第13回卒業研究発表会を開催しました

4年生が卒業研究、3年生がゼミ活動の成果を発表しました

 1月28日(水)、森重ゼミの3~4年生17名が出席し、第13回森重ゼミ・卒業研究発表会を開催しました。森重ゼミでは、20,000字以上の論理的な文章で構成された卒業論文の執筆を、卒業研究の単位認定の要件にしています。今年度もゼミ生それぞれが独自性と社会的意義を持った研究テーマをもとに、4年次の1年間をかけて卒業研究に取り組んできました。テーマ設定や調査方法、分析・考察に悩むなど、多くのゼミ生が苦労しましたが、今年もバラエティに富んだ研究テーマに取り組み、その成果を発表しました。来年度から卒業研究に取り組む3年生が熱心に耳を傾け、積極的に質問をしていました。
 4年生の8本の卒業研究発表に続き、佐賀県唐津市でフィールドワークを行ってきた3年生が「佐賀県唐津市の魅力を動画で発信」について発表しました。3年生は現地調査で集めた素材をもとに作成した動画を交えて発表を行いました。
 以下では、卒業研究を提出したゼミ生の研究テーマおよび要旨を紹介します。(森重昌之)

当日の様子

  • 開会挨拶の様子

  • 卒業研究発表の様子

  • 卒業研究発表の様子

  • 質疑応答の様子

  • 3年生のゼミ研究成果発表の様子

  • 卒研発表会後の全員での記念撮影

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卒業研究のテーマおよび要旨

地方型音楽フェスにおける地域との合意形成と持続性-「頂-ITADAKI-」と「森、道、市場」の比較(No.155)
 国際観光学部4年 岡田健伸

 本研究は、音楽フェスの経済波及効果が100億円以上ともされる一方で、交通渋滞や騒音などによる住民との摩擦が持続性を損ね得る点に課題を置き、地方型音楽フェスの「地域との連携の質」と「持続性」を、具体事例の比較を通じて明らかにすることを目的とした。文献・公開資料に基づき、短期的課題が顕在化する事例として「森、道、市場」を整理した結果、関係機関との協議や行政支援があることが明らかになった。一方、来場規模の拡大に伴う交通負荷や住民との合意形成の不足が、運営上の課題につながっていることを確認した。次に、成功事例として取り上げた「頂-ITADAKI-」を分析した結果、行政支援の獲得に加え、渋滞や大音量のリスクを正面から認めた上で、近隣の住宅・商店・工場を1軒ずつ回って説明し、毎回の対話を積み重ねるという姿勢や、廃油回収を通じた電力確保などを行っていた。こうした環境面の実践は開催の正当性を補強し、地域の協力を得やすくする条件として機能している。これらの合意形成のプロセスが、地方型音楽フェスの地域からの受容と継続開催を支える核となっていることを考察した。

香川県小豆島におけるナイトコンテンツによる宿泊客増加の可能性(No.156)
 国際観光学部4年 坂上真悠

 本研究の目的は、香川県の離島である小豆島における宿泊客増加に資するナイトコンテンツの可能性を探り、離島観光における夜間観光の役割とその有効性を明らかにすることである。小豆島は新型コロナウイルス以降、観光客数は回復傾向にあるものの、宿泊客数の回復幅が少ないことが課題である。ナイトコンテンツは存在するものの、宿泊に繋がっていない。そこで、ナイトコンテンツを用いて宿泊へ繋げた成功事例として新潟県の離島である佐渡島を調査対象地とした。聞き取り調査の結果、佐渡島では地域独自のOTAを通じて販売支援、データ取得、手数料収益の3つの効果を生み出したことが、ナイトコンテンツの充実に繋がり、宿泊にも繋がっていることが分かった。また、佐渡観光交流機構が第2種旅行業を取得しており、交通(フェリー)とセットでパッケージ商品を作れることも重要であると分かった。そのため、小豆島観光協会が第2種旅行業を取得している企業と連携し地域独自のOTAを作ることで販売支援、データ取得、手数料収益の3つの効果を生み出すことができる。そして、3つの効果によりナイトコンテンツを継続的に実施できる島内体制が形成されることが、小豆島での宿泊へ繋がり、観光収益の地域内循環が実現し、持続可能な観光地になると考えられる。

テーマパークのリピーター獲得に向けた要因分析-ドラゴンボールテーマパークの持続的再訪戦略について(No.157)
 国際観光学部4年 古本涼馬

 本研究は、サウジアラビアの国家戦略「サウジ・ビジョン2030」の中核事業として構想される「ドラゴンボールテーマパーク」を対象に、その持続的成功とリピーター獲得を可能にする戦略モデルを明らかにすることを目的とした。サウジアラビアは、現指導者の決定が国全体の方向性を直接的に左右する、トップダウン型体制による迅速な開発が期待される一方、原作者・鳥山明氏の逝去を背景に、人気が一過性の消費に終わる課題を見出した。この課題に対し、東京ディズニーリゾートおよびユニバーサル・スタジオ・ジャパンを事例に取り上げ、現地調査を行った結果、「体験の質の差別化」、「記憶の固定化」、「人的要因」の3つのリピート要因を提示した。具体的には、「現実感の否定」を核とした体験設計により、舞空術に象徴される超常的身体感覚を体験として提供すること、スカウター型デバイスにより成長の痕跡を可視化し再訪動機を創出すること、さらにキャストが世界観を裏側から支える「沈黙のプロ」として振る舞うことの重要性を指摘した。本研究の知見は、作品価値の持続とサウジアラビア観光産業の収益基盤構築に寄与するものである。

ジム巡りを通じたフィットネス人口の増加と地域活性化(No.158)
 国際観光学部4年 古林広暉

 本論文はジム巡りの現状を明らかにしたうえで、フィットネス人口を増やし、地域活性化の手がかりを探すことを目的とした。現状として、ジムの店舗数は年々増加しているが、日本のフィットネス人口はまだ世界各国と比べて参加率が低い。その原因として、他の自由時間活動と比べて優先順位が低いことがあげられる。現状を踏まえ、気軽に巡ることができる、または観光需要に対応したジムが少ないことを課題にあげた。そして、ジム巡りをする利用者層や条件を明らかにするため、話題性と立地のどちらかに長けた4店舗で調査を行った。その結果、ジム巡りは立地条件に関係なく、中級者から上級者がジム巡りを行うという限定的な行動であるという結果が明らかになった。そこで、中級者以上がジム巡りをしたいと考えるような高品質なマシンが揃うジムはもちろん、インフルエンサーやフィットネス選手と連携するという要素を取り入れることが必要である。また、アクセスの良し悪しは影響しないという特性から、地域活性化の糸口になる可能性もあると結論づけた。

「守る文化」と「魅せる文化」の共存可能性-沖縄のエイサーを事例として(No.159)
 国際観光学部4年 山田さくら

 本研究は、沖縄のエイサーとインドネシア・バリ島の舞踊を比較し、観光化が伝統文化の継承に与える影響と、「守ること」と「魅せること」をどのように両立できるのかを明らかにすることを目的とした。エイサーは長く青年会を中心に受け継がれてきたが、近年は青年会の弱体化や地域とのつながりの希薄化が進み、祖先供養という本来の意味が共有されにくくなっている。また、観光化により演技が派手になる一方、本来の精神的価値が薄れていくという課題も指摘されている。一方、バリ島では舞踊が学校教育や地域行事の中で日常的に学ばれ、行政の制度支援と結びつきながら、技術と意味の両方が継承されていた。本研究はこの仕組みを手がかりに、沖縄でも教育を通じてエイサーの意味を学び、地域社会と行政が協力して支える体制を整えることを提案した。さらに、学んだ内容を観光の場で活かすことで、「守る観光」と「魅せる観光」のバランスを実現し、持続可能な文化継承が可能になることを指摘した。

ローカル線における魅力向上と利用促進に関する研究-JR桜井線・和歌山線を対象として(No.160)
 国際観光学部4年 吉本慧悟

 本研究では、桜井線・和歌山線を対象に、ローカル線の魅力向上と利用促進の方策について検討した。現状では、利用者減少の問題に加え、沿線人口の減少やモータリゼーションの発展といった複合的な要因の結果、通勤・通学需要を中心とした従来の利用構造の維持が困難になりつつあることが明らかになった。また、両路線の沿線には観光資源や歴史的資産が存在するものの、鉄道利用と十分に結びづけられているとは言い難く、新たな需要創出が不十分である。さらに、鉄道事業者・自治体・地域住民が路線の将来像を共有し、継続的に連携する体制が十分に確立されていない点も課題としてあげられる。先進事例の分析からは、自治体・鉄道事業者・地域住民が危機意識の共有、継続的な協議体制を構築している路線ほど、観光資源との連携や利用促進施策が効果的に機能していることが確認できた。一方、桜井線・和歌山線では、沿線に寺社仏閣や歴史資源など多様な観光資源が存在するにもかかわらず、それらと鉄道との結びつきが弱く、鉄道利用に直結するしくみが十分に整備されていない。従って、桜井線・和歌山線の魅力向上には、地域資源と鉄道を結ぶ明確な観光導線の構築と、地域主体による継続的な関与が重要であると結論づけた。

依存症の改善方法として観光は活用できるのか-ゲーム依存症を事例に(No.161)
 国際観光学部4年 中西隼士

 本研究はゲーム依存症の改善策を見つけることを目的とした。現状分析では、eスポーツの用語の起源やメリット・デメリットなどや依存症の仕組みをまとめた。そして、現在のゲーム依存症の改善策として認知行動療法と内観療法の2つの実施方法を整理した。ゲーム依存症の改善策として、認知行動療法と内観療法の2種類の方法が実施されていることが現状分析で明らかになった。しかし、病院に行くことに対するハードルが高いことから、その他の方法を見つけることを課題とした。調査では、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症、たばこ依存症の改善策について調べた結果、ゲーム依存症に生かせそうな改善策の1つとして、集団精神療法があることを明らかにした。この療法は依存者同士の連帯感を利用し、依存症を改善する方法であるが、例えば複数人で観光旅行に行くことで、1人でゲーム依存の脱却をめざすのではなく、他の人と協力しながら脱却を図ることができることを明らかにした。

撮り鉄と共生するためにはどうするべきか-岡山県津山市を事例に(No.162)
 国際観光学部4年 籔内はづき

 本研究は、近年話題になっている撮り鉄について調べ、撮り鉄がなぜ迷惑行為を行うのかについての理解を深めることで、撮り鉄が来た際の適切な対策を検討することを目的とした。筆者の地元である岡山県津山市は「鉄道遺産の聖地」であり、「津山まなびの鉄道館」には扇形機関車庫や貴重な車両が展示されている。現行の鉄道が引退する際に撮り鉄が撮影に来る場合を想定して、鉄道会社などが実際に行っている対策を調査した。その結果、運行日の非公開、撮影スポットの整備、マナーアップ講座、クラウドファンディングの実施、ウェブサイトへの注意喚起の掲載など、さまざまな方法で対策をとっており、環境や地勢、人口などの要因からトラブルの内容・対策が違うことが明らかになった。そこで、これらの対策例の中で、津山市においては、町民から使っていない土地を借りて無料駐車場として開放し、路上駐車への不満を減らす対策を取り入れることを提案した。