阪南大学サッカー部は、2021年度に続いて、2022年度もインカレに出場します。2022年12月8日が初戦となり広島大学が対戦チームとなります。前監督のDNAを引き継ぎ「新生サッカー部」を率い、インカレ出場を勝ち取った朴成基監督。
 私たち、国際コミュニケーション学部神尾ゼミナールでは、卒業研究として雑誌『NAVIGATE』を制作しています。今年度は、その巻頭ページに本学の田上博司学長とサッカー部朴成基監督とのトップ対談をインタビュー形式で実施しました。
 朴監督の熱量とそれに大きな期待を寄せる田上学長との特別対談。そのダイジェスト版を5回シリーズでお届けいたします。

略記:監督(朴監督)・学長(田上学長)・イ(学生インタビュアー)
阪南大学サッカー部朴成基監督。朴監督は、本学卒業後、ヴィッセル神戸のプロサッカー選手として活躍。現役引退後は選手の通訳でもあった国際派。全日本学生選抜コーチの重責も経験し、長らくヘッドコーチとして指導をして来られましたが2022年度前任の須佐監督から引き継いで、サッカー部監督に就任しました。

イントロダクション

: 本日は、前監督から阪南大学サッカー部が全国に名を轟かせる強さの原動力のDNAを受け継いだ朴監督に、今後のサッカーの進化への構想を。また、そこに寄せる学長としての期待について本日は「トップ対談」としてお話頂けたらと存じます。本日は宜しくお願いします。

学長監督: こちらこそ宜しくお願いします。

新監督への大いなる期待とは?

: 本学サッカー部新監督への期待と田上学長から見たサッカー部の変化についてお聞かせください。

学長: なかなか難しい質問ですね(笑)。「期待」という面ではかなり大きな期待をしています。重責もあるとは思いますが、2021年度全日本大学サッカー選手権で準優勝したように、全国大会での活躍で本学の全学生と教職員のハートをワクワクさせてくれることを期待しています。それと共に、以前よりもさらに強力なチームに育てて頂きたいというのが我々の希望です。
 特に本学のサッカー部は180名程の所属部員がいるチームです。団体スポーツは監督やコーチにカリスマ性を期待する部分が大きいと思いますし、それを発揮しないと全体をまとめるのは難しいといわれています。その点、朴監督についてはこれまでの実績や、経歴、年齢を考えると、これまでにないことをやって頂けるのかなと考えています。大変気骨が折れることは認識していますが、「そこを何とか!」というのが希望です。

温故知新・共に作り上げていく新生サッカー部

監督: 以前からいずれは血の入れ替えのタイミングは到来するのだろう、とは思っていました。サッカー部の現状であったり、学校の中で置かれている立場であったり、今まで僕も指導者として育てて頂いたり、僕自身も本学の卒業生としてサッカー界で幸運に与ってきました。そのようなことも含め、大学側から監督就任への打診を受けた時、断る理由も無かったので快くお引き受け致しました。
 意外なことですが、プレッシャーは実はあまり無いのです。学生時代、指導者になってからと22年間二人三脚で須佐監督と歩ませて頂きました。須佐監督が様々な場面で「熱意」を発することで、OBや保護者、何よりも大学当局等からの支援をサッカー部にもたらしてくれました。多くの方の人の手助けがあって、グラウンドやクラブハウス、全国大会遠征時の補助等がそれです。
 皆で共に歩んで強くしてきた部分、このサイクルを変に僕が逸脱して独自性を出すのは違うと思っています。しかし、よく言われるように現状維持は衰退です。サッカー部が、「Revolution, on!」のスローガンを掲げているように新しいものにチャレンジし続け、古くて悪いものはどんどん削っていきます。
 但し、古きも引き継ぐべきは継承しつつ、ブラッシュアップしていきます。その中で監督交代時にはバランスも変わります。そこは僕自身が監督として色を出して行かないといけないと考えています。僕一人の力は小さくとも、現役の選手やOB、指導者として一緒に働いてきたコーチ陣がいますので、彼らの力を存分に借りながら適材適所で選手がミッションを達成しやすい環境を作りながら、全体をオーガナイズしていきます。どちらかと言うと現場と言うよりは対外的な所に力を注いで選手がいかにプレーしやすい状況を作ってければと考えています。
 大きな課題としては、ここの3年間での選手の獲得や指導体制、目指すサッカーを構築していくことです。それがないと今後の10年は暗黒期に入ってしまいますので、ここ2~3年が僕の監督としての勝負時ですね。
 また、ピッチでも勝ちたいから勝ち点を拾いに行くとか、無闇矢鱈に対戦相手を傷つけるようなサッカーにはしません。これまで通り、阪南らしく相手をリスペクトしながら自分たちも全力を出し切ります。勝ったから嬉しい、負けたから悔しい等の短絡的なことでなく、「勝って兜の緒を締めよ」の譬えにもあるように、勝っても負けても課題を明確にして次につなげていきます。結果はあくまでも結果です。相手が強大であれば100%を超えた力を振り絞っても勝てないこともあります。目先の勝ち負けにこだわりすぎず、自分たちの課題を毎日繰り返し検証していくスタイルを貫きます。
 そして、これは僕の一番のこだわりでもありますが、戦績もさることながら、皆さんが支えてくれる中で授業への出席や、学内で当然果たすべき役割を果たしていくことです。それによって「阪南大学のサッカー部、何か変わったよね」と言われるまで発展させていきたいですね。

学長: ありがとうございます。今のお話を聞いていると非常に心強く感じます。私が思う所も「継承と改革」です。これまでの良い点は継承して頂き、変えるべき所は変えていく。その中で全体をコーディネートできる監督でいてほしいというのが願いとしてありますので、朴監督が仰った内容は非常に心強いものだと思います。

監督: もう少し付け加えると、僕らが何かを大学に要求するようなクラブではなく、僕らが頑張ることで何か皆さんに応援して頂けるようなクラブになることが重要だと考えています。それを選手、スタッフ共に目標にしています。
 僕が一番嫌いなのは「俺らこんだけしてるから何かしてくれ」ということです。こういうつまらないものでなく、僕たち自身が楽しく一生懸命サッカーをすることで、皆さんが「見たい」、「応援したい」という気持ちになって頂けるようにすることが重要です。そういう地域や大学関係者に愛されるクラブになることは、実際のところ極めて難しいことですが、そこに向かってチャレンジしていきます。

<インタビュー2へ続く>