2022.3.31

海洋ごみ問題の改善に向けたクリーンアップイベントの企画

産学連携先:加太観光協会

 海洋プラスチックごみの相当割合は河川などを通じて陸域から流入することが知られており、海洋ごみ問題を改善するためには、陸上における人々の社会経済活動を見直す必要があります。そのためには、海洋ごみ問題に関してより多くの人々が関心を持ち、日頃からプラスチックの使用・排出・漏洩抑制に取り組むなど、行動を変えられるよう仕向けていくことが重要です。そこで本ゼミでは、多くの人々が海洋ごみ問題に関心をもち、日常生活との関連に気が付き、行動を変えていけるためのきっかけとして、一般の方々向けのクリーンアップイベントを企画することとしました。主な実施場所は大阪湾に浮かぶ和歌山市加太地区の無人島・友ヶ島です。友ヶ島は和歌山市や加太にとって重要な観光地ですが、大阪湾に由来すると考えられているごみが多く漂着し、地域の方々の悩みの種となってきました。今回のキャリアゼミでは、学生たちが、イベントの対象、内容、スケジュール管理、関係者との連絡調整、当日の司会運営など一連のイベントの計画・実行プロセスを主体的に行いました。

学生活動状況報告

 今年度私は、ゼミにフィールドワークで何度も訪れた友ヶ島で、海洋ごみ問題改善のための、クリーンアップイベントの企画・開催に携わりました。このイベントはごみ拾い×アートという一風変わったもので、拾ったものをごみではなく、資源として作品に変化させようという企画でした。
 当日参加者の方々が、「これはどこから来たごみだろう?」や「どこに並べようかな」と楽しそうに参加していたり、海洋ごみ問題に興味を持ったりしてくれていたことがとても嬉しく、人の意識を変えるのは、ほんの小さなきっかけなんだと学びました。また、アートと組み合わせていたことで、参加者の方々と「これはどこに置くのが良いかな」といった会話が生まれ、初めてお会いした方とも自然と交流ができました。
 このクリーンアップイベントを通して、ごみがアートに変化する驚きがあった反面、大量のごみが落ちていることに衝撃を受けたため、多くの方にごみの現状を知ってもらい、綺麗な海岸を作っていきたいと改めて感じました。
経済学部 中谷 文音

参加学生一覧

中島 千尋、中谷 文音、東岡 右規、山本 新、田中 亜利紗、冨田 凜、花田 崚、石田 直之、杉原 由隆、齊藤 涼介、鳩貝 由希菜、姥谷 健心、片山 息吹輝、金井 一輝、奥西 凌、藤井 雄生

連携団体担当者からのコメント

加太観光協会
会長 稲野 雅則 様

 加太地区では、加太や友ヶ島の海岸ごみの清掃活動を長年行ってきましたが、絶え間なく流れ着いてくるごみに頭を悩ませていました。観光地である加太にとって、海岸ごみは重要な問題です。これをなんとかして行こうと、千葉先生と我々で協力して取り組んできました。今年度は友ヶ島や、ごみの出所である大阪の河川などで、学生さんたちと協力してクリーンアップのイベントを開催し、広範囲な清掃活動ができたとともに、多くの人が問題を知ってくれるきっかけとなりました。今後も学生の皆さんが関心を持ち続けてくださることを期待しています。

教員のコメント

経済学部 千葉 知世 先生

 今回のキャリアゼミでは、連携先である加太観光協会さんはもちろんのこと、行政や関係企業など様々な方々のご協力のもと、学生自身がイベント内容の企画立案から当日の運営まであらゆる行程に参加し、クリーンアップのイベントを実施しました。その過程で、個々の学生の主体性と実行力、そして学生同士の相互協力の力が飛躍的に成長したと感じています。また、新型コロナウィルス感染症は活動の制約を余儀なくしましたが、一方、その制約の中で最大限の活動を行うために様々な工夫を講じたのも、結果的には学生たちにとって学びの多い経験となりました。例えば参加者間のソーシャル・ディスタンスの確保、消毒や様々なケアにかかる手順、緊急事態宣言や「まん防」発令時のイベント開催可否の判断などは、通常時には発生しえない手続きであり、こうした諸対応をイベントの中に組み込むだけには入念な準備が求められます。学生たちは自ら頻繁に連絡を取り合いながら、コロナ禍の制約下でも無事にイベントを遂行し、参加者からも高評価を受けました。こうした経験は、学生たちが将来社会で活躍するうえで不可欠な能力を醸成したと確信されます。