ゲスト・スピーカーとしてUCLA Chicano Studies Research Centerのカルロス博士をお招きしました

 2014年11月27日(木)3時間目に、かねてより予定していた日米比較政治論のゲスト・スピーカーとしてUCLA Chicano Studies Research Centerのカルロス・ハロ(Carlos Haro)博士をお招きしました。

 1年間の留学経験がある4回生のゼミ生2人にハロ先生を最寄り駅まで迎えに行ってもらい、お昼前に来学。さっそくオープンして間もない50周年記念館の食堂でゼミ学生らと昼食を取り、3時間目の授業に来ていただきました。

 ハロ先生は、アメリカ・カリフォルニア州で高等教育を受けたラティーノで最初の世代であり、UCLAで学士、修士、博士号を取られました。現在のラティーノ学生の目標ともされているハロ先生は、今回、1947年に判決が出たMendez v. Westminster を中心に、カリフォルニア州でメキシコ系アメリカ人が白人と同じ学校に通えることになった画期的な事例の原告であったシルヴィア・メンデス(Sylvia Mendez)さんとの交流などを通じ、どのような理由でメキシコ系の人々が「隔離学校」への通学を強要されていたのか、また同判決の意義について、ラティーノの視点から語っていただきました。
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 講演の後、学生からは活発な質問が出されました。それらは、「メキシコ人はなぜアメリカに行くのか」という根本的な質問から、「当時のメキシコ人学校の先生はなぜ白人女性なのか」、「アメリカ人の通う学校と、メキシコ人学校との教育内容に相違はあったのか」、「ハロ先生は差別に対してどのように対処してこられたのか」といった核心を突いたものまであり、それらのひとつひとつに先生は分かりやすく答えてくださっていました。

 講演も質疑応答もすべて英語でしたが、学生たちは自分たちが経験したことのない“de jure” segregation や“de facto” segregation”といった、初めて聞く言葉にやや戸惑いながらも、ノートを取りながら最後まで熱心に聞き、あっという間の90分間を過ごしました。

 振り返ってみれば、私も学生時代にアメリカにおける差別の問題を見聞きしても、自分の身に降りかかっていないことだったのでどのようにとらえてよいのかわからず、他人事のように思っていましたが、今日、学生たちがアメリカで生まれ育ったラティーノの先生から、現地で実際に起こっていたことを直接聞くことができ、自分たちなりにアメリカの抱える問題について理解してくれていれば嬉しく思います。

 今後もこの授業では、ラティーノやラティーノと日系人との協力関係などについて、深く掘り下げた授業を展開する予定です。

賀川真理