2021.7.12

ビジネス統計分析特講3でのAIの講義と実習

 経済学部の専門科目である「ビジネス統計分析特講3」(青木博明担当)では、前期15回の授業があり、Excelソルバーを中心に教えているが、その内3回を関西デジタルソフト株式会社(本社:大阪市北区中之島)社長の沖上俊昭氏を招いて、AI(Artificial Intelligence:人工知能)について基礎的知識と活用事例を学び、さらに入門的な実習を行った。いうまでもなく、AIは現在、大変注目され進歩発展を続けているIT技術であるが、関西デジタルソフトでも多くの応用実績がある。
 第1回目ではAIの基礎教育及び応用事例の紹介があった。関西デジタルソフトでのAIの応用事例であるマスク着用の判定、姿勢推定、差分・画角検出、駅で案内するコミュニケーション・ロボットなど、多くの事例が紹介された。
 第2回目ではAIの入門的実習を行った。AIは、コンピュータに、膨大なデータから有用な規則・ルール・判断基準を抽出する「機械学習」をさせるが、授業ではそのために必要なアノテーション(画像処理)作業を行った。
 今回の目標は、複数の人間が立てた1から5の指の本数を、コンピュータに瞬時に読み取らせることである。そのためには、手の写真と指の本数の対応をコンピュータに機械学習させるための教師データを多量に作成する必要がある。それに必要な手の写真と指の本数に対応させる画像処理(アノテーション)作業を受講生が行った。
 第3回目では、第2回目で行ったアノテーションを元に機械学習を行ったコンピュータが、実際に受講生たちの挙げた手の指の本数を読み取れるか、否かの検証を行った。その結果、写真にもあるように、瞬時に複数の人間の指の数を読み取った。これによって、スマホなどを使わずに、立てた指の数で示した人間の選択(1~5)を、瞬時に読み取り集計することができ、様々な場面での応用の可能性がある。
 次のような受講生の声があった。「AIは大変すぐれた先進技術だが、人間による忍耐をともなうアノテーションという作業がないとAIも機能しないことが分かった」「姿勢推定から人間の挙動を読み取り犯罪や駅での転落事故などを予見できることが分かった」「AIで代替できる職業が多い。将来の就職のことを考えると、人間特有のコミュニケーション能力を高める必要がある」「今回は全3回のみの授業だったため一部分の作業しか実践できなかったが、凄く良い体験ができた。AIを利用するためにはアノテーション作業の他にも沢山の工程があると思うが、どのような順序で工程が進んでいくのかも知りたいと思った」
 授業で主に教えているExcelソルバーについても紹介しておくと、これはExcelのシート上で問題の定式化を行って、最適解(最大化・最小化)を得る機能である。授業では、生産額、予算・生産計画における利潤の最大化、費用や輸送費の最小化、その他にシフト(勤務日程表)問題での最適化を学んでいる。
 AI とExcelのソルバーは、ともにデータや情報をコンピュータに与えて解析させ、最適な解や正確な予測を提示させるという点で類似しており、実践的な知識・技能である。受講生には、この2つの知識と技能をしっかり学んで、将来、社会・ビジネスの現場で役立てて貰いたい。