日商簿記検定試験2級は3級に比べて難易度が高いですが、取得すると就職活動に有利となる資格の一つとされています。また、簿記の知識は企業や経済の仕組み・動きを理解する際に役立っています。土生田真人さんは、在学中に日商簿記2級試験に合格しました。今回は土生田さんにその合格の経験談を紹介していただきます。
 土生田さんは、今年3月に卒業します。ゼミでは英語を道具として金融分野(グローバリゼーションによって最も強い影響を受ける分野の一つ)の専門知識を学習していますが、土生田さんは常に高い目標に向かって挑戦し続け、スキルを磨いてきました。新天地での更なる飛躍を心よりお祈りいたします。

経済学部教員 王 凌

土生田さんプロフィール

2015年阪南大学経済学部に入学。2016年度(キャリアアップ枠国際分野)・2017年度(キャリアアップ枠国際分野)・2018年度(キャリアアップ枠金融分野)阪南大学経済学部給付奨学金奨学生。阪南大学茶華道部主将を務める(2017年1月~2018年2月)。

簿記2級の概要・合格点へ達するための戦略

 日商簿記検定2級の試験は、「商業簿記」と「工業簿記」の2種類で構成されている試験です。そして、「商業簿記」の試験範囲の改定が、平成28年度から平成30年度にかけて大幅に行われました。その為、商業簿記の学習範囲は改定前に比べ大幅に拡大し、問われる内容も重箱の隅をつついた水準のものが多くなっている印象を受けました。

 ここで、試験に合格するための戦略として、重要視する必要があるのが「工業簿記」です。試験問題の構成として、第1問~第3問は商業簿記(配点は大問ごとに20点ずつ計60点)、第4問~第5問は工業簿記(商業簿記同様、配点は大問ごとに20点ずつ計40点)となっています。合格点は70点なので、工業簿記のみの点数で、最低でも36点を取得することが合格への絶対条件であると考えます。

 このように書くと、40点満点中36点を取ることは難しいと思われるかもしれませんが、そのようなことはないと断言することができます。なぜなら、商業簿記の出題範囲と比べれば、格段に工業簿記の出題範囲が狭く、出題の傾向も限られてくるからです。だからこそ、高得点を狙いやすい分野で最低でも9割が得点する必要があるのです。

 もう一つ合格する上で、重要視しなければならない箇所があります。それは、大問1の「仕訳問題5問」です。ここは是が非でも、仕訳問題は全問正解を目指して頂きたいです。仕訳の1問あたりの配点が4点なので、ここでミスをしてしまうと、第2問~第3問(個別問題・精算表・財務諸表作成問題)で点数を稼ぐ必要に迫られます。しかし、自分の受験経験から言わせていただくと、第2問~第3問は重箱の隅を楊枝でほじくるような出題のされ方をすることが多いです。ここで点数を稼ぐということは至難の業といえます。したがって、「仕訳問題5問」の全問正答できなければ、合格できる可能性は限りなく低くなります。

 最後に第2問(個別問題)と第3問(精算表・財務諸表作成問題)で40点満点中20点を得点することができれば、合格点である70点に到達することができます。

勉強スケジュール・使用問題集

 次に、学習を進めるにあたって、使用する問題集や勉強スケジュールをまとめておきたいと思います。
 まず使用する問題集は以下の2冊です。
 「日商簿記2級 みんなが欲しかった やさしすぎる解き方の本(第2版)(滝澤ななみ著)」(以下、やさしすぎる解き方の本)は基礎固めに使用します。1周目はすべての問題を解いてください。また、問題を解く際は必ず仕訳を略さず記入してください。たまに勘定科目で似通った科目があるので、略して記入していると間違って記憶してしまうので注意が必要です。また、商業簿記の重要範囲の一つである連結会計は出題確率が高いということもよく耳にするので、押さえておくべきところではないかと思います。
 基礎が身に付いたら、「網羅型完全予想問題集」を本試験までに3周するようにしてください。全部で12回分の模擬試験が掲載されており、本番さながらの対策をすることができます。最終的に予想問題集で、平均的に95%以上得点できるようにしておくと、本番はかなり余裕を持って解答することができると思います。

 次に勉強スケジュールを以下に挙げます。
 全体のスケジュールとしては、約2ヶ月(120h~150h)の短期集中型をおすすめします。「基礎固め」に約20日(40h)、「反復期」に約10日(20h)、「試験前」に約30日(66h)のように学習を進めると効率も良いと思われます。ただし、上記の予定は予備日を全く入れていないので、知識を整理する日を考慮して勉強時間は最大でも150hに設定しておけば良いかと思います。

王ゼミ 4年生 土生田真人