一般教育科目の自然科学史では、2024年5月22日に青木洋氏をお招きして特別講義を実施し、「ヨット信天翁二世号の世界一周と人類拡散期の移動手段」のテーマで御講演をいただきました。
  • 写真撮影:田原優月葉(学生広報委員)

 青木洋氏は、1971年から1973年にかけて21フィートの自作ヨット『信天翁二世号』で世界一周を達成し、単独世界一周に成功した最小艇としてギネスブックに登録された世界的に著名なセーラーです。著書に世界一周航海を綴った「海と僕の信天翁」や、ヨットの技術書「インナーセーリング」1~4(舵社)があります。現在、青木ヨット(株)社長、青木ヨットスクール校長、名古屋市立大学22世紀研究所研究員(特任教授)等を務めておられます。
 講演は二部構成で、第一部では世界一周航海について語られました。まず、高校で落ちこぼれ、ヨットに出会って自作ヨットで世界一周を目指すようになったことを語られました。出航後は寄港した各地でアルバイトをしながらヨットの修繕をして次の寄港地を目指したこと、ガラパゴス群島やイースター島では現地の言葉を覚えて現地人と一緒に生活したこと、ホーン岬付近では大嵐でヨットが裏返しになったこと、バス海峡でもヨットが転覆して帆が破れたこと等を語られ、最後に信天翁二世号は現在万博記念講演に展示されていることを語られました。
 第二部では、人類の海洋拡散について語られました。日本列島への3つの人類拡散ルートのうち、3万8000年前の台湾からのルートは海を渡るしかなく、その渡海手段について研究が進んでいることを紹介されました。丸木舟に乗って手漕ぎで台湾から海を渡ったとの説に対して、青木氏は「古代人は本当に漕いで渡ったのか」と疑問を投げかけ、楽で速いセーリングによって渡ったのではないか、との仮説を示されました。
 質疑応答では、アンケートシステムを通じて多くの質問が寄せられ、濵がそのいくつかを紹介しました。
「世界一周するのに周りの人の意見などの反対はなかったですか?また、死ぬとか、怖いとは思わなかったのでしょうか?」
「ガラパゴス諸島で4ヶ月病気などにかからなかったのですか?」
等の質問に対し、青木氏は経験を語られました。ヨットでの睡眠に関する質問に対して青木氏は、船内で寝ていたときに大型船との衝突や暗礁への激突の危機があったことを語られました。
 特別講義に対して受講生から以下のような感想が寄せられました。
  • ひとつの映画を見たような気分になった。
  • 青木洋先生の事は前から少し知っていたので本日来ていただいて嬉しかったです。
  • みんなが憧れるような漫画のような展開のストーリーで命をかけて全力で人生を過ごしているなあと感動しました。
  • 嵐にも打ち勝った信天翁二世号を見に行きたいと思いました。
  • 世界一周の話も人類拡散期の移動手段の話も面白かったです。
  • セーリングをしていた時期もあり、青木さんの名前は知っていましたが青木さんの人生経験を本人の口から聞けるのはとても嬉しかったです。今まで阪南大学で受けた特別講義の中で1番面白かったです!
  • ギネスブックに載っているのもすごいと感じたが、載るのも納得の凄さだと感じました。
  • 常軌を逸しすぎていて、常人離れしたクレイジーな発想がとても面白かった。漫画や映画のような人生だと感じた。
  • ヨットの周りを泳いで上がった後に海を見るとサメがいたという話のときにはゾクゾクしながら聞きました。
  • 青木さんは僕が聞いたことがあるくらいの有名な人なので最初からしっかりしている人というイメージがありましたが、学校に行かなかった時期があったりと、かんぺきとは言えない生活をしていて、自分も青木さんの様な素晴らしい出会いに出会えるように頑張ろうと思いました。
  • ぼくは普段から挑戦しなかったり、途中で諦めてしまう事が多く今回の話を聞いて自分も頑張らないといけないなと感化されました。
 今回の特別講師招聘にあたっては、阪南大学教育改革推進費から講師謝礼の補助を受けています。