活動テーマ:若い世代が考えるポートフォリオ
産学連携先:北岡愼太郎公認会計士事務所


 新谷ゼミのキャリアゼミでは株式投資をテーマにしています。一般的に、株式投資に対してネガティブなイメージを持つ人が多いと思われます。ギャンブルのようなイメージであったり、額に汗して稼ぐわけではないことに対する後ろめたさがあったりすることが原因だと思います。しかし、経済のことや企業のことを学び、ロスカットなどのリスク管理を考えて行動すれば、株式投資を怖がる必要はないといえます。
株式投資の方法は、実際にお金を使うのではなく、仮想の資金を元手に実際の株価に基づいて行う、株式売買のシミュレーションです。今回の活動では、単に値上がりしたからよいとはしませんでした。なぜ、その企業の株式が値上がりすると考えたのか、なぜその業界の企業を選んだのか、それを説明できないのでは、たとえ値上がりしたとしても意味はないと考えられるからです。また、学生らしい視点で株式の組合せを考え、株式投資のプロフェッショナルがあまり注目しない株式を選ぶこと、それが今回のキャリアゼミの一番の目的です。

学生活動状況報告

 3年生の終盤から就職活動が本格化し、業界や会社の研究をする機会が増えました。今回のキャリアゼミでの活動テーマは株式に関することですが、まさに業界や会社の研究そのものでした。どの会社の株が将来有望なのかを見るためには、過去の決算ももちろん大事なのですが、将来のことのほうがもっと大事です。その業界のこれからはどうなるのか、その会社の抱えている問題点は何か、そしてその解決のためにどうしているのかなどを知ることによって、その会社の株が成長し、将来値上がりしそうかどうかが予想できます。僕たちはこれから何十年も働くわけですから、そういう視点で業界や会社のことを調べました。
残念な点を挙げれば、就職活動の時期は、エントリーシートの書き方や自己分析などで忙しいので、できれば、1年前から株に興味を持っていればよかったと思いました。そうすれば、会社の研究は早い段階で進めることができて、就職活動には余裕を持って他の準備ができたのではないかと思いました。

流通学部 3年生 秋元 悠弥

参加学生一覧

秋元 悠弥、安達 淳弥、小松 俊行、辰巳 優太、辻野 伶、西野 光輝、野崎 拓馬、東浦 蒔冬、前田 拓哉、増田 泰裕、松田 敏輝、宮崎 耕太、宮下 竜也、宮村 陸

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

北岡愼太郎公認会計士事務所
北岡 愼太郎氏

 今や「人生100年時代!」と言われる中、あるデータでは男性が定年まで同じ会社に勤め続ける割合は約32%であり、若年層において日本的経営三種の神器の1つである終身雇用制度は崩壊しつつあると考えられる。極端に言えば、就職時点において、退職の準備=次の就職(独立開業を含む)を考える時代が来ているのではないか。もっと言えば、就職活動において、人生のステップアップを考えるべきであり、そのためには自分の特徴や強み等を分析した上で、会社を選ぶことになる。その際、有効な資料として会社の財務内容(例えば、有価証券報告書等)がある。気になる(なぜ儲かっているのか、ネットやテレビによく出てくる等)会社があれば、株主になってみよう!金銭的リスクはあるが、なぜ株価は上下するのか、会社の業績以外にも原因があり、世界経済とも深い繋がりがあると感じられるであろう。この結果、会社や人生の選択の幅が広がるであろう。

教員のコメント

流通学部 新谷 雅美教授

今回のテーマは「若い世代が考えるポートフォリオ」で、将来有望な株式の組合せを学生の視点で考えて提案するというものです。一般的に株式投資先として選択すべき銘柄は、トヨタ自動車やキヤノンなど、業績が優れているとか、高配当であるなどの優良株が思い浮かびます。しかし、それでは普通の投資ファンドと変わらないので、この活動の意味がありません。学生の趣味・嗜好を大きく取り込んで、投資のプロが思いつかない学生らしいポートフォリオを考えてみること、それが今回のキャリアゼミの取組みです。
もちろん投資のプロが考えるファンドと比較して、いい成績を残すことは至難の業です。また、新興市場では値動きも激しかったりすることもあるので、仮に投資の成績がよかったとしても、それが偶然であったとしたら意味はありません。結果ではなく、調べる、考えるといったプロセスを重視しました。
株式について学ぶということは、会社のこと、業界のこと、そして社会全体のことを学ぶことにつながることに大きな意義があります。これから彼らの就職活動が本格化します。会社を選ぶときには、財務面や将来性などをしっかり研究して選ぶことができれば、この活動の意義はあったと思います。