産学連携先:和歌山市企画課

 千葉ゼミ2年生は、2020年度キャリアゼミ活動として、和歌山市さんとの連携のもと加太・友ヶ島における海岸漂着ごみの浄化活動を実施しました。
友ヶ島は第二次世界大戦中の貴重な戦時遺跡が残っているほか、修験道の聖地としても重要な場所です。また、「ラピュタの島」として多くのアニメファンを魅了する島でもあります。
 友ヶ島は大阪湾に浮かぶ無人島ですが、大阪湾の都市域から流れてきたと思われるごみが海岸に多く漂着しています。
 今回の活動では、単にごみ拾うだけでなく、回収したごみの量や種類を計測して、どんなごみがどれくらい落ちているのかまで調べました。
 海洋ごみの問題は近年国内外のニュースでも多く取り上げられるようになり、目にすることが増えてきましたが、実際にごみの現場を見て、また浄化活動や調査を経験したことで、その深刻さと対策の必要性を強く実感することができました。

学生活動状況報告

 今回、海洋ゴミの調査という目的で、友ヶ島でのフィールドワークをキャリアゼミ活動として行いました。私は今まで無人島に行ったことがなかったので、広大な自然を想像しながら現地に行きました。しかし、実際の島の海岸には、大きな発泡スチロールと数え切れないほどのゴミのかけらが散らばっていました。フィールドワークを行う前の座学で、友ヶ島の海岸漂着ごみに関する写真や資料を見ていましたが、実際に現地のゴミの状態を見た時は驚き、声が詰まってしまいました。
 落ちているゴミを一つ一つ拾うたびに「このゴミはどういった原因でここまで運ばれたのだろう?」「ここの海岸の形からして、ゴミが集まりやすい場所はどこだろう?」「友ヶ島などの無人島でのゴミ回収と、街中のゴミ回収の難しさの違いはなんだろう?」など、実際に現地を見て体験してみないとまず考えない事について、考えることができました。
 また、ゴミ拾いは大変な作業です。そうした辛い作業の時間を共有したことによって、リモート授業ばかりであまり話したことのなかったゼミの人達や、和歌山市の職員の方々とも交流することができ、コミュニケーション力も同時に鍛えることができました。今回のキャリアゼミを通して、自分で現地に行って考えるという大切さに気付き、人間関係の広げ方も学びました。
経済学部 金井 一輝

参加学生一覧

姥谷 健心、片山 息吹輝、金井 一輝、岡本 侑也、阪本 葵、大木 颯、奥西 凌、香西 智也、小林 勇斗、反甫 浩弥、松崎 瞳真、松本 凌、三原 帆貴、山本 彬斗、大嶋 音々、河島 那月、篠原 海翔、曽根 祐也、藤井 雄生、藤本 峻輔、松井 謙征、松岡 健辰

連携団体担当者からのコメント

和歌山市企画課
担当職員

 友ヶ島内の一部海岸で散見される漂着物については、景観面での阻害のみならず、海洋汚染にもつながっており、本市においても喫緊の課題であることから、令和元年7 月にSDGs 未来都市に選定された計画に、海洋環境の改善など、持続可能な海社会の実現を目標として設定したところです。そんな中で、阪南大学経済学部・非常勤講師の千葉准教授からご依頼があり、友ヶ島で漂着物の調査研究を行うということで、本市が協力させていただき、共に実施させていただくことになりました。漂着物の種類や流れてくる場所等の調査・分析を行い、法規制や科学面での研究へとつなげていくということですので、本市としましても、SDGs未来都市に向けての課題の一つとして、瀬戸内海、ひいては地球全体への環境面の課題解決へとつながればと思っています。今回の活動はそうした展開へ向けた重要な一歩です。

教員のコメント

経済学部 千葉 知世 先生

 本ゼミでは、現場に行って学ぶことを重視してきました。それは、現場で実際の問題に触れることで、座学だけでは見つからなかった課題や価値を発見し、前に踏み出して行動するモチベーションを生み出すことができるからです。今回のキャリアゼミでは、海岸漂着ごみ問題に焦点を当て、座学で基本的な知識を学んだあとにフィールド(友ヶ島)で実際にごみを回収する作業を行いました。フィールドでは大量の海岸漂着ごみを、限られた人数で、決められた時間内に回収せねばなりませんでした。そのためには、指示されたタスクをこなすだけでなく、周囲の状況を適切に把握しながら、いま自分が何をすべきかを考える必要がありました。学生たちを見ていると、自分の仕事が終わると人手の足りていないところに回ったり、どうすれば効率的に回収できるかなどを自発的に話し合っている様子が見られました。チームで動くのに重要な情況把握力を高めることができたのではと思います。また、ゼミの友人や外部の専門家、連携先の方々と対話しながらでしか成立しない作業でしたので、自然とコミュニケーション力を高めることもできたと思います。体力的には大変な作業ですが、学生たちからは「楽しかった」という声が聞かれ、オンライン授業が続く中での貴重な生きた学びの機会となりました。