2021.12.28

橋本伊都在宅医療介護連携支援センターの前田至規氏、谷川聖子氏にご講演いただきました

 西本ゼミでは、日本の終末期医療における課題は何かを探り、その解決策の提案に向けた活動を行っています。日本では、2040年に年間死亡者数がピークを迎えるといわれています。多くの国民が幸せを感じられる最期を迎えられるように、医療、介護の現場では様々な対策が行われていることと思います。西本ゼミでは、橋本伊都在宅医療介護連携支援センター長の前田至規氏に「ゆめ病院」の活動を、そして支援員の谷川聖子氏に「橋本伊都在宅医療介護連携支援センターの活動内容」をご講演いただきました。また、西本ゼミの活動について、濱崎温大くんが報告しました。

参加者:西本ゼミ(2回生)、前田利之教授(本学経営情報学部)、小野田充宏さま(コニカミノルタ(株))

永尾侑莉亜、柳田陽彩、河村蒼太(2回生)

 「ゆめ病院」とは、検査結果や処方情報などの医療情報を、かかりつけ医だけでなく、地域の複数の医療機関・施設で共有することにより地域が一体となって住民の生活・健康を守っていく情報共有の仕組みです。
 一般的には、患者さんがある医療機関を受診しても、受けた検査や診療のデータは、その医療機関だけでしか保管されません。しかし、「ゆめ病院」というコンピューター上の仮想病院ができたことにより、「ゆめ病院」を中心として、診療所・病院、調剤薬局、訪問看護ステーション、歯科医院などが繋がっており、情報共有支援を行っているというお話を伺いました。地域における医療連携がうまくいっている例としてとても勉強になりました。
 しかし一方で、「ゆめ病院」創設当初、古いパソコンでの操作が困難で挫折する医師がいたり、費用が高く脱落していく医師もいたりしたこと、その後も「ゆめ病院」の維持費が高額であることなど、連携を維持していく上で様々な課題があることもわかりました。こうした課題を一つ一つクリアしていくことで「ゆめ病院」は発展してきたし、今後も発展していくのだと思いました。

竹田りお、濱崎温大、石川武蔵(2回生)

 在宅医療介護連携支援センターは、「住み慣れた我が家で療養したい」を実現するために、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進や、医療・介護関係者の情報共有の支援をはじめとした様々な役割を担っています。ご講演では、それらの具体的な活動について説明していただきました。
 在宅医療介護連携支援センターでの活動内容として相談業務があり、相談は年々増加しており、特に歯科関係での相談が増えたとのお話を伺いました。誰かに相談や質問ができるのは心強く、安心材料となっているのではないかと感じました。その他印象に残った取り組みは、認知症患者向けに薬のタイミングを知らせるロボットを導入したところ、患者さんやご家族様からもよい評価が得られているというものです。ケアマネジャーの持つ情報を薬剤師に提供《連携》することで、患者さんやご家族様の生活や健康を守ることができたという報告もあったと伺い、本当に幅広くいろいろなことに取り組んでおられるのだなと思いました。
 また、当地域における課題として、施設で看取りを行うにあたり、看取りのあるべき姿をディスカッションしたり、施設・病院・救急隊の連携や、施設と訪問看護ステーションとの連携が可能かを考える必要があること、また医療・介護情報共有一元化が必要であることなどが特に印象に残りました。