特別養護老人ホーム「ゆめあまみ」の訪問で得たもの

3年 畠山大輔

 私たちは特別養護老人ホームゆめあまみを訪問させていただきました。訪問に行かせてもらう前は、ほとんど前調べもせず、一緒に行った友達に任せっきりだったので、ゆめあまみではどういう仕事をしていて、どういった環境で入居者たちが生活しているのかということもわかりませんでした。そして、訪問する前は、自分の勝手な偏見で、老人ホームという場所は家族がもう看ることができなくなって最終的に放り込まれる場所だと思っていました。

 だから、大学と老人ホームは縁もゆかりもないと思いがちですが、周りにはたくさんの友人がいて、遊ぶときは遊び、学ぶときは学ぶというような共通点はそう少なくはないのではないかと思ったので、私自身の目標としては、大学と老人ホームの共通点について少しでも見つけられたらと考えていました。
 訪問当日、門についてまず驚いたのは大きな鳥居があり、幹がとてつもなく太い樹木に囲まれたその中に老人ホームがあるといった感じで、「最初の印象は老人ホームにきた」という感じではありませんでした。後々、話を聞いてみると神社の中にある老人ホームは、おそらくゆめあまみだけとおっしゃっていました。

 いよいよ敷地内に入ると屋内の中心部分が吹き抜けになっていて日光がどの部屋にも入るような仕組みになっていました。その後、今回お世話になった安松さんが屋内を案内していただけるということで、まずは屋上に向かいました。屋上に向かう際、エレベーターに乗せていただいたのですが、普通のエレベーターではなく奥行きの長い医療ドラマで見るようなエレベーターでした。寝たきりの入居者が体調をくずしてしまった際、迅速に病院に運べるよう配慮がされていました。よくよく回りを見渡すと、どこを見てもバリアフリーが徹底されていて感心しました。

 上につくと見晴らしがよく、大和川付近なので川からの心地よい風が吹いていました。また家庭菜園もあって、収穫した野菜は入居者達の部活動ともとれる料理クラブが中心になって入居者に振舞われるそうです。訪問時は時期的に収穫のシーズンではなかったため写真を拝見させていただきましたが、とても楽しそうで大学生のクラブ活動やサークルなどとなんら変わりはありませんでした。
 次に三階を案内していただきました。洋室の個室や二人部屋が目立ちました。部屋の前の廊下にはイスとテーブルが並べられていて、そこで食事をとるか、食堂で食べるかどちらでもよいような形になっていました。また、廊下のテーブルには名札が貼ってあり席順が決められていました。それについて安松さんに聞いてみると「みんな一緒に食事するとき、‘この人とは性格が合わない’‘この人と一緒に食べたい’などの要望があるし、喧嘩などの問題も未然に防げる」とのことで考えたそうです。私はふと大学の食堂が頭に浮かべましたが、これもまったく同じでシールこそ貼られていませんが、仲のよい友達と食事を共にするという点は共通点であると思いました。

 また同階には職員室があり、ナースコールのようなシステムが管理されていました。24時間体制で入居者を管理できるようになっており、職員のPHSにも転送できる仕組みになっていました。ペースメーカーが入っている入居者もいるので、そうした方たちへの配慮によりPHSを使用しているが、そのPHSは十万円もするということで驚きました。

 二階は四人部屋で和室が中心でした。二階は安松さんのPHSがずっと鳴り響いていて足早の見学となりました。三階に比べると少し小さかったです。また、一階にはカフェがあり、入居者の親族と面会などもされていて非常に楽しそうでした。コーヒーをいれてくれるのは地域住民のボランティアということで地域との連携もすばらしい施設だと感銘をうけました。さらに入浴場、リハビリステーション、診療所などもオシャレな雰囲気でちょっとした娯楽施設に見えました。診療所は地域住民も利用できるようになっているらしく、こうしたところからも繋がり、連携がとられるのだなと思いました。
 会議室に戻り安松さんに私たちの質問に答えていただきました。特に印象に残っているものをいくつかあげると、入居待ちの人が500人程いることが一番の驚きでした。余程、立地、対応、地域住民との連携がとれていて評判の良い施設なんだなと思いました。最後の質問で、この仕事の事を聞くと「賃金が安い分、好きじゃないとできない仕事。おじいちゃん、おばあちゃんが好きな人じゃないと務まらない。ありがとうで満たされる暖かい心の持ち主じゃないとできない仕事」とおっしゃっていました。その言葉にすごく感動して介護職に携わってみたいという気持ちが出てきました。
 訪問前では施設について勝手な偏見を持っていましたが、いざ訪問してみると入居者の人たちがニコニコして僕たちに手を振ってくださり、「残りの余生こんな楽しい場所で生活できるんや」といった感じが沸々と伝わってきました。そして、老人ホームという場所は新しいマイホームみたいなものだと最終的に感じました。また個人の目標であった共通点もたくさん見つけられたので本当にいい経験となりました。
 大学生も高齢者も同じ人間なので、住む環境や年齢は関係なく、みんな同じなんだと認識した充実した訪問でした。

※この学生教育研究活動は阪南大学学会より補助を受けています。