今回、単著の研究書” Sustainable Development in Economic Growth Theory”が出版されました。

本書のテーマは、経済成長論における持続可能な発展（経済成長と汚染削減の両立）のメカニズムです。私が、大学院に入学してからここまでの研究業績をまとめており、全ての章は、査読付きの国際学術誌や国際会議で発表された論文に基づいています。

この本を読むことで、2000年以降におけるこのテーマに関する研究動向を掴み、イノベーションを通じた持続可能な発展の仕組みを理解できるでしょう。

理論家に対しては、それぞれの経済モデルの構造的類似性や仮定が結果に与える影響を詳しく解説しており、後続研究の手がかりを与えます。実証家に対して、持続可能な発展のメカニズムを直観的に説明している為、統計学的な検定仮説に強力な理論的背景を与えることができるでしょう。実務家に対しては、様々な政策が、持続可能な発展に与える影響の理論的帰結を与えることができます。

SDGsは、従来の南北問題に環境問題が加わることによって生まれた国際的な目標です。このSDGsを通じて、持続可能な発展は、環境と経済の両立から、ファイナンス、観光、不平等、グローバル化、汚職など、様々な領域を包含する様になってきています。本書では、それらのとの両立性に関しても議論しています。

本書の理論的結果は、実証分析による検証を受けていないという課題を抱えていますが、外国人研究者の国際共同研究により、その実証的検証が進めており、今後、データによる裏付けも進むことでしょう。

本書を公刊するまでの間、様々な国際会議に参加してきました。その中で、サーベイ論文を書く機会を頂き、ブルー経済に関する研究を行うきっかけも得て、研究の幅を広げることができました。今後は、経済成長論におけるESGファイナンスとブルー経済における研究も精力的に行い、将来的に、研究書としてまとめていくつもりです。

なお、本書は英文で記述され、その内容は高度です。その為、数式に頼らず、言葉とイラストによる平易な説明を通じて、学生にも分かりやすくこの研究成果を還元できればと考えています。差し当たり、次年度より始まるゼミ活動において、実践する予定です。

本書の知見が、広く共有され、持続可能な発展の普及に貢献することを願うと共に、ここまでの研究活動をサポートして下さった方々に深く感謝いたします。