少子高齢化や核家族化が進み、親族が同一住居に居住しない状況が普通になっています。地方の過疎化も進み、法曹も大都市部に集中する傾向が強まることで、法的トラブルが生じた場合に、地方都市で適切な司法サービスを受けられない状況が容易に発生します。
経済学部4年・松村幸四郎ゼミの活動では、過疎化の問題の解決策として、法曹以外の法律系士業との連携という手法の有効性について、考察を深めていこうとしています。

1.司法過疎化とは
司法過疎化とは、特定の地域（特に地方の過疎地域）において、弁護士や司法書士といった法律専門家が極端に少ないことから、住民が法律面でのサービスを利用することが難しく、また享受することが困難な状況をいいます。
この状況は、法律専門家の都市部への集中（偏在）が主な原因と考えられるものであり、司法過疎地域の住民は法的トラブルを解決することが困難な状況に置かれているという社会的な問題です。

2.司法過疎化による弊害
　① 法律サービスへのアクセスが困難
　弁護士や司法書士などの法律専門家が身近にいないため、法的な相談や依頼をするために遠方まで出向かなければならず、司法過疎地域の人々
　は時間的・経済的な負担が大きくなります。
　② 問題の深刻化
　①の要因により、専門家への相談を躊躇したり、自分で調べたインターネット上の情報などにより、誤った情報に惑わされたりすることで、
　問題がより深刻化するリスクがあります。
　③ 法的な権利（権利保障）の格差・公平性
　法律の知識や専門家の力が必要とされる離婚協議・遺産分割・交通事故などの法的問題で、司法過疎地域に該当しない地域の人々と比較する
　と、司法過疎地域に該当する人々は、泣き寝入りせざるを得ないような状況が生まれやすくなってしまうという社会的な格差が生じることも
　あります。
　④ プライバシー問題
　司法過疎地域では、地縁的なつながりが強く、たとえ司法に携わる者に対してであっても、他人に知られたくない相談はしにくいという、
　地域特有の課題があります。

ヒアリングにおいては、上記の認識を前提として情報を獲得することを目指します。ただし、いずれの地域でどのように法曹としての活動を展開するのかは、基本的に個人の自由(＝地位・名誉・収入・日々の生活・困っている人を助けるなど、何に重きを置く法曹となるかは個人の自由)とします。このような前提が厳然と存在しているため、そうした点に関する葛藤についても引き出せたらと思っています。

塩田 雄斗・谷口 海瑠・西澤 創太・宮内 鷹・内水 生山・葉山 碧志・福田 好訓・小川 良祐・森 公威・越智 梨瑛