活動テーマ:繊維産地発のブランドにおけるマーケティング戦略
産学連携先:株式会社ジャパンブルー


 株式会社ジャパンブルーは「桃太郎ジーンズ」や「ジャパンブルー」など国産高級デニムジーンズで有名な岡山県児島を代表する企業の1つです。

 今回のキャリアゼミでは、事前にデニムジーンズで有名な岡山県児島産地の歴史とその児島産地を有名にするきっかけをつくった株式会社ジャパンブルーさんの取り組みについて学んだ上で、実際に「ジーンズストリート」と株式会社ジャパンブルーさんの本社を訪問し、工場見学とともに質疑応答に応じていただきました。

 今回の訪問においてジャパンブルーさんからは、広報担当の木村課長と、桃太郎ジーンズ事業部担当の執行役員である田淵さんに対応していただきました。

 杉田ゼミでは事前に1人につき1つ以上、合計26の質問を準備していましたが、それらを大きくまとめると、主に「どのようにして製品差別化を実現しているのか?」と「どのようなブランディング活動を行っているのか?」の2つに分けられます。

 前者について印象的だったのは、ジャパンブルーさんが児島産地の中でも「染色整理」工程にこだわっており、同じインディゴブルーといっても微妙に異なる様々な色合いインディゴブルーをジーンズ用のデニム生地として商品展開されたとのお話しを伺ったことでした。これは児島産地でもはじめての試みだったそうです。

 後者について印象的だったのは、もっともっとたくさんの人にジーンズづくりでのこだわりについて深く知ってもらいたい、それがブランディングにつながるという考えでした。そして、「ジーンズストリート」が成功した要因として、打ち出すコンテンツを「ジーンズ」一本に絞り込むことができたことだと教えてもらったことでした。学生服や足袋まで拡げた「繊維のまち」ではなく、若者に人気のあるデニムジーンズに絞りこむことは第三者から見ると理に適っていますが、産地内部ではいろいろ反対もあったそうです。

学生活動状況報告

 今回の訪問に先立って、ゼミの授業中にいろいろとジャパンブルーさんやそのメインブランドである「桃太郎ジーンズ」について事前に調べてきたので、実際に工場見学やインタビューを行うのを楽しみにしていました。

 「桃太郎ジーンズ」の特徴は、業界で初めて「10年保証サービス」を実現したことです。そうすることで品質の高さをPRすることに成功しました。今回の工場見学ではどのようにしてそのような品質の高いジーンズを作っているのかについて知りたかったので、大変興味深かったです。

 私たちが見学させてもらった縫製工場はジャパンブルーさんの本社の中にあって、ジーンズ作りに必要な様々な工程別にそれぞれ別の専用ミシンがおいていました。その数を聞くと全部で15種類もあるそうです。中には現在販売されていないものもあったり、大変貴重なものを見せてもらえたと思いました。

 工場の中には修理専門の職人さんが働いているスペースもあり、着古してボロボロになった桃太郎ジーンズが何着か置いてありました。職人さんは私たちにそれらの直し方を丁寧に説明し、直した後のジーンズも見せてくれました。リペアを完了した後のジーンズは新品とほとんど見間違えるような出来で、これなら確かに10年使っても安心だと納得しました。

 大学内の教室では決して得られない体験ができ、とても貴重な1日を過ごすことができました。

流通学部 大南 勇記

参加学生一覧

山形 美空、青木 大亮、池野 佑里菜、大塚 泉美、大南 勇記、蒲田 海里、神原 聖奈、北本 奈々央、呉松 侑桂、高木 桜子、富山 暖乃、西川 杏菜、西村 璃乃香、前田 圭吾、宮永 琴衣

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

株式会社ジャパンブルー
広報室課長 木村 克也 様

 2年前に続き、弊社を訪問していただき誠にありがとうございました。
 今回の訪問を通じて、デニムジーンズづくりの様々な工程における弊社のこだわりや商品に付加価値を高める取り組みについて理解を深めて頂ければ幸いです。またのお越しをお待ちしています。

教員のコメント

流通学部 杉田 宗聴 教授

 現在、数量ベースで日本で流通する衣服の97%以上が中国など人件費の安い国外で生産されたものとなっています。
 日本に残ったアパレル産地は、高価格でも消費者に納得して買ってもらえるよう、高級化・高品質化を中心とした製品差別化と、実現した差別化を消費者に認知してもらうためのブランド化の2つを実現する必要に迫られています。
 今回訪問した岡山県児島産地は、早い段階から上記2つの課題に取り組み、成功した少ないケースのうちの1つです。
 学生達の話を聞くと、これまではビジネスで成功するためには「安くて良いもの」を売ることが必要だ、という考え一点張りだったようでした。今回のキャリアゼミを通じて、「高くても他には無い良いもの」を「高い価格のまま」売ることを考えなければならないビジネスも存在することが理解できたのではないかと思います。
 その点が今回のキャリアゼミでの最大の成果だったと思います。