このキャリアゼミでは、今年度のテーマとして「在留外国人の生活・就労の実態と法的課題」を取り上げています。
在留外国人数は2024年末時点で約377万人に達しており、少子高齢化が進む日本社会において、外国人労働力の果たす役割はますます大きくなっています。その一方で、言語・文化・価値観の違いに起因するさまざまな問題も顕在化しています。
本ゼミでは、報道では見えにくい「法令を遵守し、日本社会に溶け込もうとしている外国人」の実像に迫るべく、外国人が経営する企業を訪問し、当事者へのヒアリング調査を実施しました。
社会に出ることを間近に控えた3年生が、制度・法的観点から在留外国人政策の課題を考察し、多様性社会のあり方について理解を深めることが、本キャリアゼミの目的です。

経済学部3年 松村ゼミ生一同

学生活動状況報告

在留外国人とは、就労や修学を目的として日本に中長期にわたり滞在する外国人をいいます。法務省の外局である出入国在留管理庁によれば、2024年末時点の在留外国人数は約377万人であり、日本の総人口の約3%を占めるに至っています。
在留外国人をめぐっては、言語・文化・価値観の違いに起因する困難や摩擦が就労・生活の各場面で顕在化しています。他方、少子高齢化が急速に進む日本において、外国人は労働力不足を補う重要な存在となっており、日本経済への貢献は看過できない規模に達しています。
こうした現状を踏まえ、経済学部松村ゼミではキャリアゼミとして在留資格を有する外国人が経営する企業を訪問し、ヒアリング調査を実施しました。

 ①自国と日本の文化的差異において驚いた点
 ②日本で働くうえで日頃から心がけていること
 ③日本社会に対して感じる不満や改善を望む点
この三点を中心に質問を行い、当事者から直接話を聴く貴重な機会を得ました。

調査を通じて強く印象づけられたのは、ヒアリングに応じてくださった方々が、納税や社会保険料の納付といった法的義務を着実に果たしながら、日本の慣習や文化に積極的に溶け込もうとしているという事実です。報道で取り上げられることの多い問題事例とは異なり、日本社会の一員として誠実に生活・就労している外国人が確かに存在することを、今回のヒアリングを通じて実感しました。
経済学部 経済学科3年 一ノ谷 陸貴
 
   

連携先コメント

今回、阪南大学経済学部の松村ゼミの皆さんにヒアリングをしていただく機会をいただいたことを、大変うれしく思います。
日本で働き、税金や社会保険料を納めながら生活していると、「外国人だから」と特別視されることもあります。しかし私たちは、日本の法令を守り、地域社会の一員として日々の仕事に誠実に向き合っています。言語や文化の壁は確かに存在しますが、それを乗り越えようと努力していることも、ぜひ知っていただきたいと思います。
皆さんのように、実際に当事者の声を聴こうとする姿勢は、非常に重要だと感じます。報道だけでは見えない現実があります。私たちも日本社会に貢献したいと考えており、日本の方々と共に働き、共に暮らしていきたいと心から願っています。
これから社会に出る皆さんが、外国人を「問題」としてではなく、共に社会を支える存在として見てくださるようになれば、これ以上うれしいことはありません。

教員コメント

経済学部 経済学科
松村 幸四郎 教授

今回のヒアリングを通じて、学生の皆さんは在留外国人の「実像」に直接触れる機会を得ました。報道で目にする外国人像は、問題事例と美談の両極端に偏りがちです。しかし実際には、納税・社会保険料の納付といった義務を果たしながら、静かに日本社会に根を張って生きている人々が確かに存在します。物事を多面的に見るとはまさにこういうことであり、一つの報道や印象だけで全体を判断しない姿勢が、法的・政策的考察の出発点となります。
同時に、忘れてはならない視点があります。日本には長い歴史の中で培われた固有の文化・慣習・価値観があり、それ自体も社会の重要な基盤です。多様性の尊重は、こうした文化的背景を無視することではなく、互いの違いを客観的に認識したうえで共存の形を模索することを意味します。
皆さんには、感情や印象に流されることなく、事実と制度を丁寧に積み上げながら、在留外国人政策の課題を考え続けてほしいと思います。

参加学生一覧

喜多川 大志 浅田 侑真 一ノ谷 陸貴