小型ヨット自動操舵システム「RoboHansa」が示した水上モビリティの新たな可能性
2025年6月7日に実施された山形県酒田港から離島・飛島(約33.6 km)へのロボット支援航行チャレンジについて、以下のとおり成功をご報告いたします。本チャレンジは、本学総合情報学部の末田教授が中心となり開発を進めている「人船一体」を目指す自動操舵・帆走支援システム「RoboHansa」の実証実験を兼ねた取り組みであり、海上モビリティの新たな可能性を拓く貴重な成果となりました。
概要
- 日時:2025年6月7日(土) 10:03 出港/17:05 着岸
- 航路:山形県酒田港口 → 飛島・勝浦漁港(約33.6 km)
- 使用艇:RoboHansa(Hansa 2.3改造:自動操舵・視覚障害者向け帆走支援システム搭載)
- 伴走艇:ヤマハ31S「はるかぜ」
- 協力:一般社団法人 徳良湖ヨット倶楽部(セイラビリティ徳良湖)
チャレンジ内容
本チャレンジはヨットとセイラーが互いの意図を理解・補完し合い、一つの存在のように動くことが実現する「人船一体」の帆走支援システム研究の一環として企画されました。強風や高波を含む厳しい海象下でも自動操舵システムが安定して機能するかを検証するため、教員自らが同乗し、有人でのシステム実証を行いました。今回の渡航では自動操舵がナビゲーション担当し、音声情報でセイル操作を支援する視覚障害者向けの帆走支援システムを利用し、視覚に頼らずかつ操舵操作の負担が少ない長距離航海をする想定での航行をしました。
当日は軽風から最大瞬間風速13 m/sの白波を伴う波浪まで状況が大きく変化しましたが、RoboHansaはラダー操作を自律的に最適化し、平均速度4.7 km/hで無事完走しました。これまでハンザ303によるクック海峡約30 kmの集団横断記録は存在しますが、より小型のHansa 2.3による長距離単独航行は世界的にも希有であり、技術的価値の高い成果となりました。
当日は軽風から最大瞬間風速13 m/sの白波を伴う波浪まで状況が大きく変化しましたが、RoboHansaはラダー操作を自律的に最適化し、平均速度4.7 km/hで無事完走しました。これまでハンザ303によるクック海峡約30 kmの集団横断記録は存在しますが、より小型のHansa 2.3による長距離単独航行は世界的にも希有であり、技術的価値の高い成果となりました。
今後の展望
今回の成果は、小型ヨットを用いた無人・有人ハイブリッドモビリティの実現可能性を示す重要なステップです。今後は無人航行実験を重ねるとともに、荒天時の自律航法アルゴリズムの高度化や船体への防水・排水オプションの追加検証を進め、インクルーシブセーリングの促進や離島物流や災害時支援など社会課題解決への応用を目指します。
徳良湖ヨットクラブによる日本ハンザクラス協会への報告記事: