塩路ゼミ3年生が吹田市片山でまち歩き

国際観光学部 塩路研究室3年生が、5月10日に吹田市片山エリアを初めてまち歩きしました。今年度も、本学キャリアゼミ活動として、吹田歴史文化まちづくり協会と連携し、吹田まち案内人の方々にまち歩きガイドのご協力をいただきました。今回は3年生が片山エリアを歩いて感じたことや考えたことについて報告をします。
  

学生活動状況報告

吹田のまちを歩く

− 過去と未来が交差するフィールドワーク−

国際観光学部3年生 永田 雄真
 
 今回のフィールドワークでは、大阪府吹田市を対象にJR吹田駅から阪急豊津駅までの片山コースを歩き、地域における歴史的遺産や産業、信仰、教育施設などの現地観察を通じて、都市空間に多様な文化や価値がどのように共存しているかを考察しました。
まず訪れたのは、JR吹田駅近くに位置するアサヒビールの工場です。近代的な外観が印象的でありながら、吹田がかつて鉄道の発展とともに工業地帯として成長してきた歴史を感じることができました。明治時代から続くこの地の産業の流れを思い浮かべると、単なる建物以上に、地域の発展を支えた存在であることに気づかされました。
次に立ち寄ったのは、住宅地の中に静かに佇む片山神社です。参道には木々が並び、都会の中とは思えないほど落ち着いた空間で、華美ではないが丁寧に手入れされた社殿や、地域の祭りのための神輿などがあり、この神社が今も地域コミュニティの精神的な支柱であるのではないかと考えました。吹田のような都市でも、こうした伝統的信仰の場が今も息づいていることに心を打たれました。
さらに、大和大学の周辺では、比較的新しい建物や学生の姿が目立ち、近年の都市開発の一環として教育機関が果たす役割について考える機会となりました。地域に若者が集まることで街に活気が生まれ、新たな文化の形成にもつながっているように思えました。
また、ルートの途中で訪れた大阪ハリストス正教会では、東方正教会の伝統的なイコン画が印象的でした。壁一面に並ぶ平面的な聖人像は、写実主義とは異なる独特の美しさを持ち、神秘的な雰囲気を醸し出していました。イコンは、聖なる存在を象徴するものであり、信仰の対象として重要な役割を果たしています。教会内では、訪れる人々がイコンの前で静かに祈りを捧げており、都市の喧騒の中にあっても心の平穏を求める場として機能していることが感じられました。
 今回のフィールドワークを通して、吹田という地域が、過去の産業遺産や信仰、そして未来を担う教育といった異なる領域を重層的に内包しながら形成されていることを実感しました。それぞれが独立して存在するのではなく、互いに影響を与えながら共存している様子が街の随所に表れていました。普段は見過ごしてしまいがちな場所に立ち止まり、自分の足で歩き、目で見て、空気を感じることで、初めて気づくことが多くありました。今後は地元の人々の声にも耳を傾けながら、地域の重層的構造の在り方についてさらに考えを深めていきたいと思います。
 


  

吹田の記憶を辿る

〜吹田・片山コース散策〜

 国際観光学部3年生 菅 莉々子
 
 私たち塩路ゼミ3回生は、2025年5月10日に吹田市を訪れました。ゼミのメンバー4人と、吹田まち案内人の方2人と一緒に、片山コース(約5キロメートル)を散策しました。
JR吹田駅の東出口を出ると、すぐ隣に広大なアサヒビールの工場がありました。1889年に建てられたアサヒビール吹田工場は現在では建て直されていますが、当時の赤煉瓦造りの建物が一棟だけ保存されています。かつては多くの赤煉瓦建築が並んでいたそうですが、この一棟にも煉瓦をただ積み上げるだけでなく、壁面に美しい装飾が施されており、当時の面影を感じることができました。
大和大学の近くまで進むと、周辺にはカフェや服屋が立ち並び、賑わいを見せていました。さらに進んでいくと、「アサヒビール先人の碑」と「迎賓館」がある場所に到着しました。ここには、アサヒビールの創業100周年を記念して昭和63年に建立された記念碑があり、創業以来の先輩社員や、アサヒビールを取り扱ってきた卸業者・飲食業の関係者などが祀られているそうです。その象徴として、2本の柱が建てられていました。
次に訪れたのは旭神社です。ここでは、太陽の女神である天照大神をはじめ、商売繁盛・家内安全の伏見大神、酒造の神である松尾大神、健康・医薬の少彦名大神、農業・医薬の神農大神が祀られているとのことでした。旭神社を抜けて片山神社へと向かい、階段を上った先には、長い山道が続いていました。
片山神社の拝殿に到着すると、拝殿の前には「祈願桃」と呼ばれる桃の石像がありました。その周囲には干支が刻まれていて、桃は古来より災難を払う果実とされてきました。神話では、桃の精霊の力によって災いを退け、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が片山神社のご祭神である素戔嗚尊(すさのおのみこと)をお生みになったという意味も込められているそうです。また、まち案内人の方によると、片山神社は初詣にも人気があり、正月には大きな絵馬が飾られ、それを写真に撮って年賀状に使う地元の方も多いそうで、地域に根ざした神社であることを知ることができました。
片山神社を出ると、すぐ近くにある片山公園に案内されました。距離は近いものの、予想以上に急な坂道が続き、見た目以上に傾斜がきつく感じました。公園内には満開でとても美しいバラ園や「平和と健康の鐘」のモニュメントがありました。この記念碑は、「すこやかでこころふれあう文化のまち」づくりを目指して設置されたもので、吹田市の地形を模した2つの構造物が支え合い、その間に鐘が設置されていました。多くの人々に親しまれ、愛されている公園であることが感じられました。
その後、大阪ハリストス正教会を訪れました。この教会は、もともと日露戦争で戦没したロシア兵を慰霊する目的で、ロシアからの献品や献金によって建てられたそうです。窓には美しいステンドグラスが施されており、荘厳な雰囲気が漂っていました。
阪急豊津駅を通り過ぎ、かつて天井川であったことを示す上の川旧水路跡にも立ち寄りました。川が周囲よりも高い位置に流れていた時の様子が感じられ、興味深かったです。
そして、今回の散策の最終目的地である式内大社・垂水神社に到着しました。長い階段を上っていくと、周囲は深い緑に囲まれ、空気が澄み渡っていました。この地は弥生時代の住居跡であることが判明しており、飛鳥時代から奈良時代にかけては、山から水が垂れ落ちる「垂水の滝」が名所となっているそうです。滝は現在も残っており、歴史の流れを感じることができました。
今回のまち歩きで特に印象に残ったのは、坂道や階段の多さでした。まち案内人の方によると、この地域はかつて海だった土地が隆起してできた地形とのことで、そのために高低差が大きくなり、坂や階段が多く作られたのだと思いました。こうした地形の特徴を知ることで、みんなが何気なく歩いている道にも歴史や自然の影響があることに気づき、とても興味深く感じました。

  

まち歩きで得られた学び

国際観光学部3年 前田 和音

 塩路ゼミ1回目のフットパスは、吹田にまち歩きに行きました。私たちのチームはJR吹田駅からの出発で、この日は吹田まち案内人の方2人と総合情報学部の黒部先生が身体活動量の調査のため付き添ってくださいました。JR吹田駅に着くと、まち案内人の大森さんが先頭に立って私たちを案内してくださいました。まず、駅の中にある吹田市の看板の説明をしてくださいました。そこには吹田市の面積、人口、位置や市章、市民の木、市民の花、吹田市にある大学なども掲載されていました。また、吹田市は”すこやかで心ふれあう文化のまち”づくりが基本理念であり、健康づくり都市宣言や非核平和都市宣言を行っていて、国際交流都市であるとも書かれていました。
駅を出た後、アサヒビール吹田工場の前を通って大和大学を目指して歩いている時に、吹田まち案内人の大森さんがアサヒビール吹田工場の隣にあるアサヒビールミュージアムの話をしてくださいました。ミュージアムに入るには、入場料1000円と事前予約が必要ですが、ビールを試飲したりできるのでとても楽しめると教えてくださいました。
大森さんの話を聞いていると、10分もかからずに大和大学に着きました。大和大学周辺には小規模のショッピングモールやイタリアン料理店、カフェ、ラーメン屋など多くの店がありとても充実していると感じました。大学内に入ると綺麗な芝生が広がっていて建物もレンガのような黄土色の色をしていてとても綺麗でした。また、大森さんによると大和アリーナではJRの入社式も行われたそうで、この日はバスケットボールの試合が行われていました。
その後、先ほど通ったアサヒビール本社の前にある庭園に行きました。庭園ではまず、昭和63年(1988年)に100周年記念として、創業以来の先輩社員と業界関係者(アサヒビールを扱っている卸業者・飲食業のオーナー等)を祀る、先人の碑モニュメントを見てから迎賓館の前を通り、旭神社へ行きました。先人の碑や旭神社と同じ敷地内に庭園があるので一緒に楽しめました。
次に、片山神社と片山公園へも行きました。片山神社は毎年、初詣の時期は人が非常に多く、出店などもあり賑わっているそうで、吹田まち案内人の大森さんが大きな絵馬の写真も見せてくださいました。この日は大森さんからの話を聞いた後、同じグループの友人とお参りしました。片山公園は、城跡公園で、遊具がたくさんあり、この日もたくさんの子供たちが遊んでいました。また、吹田市の形をした記念モニュメントやバラ園もあり、様々な色のバラが咲いていてとても綺麗でした。
さらに、日露戦争のロシア戦没者を記憶するためにロシア人の献品と献金により、大阪市内に建立された大阪ハリストス正教会へ行きました。正教会の中へは入りませんでしたが、外からでも分かるくらい洋風な建物で魅力的な外観でした。
最後に、天井川の断片を見た後、「口は災いの元」の意味で知られる「雉子も鳴かずば撃たれまい」ということわざの元になった雉子畷という話が元になっている雉子鳴き道を通り、垂水神社へ行きました。天井川の断片は、人2人分くらいの高さにあり、幅が狭い天井川だったことを実感しました。また、垂水神社は、歴史のある神社で、干ばつの時には難波宮まで水を運んだという伝説も大森さんに教えてもらいました。この日は子供たちが太鼓の練習をしていて元気な音が響いていました。
今回のフットパスでは5kmほど歩き、身に着けていた万歩計は約8000歩と表示されていて少し疲れましたが、歴史や自然をとても感じられたフットパスでした。まち案内人の人達も私たちに分かりやすいように教えてくださり、とても貴重な体験ができました。 
 

  

歴史とまち歩き

国際観光学部3年 辻 悠人

 私は5月10日土曜日に吹田市の片山コースを訪れました。今回のまち歩きはゼミ内でグループに分かれて吹田市のまちを散策するというもので、私は片山コースを散策することに決めました。大阪なのに知らなかった建物、企業、歴史など様々あり、興味深いものもいくつかあって想像より楽しめたまち歩きとなりました。今回の吹田市のまち歩きは、吹田まち案内人の大森さんという方に片山コースのスポットを随所説明してもらいながら行われました。
吹田駅からまち歩きが開始してすぐ大きな工場が見え、それがビールなどで有名なアサヒビールの工場で、こんな近くにあると知らず驚きました。敷地内の一つの建物だけレンガ作りのものが残っていて歴史を残しているところに感動しました。このアサヒビールに関係のある建物や神社があり、歴史が結構長く創業して100年以上もあることが分かりました。機会があれば工場見学に行ってみたいと思いました。その工場の真正面には「先人の碑」と言って創業100周年記念として、創業以来の社員と業界関係者を祀っていました。このまち歩きでひとつ気づいたことが、アサヒビールの工場も近くにあることもあり、アサヒビールの自動販売機が周辺にたくさんあったことです。私もアサヒの飲料水を一つ記念に買っておきました。
次に訪れたのは、大和大学です。開校したのは2014年で、施設や内装が新しく、とても綺麗でした。もともとは団地などが多く建っていた土地とのことで、その名残も周辺にまだ残っていました。
そして、次に多くの神やゆかりのある歴史などがある片山神社を通り、その隣の片山公園という吹田城があった場所と言われる公園を歩きました。公園の全体の地図を見てみると、城があってもおかしくない形をしていたのが興味深かったです。
このまち歩きをしていたあたりは昔、一体山や川に囲まれていて、さらに昔は海の底と聞いて驚きました。その名残として町のマンションに、天井川という川が通っていたところに川の断面図を残していました。そのまま「雉子畷の碑」という長柄橋を建設するとき、垂水の長者だった岩氏にまつわる伝説がある場所を通り、そのすぐ近くの垂水神社も訪れました。
このまち歩きを通して感じたのは、一つのまちでも多くの歴史の名残や住みやすくするための思いなどが詰まっていて、住人自身が住みやすく努力されてきたのが分かりました。歩いた道の印象としては坂が多く、移動が少し大変だったことです。次のまち歩きでもより多くの知識を得られるよう努めます。
 
       

参加学生一覧

服部 心愛、 菅 莉々子、 辻 悠人、 仲井 大翔、 西口 祐司、 廣瀬 彩、 福本 一紗葉、 梶浦 健太郎、 川本 託巳、 永田 雄真、 前田 和音、 山村 遥香、 前田 華花、 吉原 泰士、 猪口 大我、 佐古 奈月、 中谷 賢斗、 中村 初音、 内海 蘭、 中山 祥哉