン街で、自分が思ったようにほかの学生も田舎と思っている人が多いのでそこを変えていこうと、様々な企業の資料や学生にアンケートを取るなどし、実際に行った経験を通して男子が楽しめるプランを考え、それを実際にTATの方々に報告しました。あまり時間が取れなかった研究だが、それでもTATの方々に良い評価を貰えたことがとてもやってきて良かったと思いました。この研究を通して自分の偏見でその国のイメージを決めるべきではなく、情報を流しそれを知ることが大切だと感じました。

「TATチームの動向と報告」 国際観光学部3年 林 宏樹

 我々3人は、タイへの旅行者数を増やし、興味を持ってもらう人を増やすための戦略を立てることを目指して、研究結果をタイ国政府観光庁(TAT)に発表し、提案しました。それがTATチームです。
 最初はタイの6月から10月の雨季である「グリーンシーズン」に焦点を当て、訪タイ日本人旅行者の年間数を調査しましたが、データが不足していたため、研究が難航し、断念しました。次に、タイの食文化の魅力を日本人に伝えることで旅行者数を増やすことを考えましたが、こちらも根拠となるデータが不足していたため、断念しました。その後、タイ国政府観光庁のホームページからヒントを得ることにしました。サイトを詳しく調査した結果、テーマごとに分類されたカテゴリーに「女子旅」がある一方で、「男子旅」がないことに疑問を感じました。そこで、男性をターゲットにした「男子旅」のカテゴリーをホームページに掲載することで、男性のタイ旅行者数の増加につながると考えました。そして、タイ国政府観光庁のホームページにこのカテゴリーを掲載することを目指して活動しました。
 最初に、男子旅の男子を18〜25歳の男子学生と定義し、以下の項目をPowerPointにまとめました。①旅行サイトからオーストラリアやニュージーランドにある男性をターゲットにしたツアーを提示し、事例を示しました。②3つのサイトから日本人に人気のある旅行先トップ10と、2社のサイトからアジア圏の学生の卒業旅行の人気を調査し、アジア圏での人気順位が1位韓国、2位台湾、3位タイであることを発見しました。③私たち自身で男子学生のみを対象にした簡易的なアンケートを行い、約100人の学生からの協力を得ました。アンケートの結果、タイに興味を持っている学生が約6割、興味がない学生が約2割、どちらでもない学生が約2割でした。④②と③の結果をまとめて、男子学生のタイ旅行への需要の有無をまとめました。⑤次に、チームの2人がタイに赴き、男性の視点で景色やショッピング、歴史的建造物などを調査しました。その調査結果をチームの提案する3泊5日のスケジュールの例に組み込むことにしました。⑥資料の総括では、タイ国政府観光庁のホームページで男子旅の情報を載せることで、観光客数の増加につながるとまとめました。
 そして、2024年2月27日(火)、発表を聞いていただいた観光庁の方々からは面白い視点であると賞賛の言葉をいただきました。

連携先コメント

タイ国政府観光庁大阪事務所
平田様

 「男子旅」というターゲット設定が目新しく、自身のタイ渡航の経験を踏まえたアイデアが多く含まれていてとても興味深い発表でした。前時代的な男性が求めるスタイルではなく、現役学生に特化した「男子旅」を追求すべく彼らの真のニーズや意見をくみ取り、それを形にすることができれば、より良い旅行喚起になるかと思います。素敵なアイデアを共有して頂きありがとうございました。