経済学部豆本ゼミでは、例年、フィールドワークを中心に据えたゼミ活動を行ってきました。2021年度に関しては、コロナ渦の渦中ということもあり、ソーシャルディスタンスの確保や可能な限りの感染防止対策を行ったうえで、フィールドワーク活動を行いました。
 近年、路上喫煙に対する取り締まりが厳しくなってきています。そこで路上喫煙禁止条例を制定し、実際に路上喫煙禁止地区を設定している大阪市と堺市に対し、取り締まりの現状や課題について取材を行いました。
 12月1日には大阪市における路上喫煙関係の管轄部門である大阪市環境局事業部事業管理課(大阪市阿倍野区)を訪問しました。同局によると、日本で最初に路上喫煙禁止条例を出した千代田区を参考にしながら大阪市に合う形で路上喫煙の防止に関する条例を作成していったとのことです。大阪市が指定した御堂筋を中心とした喫煙禁止地区では、13名の警察OBの路上喫煙防止指導員が巡回しており、違反者(喫煙者)がいた場合、過料(行政上の義務違反に対して科す金銭罰のうち、刑法上の刑罰以外のもの)1000円を課しているが、刑法上の罰金ではないため強制徴収はできないとのこと。なおIQOS等の加熱式たばこは路上喫煙の違反対象ではないとのことです。
 路上喫煙過料徴収件数では、禁止地区の認知度の向上もあり、2016年度の5,648件から2020年度の3,227件と減少傾向にあるものの、コロナ禍で喫煙所が閉鎖されたり、改正健康増進法によって建物内での喫煙ができなくなり、ビル前の路上等で喫煙する人が多くなったことなどから路上喫煙に関する苦情自体は増えているとのことでした。
 12月15日には、堺市環境局環境事業部環境業務課(堺市堺区)を訪問しました。堺市でも大阪市と同様に堺東駅前広場から堺市役所周辺を路上喫煙等禁止区域に指定し、禁止区域での路上喫煙者に対し1000円の過料を徴収しています。同市でもIQOS等の加熱式たばこは路上喫煙の対象とはしていないとのことです。など同市では、予算の関係から喫煙防止指導員を減らしていきたいと考えており、そのため将来的には禁止地区も縮小していきたいとのことです。路上喫煙過料徴収件数では、2016年度の153件から2020年度132件とあまり変わっておらず、路上喫煙禁止区域の認知度はあまり高くないとのことでした。路上喫煙に関する市民からの苦情は週に2~3件程度あり、中百舌鳥駅周辺おける苦情が一番多いとのことから近畿大学と協力して同地区での路上喫煙に関する意識向上・啓発活動を進めているとのことでした。
 一時期話題になっていた路上喫煙禁止地区の現状を知ることができ大変参考になる話を聞くことができました。(今回の調査では、阪南大学学会の補助を受けて実施しました)。