2015.1.16

花王株式会社和歌山工場を調査しました

花王株式会社和歌山工場を調査しました

(1)工場見学の狙い

 流通学部杉田ゼミ2回生は12月17日、花王株式会社(以下花王と略)和歌山工場を調査しました。今回の調査の目的は、①生の生産現場を訪問することで、普段の教室での学習からは得られない経験をすること、次に②あらかじめ訪問先企業およびその所属する業界の現状や課題について学習し、現場で働いている当事者にしか分からないことを質問のかたちにまとめ、質問力を養うこと、そして最後に③質疑応答で得られた知識を基に、来年度ゼミ大会での発表につなげていくこと、の3つでした。

(2)見学先企業・工場の紹介

 花王は日本最大の日用品メーカーであるだけでなく、化粧品、産業用ケミカルなど多くの事業を手がけています。今回訪問した和歌山工場は同社にとって最大規模の工場で、家庭用洗剤および石けん、そして産業用ケミカル製品を生産し、その規模は総生産量の4割以上を占めています。また、製品の生産だけでなく、工場に隣接して同社の研究員2100名中600名が在籍する研究所も立地しています。

(3)花王を見学先に選んだ理由——商品企画に対する関心

 今回の見学先に花王を選んだのは、商品企画を得意としている企業を見学したいという声がゼミ生からあがってきたからです。花王が国内日用品メーカーで首位の座を維持し続けている大きな理由として、研究開発重視、研究者重視の経営方針とそれを実現するための独特な組織運営、そしてそれらが生み出してきた多種多様なヒット商品があります。家庭用洗剤「アタック」(1987年発売)、フロア用掃除道具「クイックルワイパー」(1994年発売)、特定保健用食品「ヘルシア緑茶」(2003年発売)、東アジアの女性の髪質にあわせて開発したシャンプー「アジエンス」(2003年発売)、首すじや目の周りの疲れを簡単に癒してくれる「めぐりズム」(2005年発売)など、その具体例は枚挙に暇がありません。

 杉田ゼミでは、事前学習として『日本経済新聞』、『日経ビジネス』、『有価証券報告書 花王株式会社 各年版』などを題材にして主に花王の製品開発のしくみやそれを支える組織、実際に開発を行った際の具体的エピソードなどについて調べてきました。今回の調査では、生産現場の見学だけでなく、実際に研究開発の場に携わったことのある方に事前学習をすすめる中で生じてきた疑問について直接聞くことができる質疑応答の場を設けていただきました。

(4)見学内容

 見学当日は、まず広報担当の方に先導してもらい、洗濯用洗剤およびキッチン用洗剤製造ラインを見学しました。ここでは普段使い慣れているキッチン用洗剤の製造工程で、様々な工夫が取り入れられていることを目の当たりにしました。企業秘密であるために写真を撮ることが出来なかったのが残念です。
 続いて、バスに乗って工場全体を一回りしました。工場見学には何度か行きましたが、工場全体を回らせてもらったことは初めてで、ゼミ生ともどもそのスケールの大きさに圧倒されました。
 その次に訪れたのは、研究所に隣接する「花王エコラボ・ミュージアム」でした。ここは花王が主に工場見学者向けに環境問題への取り組み姿勢をアピールすることを目的に2011年にオープンした施設です。ちなみに杉田ゼミの来場でちょうど来場者5万人を達成したとのことで、記念に通常より少し豪華なお土産をいただきました。
 エコラボミュージアムを1時間弱見学した後、過去に研究員や商品企画の部署にも所属した経験を持つエコラボミュージアム館長の儘田さんに、事前に杉田ゼミから出しておいた質問項目に沿って質疑応答を行いました。本当は20分程度のはずだったのですが、杉田ゼミ生の熱意に押されてか、大幅に時間を延ばしていただき1時間30分近く我々の質問に応えていただきました。

(5)ゼミ生の感想と今後への展望

 参加した学生からは、以下のような感想が寄せられました。





流通学部2回生:足立慧祐
 「製造に関する全ての事柄を数値化し、細かく分けていたのには驚きました。考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、このようなことの積み重ねで業界トップの地位が得られたのだと感じました。」

流通学部2回生:鶴西紘也
 「エコラボミュージアムでは、花王の製品や作られた過程、他にもどのような素材で作られるかをiPadを使って説明してくださいました。体験したことのない感覚で楽しく学ぶことが出来、子供やお年寄りもしっかり学ぶことが出来るような体験学習でした。内装もこだわっているのか、見たことの内容な構造になっており、見ているだけで興味をそそられるようなものでした。

流通学部2回生:中田健太
 「どのようにすれば、企画職に就くことができるのか?という質問に対し、企画職に就きたいと最初から言わないほうがいい。花王ではまず入社しても新人の集まる部署で花王の全てをきつく叩き込んでからで、企画職は就職していろんなことを学んでから就くものなのだ、という回答が印象に残っています。」

流通学部2回生:市田和基
 「花王が1986年からずっと取り組み続けているTCR(Total Cost Reduction)プロジェクトについて興味を持ちました。TCRプロジェクトは通常業務と兼務なので多忙を極めることになりますが、成果を出せば人事評価に加点されることがモチベーションにつながっているとのことでした。そしてその成果は前年比でのコスト削減額、すなわち『営業利益への貢献度』というわかりやすい共通指標で社内に公開されるため、周囲から称賛され、やりがいも大きいと伺いました。」

 杉田ゼミ2回生は、今回の調査で教えてもらえたことを踏まえつつ、新たに生まれた疑問を明らかにするために来年度も引き続き花王の商品企画の秘密について研究を進めていく予定です。