産学連携先:村岸産業株式会社

 流通学部の杉田ゼミはファッショアパレル産業をはじめとする様々な企業・地域等によるブランディング活動について学んでいます。

 今年度は60年以上化粧筆を企画・製造し続けている歴史があると共に日本で初めて化粧筆専門店を開業した村岸産業株式会社産と提携し、10月28日には京都市内の直営店「六角館さくら堂」を訪問させていただきました。

 そして12月1日、事前学習やフィールドリサーチで学んだことをもとに、六角館さくら堂で販売する化粧筆に関する販売促進のアイディアをまとめ、杉田ゼミ2回生は村岸産業の村岸直子社長を本学に招き、発表会を行いました。

 今回の発表に先立って、学生達には販売促進のアイディアを考える際に3つの制約を与えました。一つ目は、予算を50万円以内に収めること、二つ目はターゲットを明確にすること、そして三つ目は自分たちのアイディアを実現するためにはどのようなモノやコトにどの程度の費用が必要になるのか明確にすること、です。これらの制約によって、より現実的かつ具体的なアイディアを生んでくれることを期待しています。

学生活動状況報告

 私たち杉田ゼミは、村岸産業さんが自社ブランド製品の売上高をより向上させるためにはどうすれば良いのか、というアイディアをまとめ、ご本人に発表させていただきました。

 私たちのグループは、「メンズメイクを始めたいと考えている男子大学生」を具体的なターゲットとして、彼らに対してどのような手を打てば化粧筆に関心を持ってもらえるかアイディアをまとめました。ターゲットを上記のように定めた理由は、私自身がメイクに関心を持っていると同時に、私と同じようにメイクに関心を持つ友人がちらほら見かけるようになってきたことです。

 学生なのであまりお金は持っていないだろう、ということも考慮して、メイクを始める時に一番最初に入手して欲しいアイテムを厳選し、セットにして販売するアイディアを提案させていただきました。具体的には、ファンデーションのブラシとアイブローブラシ、そして下地ブラシの3点セットを5000円で提供しよう、という内容です。あわせて、その次に買って欲しい「メイク後に使える洗顔ブラシ」も3000円で販売することを提案しました。

 このセットの良さを広く男子大学生に認知してもらうために、TikTokを活用するプロモーションを考えました。メンズがモデルになり、半顔メイク(顔の半分がメイク無し、半分がメイクあり)をしてわかりやすく変化を伝えた後、メイクを落とし洗顔までを行う、という動画をつくるというアイディアです。色々なタイプの人がモデルになって、具体的にイメージしやすいようにする、という工夫も考えました。

 実際にメイズメイクをしてるインフルエンサーに商品を無償で提供し、使った感想や使い方の動画をつくってもらうことで、比較的関心を持ってもらえると見込んでいます。

 発表の後、村岸社長から、実際に村岸産業さんでも男性メイク市場には注目しており、同じような製品セットを企画し始めている、という話を聞き、自分のアイディアが実現するかもしれない、と思い少し嬉しくなりました。
流通学部 砂野 佑斗

参加学生一覧

砂野 佑斗、小川 桃佳、甲斐 のん子、北川 新、源内 尋貴、郡 鈴紗、佐藤 優李愛、下原口 直武、辻村 昂大、七森 将、沼田 唯、東口 怜央、宮田 椋介、渡邊 翼

連携団体担当者からのコメント

村岸産業株式会社
代表取締役社長 村岸 直子 様

 今回はゼミ研究発表会にお呼び頂きありがとうございました。
 前回もそうでしたけれど、今の大学生さん達の柔軟な考え、アイデアに感心させられる事多々あり、こちらこそ色々勉強させられます。
今回は特に予算50万という金額が出ていたので、より具体的なアイデアになり、そのまま、実際に実施できるのでは、という企画案もありました。
 ものを買って頂くという動線が時代とともにどんどん変わっていきます。
 その中で、今回のゼミ発表のように今の大学生さん達が何を考えているか、という事ををお聞かせいただくという機会を与えて頂き、本当に感謝致します。
 来年も楽しみにしております。

教員のコメント

流通学部 杉田 宗聴 教授

 今回のプレゼンテーションでは、より具体的かつ現実的な提案ができるよう、3つほどの制約条件を学生達に与えました。

 あまり細かい制約を与えてしまうとアイディアも同じようなものになってしまったり、つまらないありふれたものになってしまう恐れがありました。しかし、せっかくフィールドリサーチで具体的に1アイテムあたりにかけている平均的な販売促進費用を教えていただいたり、その費用をどのような狙いのもとどのような要素に投入しているのか、といったことも教えていただくことができましたので、それらをふまえた販売促進策を学生達に考えてもらいました。

 結果、学生達はこちらが思ったよりも現実的かつバラエティに溢れた提案を行い、非常に実践的な授業ができたものと感じられました。

 これまで、学生による提案は自由な発想はあったものの、非現実的なものも少なからずありましたが、今回の取り組みによってある程度現実的な制約条件を与えた方がより高い教育効果が発揮され、相手先企業にとっても有益な提案ができるということがわかりました。