産学連携先:松原市

 近年、英国やカナダ、オーストラリア、米国では競技スポーツと生涯スポーツを融合させた若い競技者育成モデルの開発と普及啓発に力を入れてきた。このモデルの中では、競技者の身体的および精神的(知的)な成長を促すために年齢や発育発達段階に合わせていくつかのステージが用意されている。最終的にはこれらのステージを通して、より高いレベルの競技会を目指す競技者も、そうでない競技者も生涯にわたってスポーツを楽しむ活力に満ちたライフスタイルを形成することが共通のゴールとして設定されている。しかしながら、わが国ではこのような考え方の重要性について十分な議論がなされていない。
 
 そこで本キャリアゼミでは、諸外国で開発された競技スポーツと生涯スポーツを融合させたモデルを基に、松原市民や阪南大生を対象として年齢や発育発達段階に合わせた多様な「するスポーツ」への参与機会を創出することを目的とする。特に、幼児の「生涯を通じて運動・スポーツを楽しむための身体的・心理的な素養」すなわちフィジカルリテラシーの向上を重要課題とした。

学生活動状況報告

 これまで、早乙女ゼミでは松原市の子どもたちを対象に、運動する機会を作る活動に取り組んできた。今年度は、新型コロナウイルスの感染対策を工夫しながら多くの取り組みを実施することができた。

 まず、2年ぶりに開催することができた「のびのびあそびフェスティバル(2021年11月開催)」では、大学のグラウンド一面を使い、自転車教室や自由遊び、トランポリンなど様々な遊びを体験してもらうことができた。コロナ禍で運動する機会が減っている中で100名を越える子どもたちが参加し、運営スタッフの学生約40名と子どもが一緒に元気に遊ぶ姿が印象的だった。

 他にも、松原市人権交流センターでは「はーとビューバスケ」と呼ばれるバスケットボール教室を年16回開催した。毎回、バスケットボール経験者の学生を中心に、約15名の子どもにパスやドリブルなどの基礎練習やゲームを通してバスケットボールの楽しさを伝えることができた。

 12月には同施設で「クリスマスイベント」も実施することができた。小学校低学年15名と高学年10名、それぞれの年代に合わせてクリスマスに関係した運動遊びを考え、運営に携わった学生と共に笑顔が絶えない時間を過ごすことができた。

 来年度も、私たち学生が中心となって、子どもたちが楽しく遊びながら運動やスポーツに必要な動きや体力を身に付けられる機会を提供していきたい。
 
流通学部 木下 佳奈

ゼミ集合写真

  • ※写真撮影時のみマスクを外しています

参加学生一覧

野村 貴大、吐山 くるみ、安田 昂生、吉村 尚馬、福泉 奈々、南 優翔、麻野 凌司、石川 和治、市丸 明日翔、伊藤 薫、上田 燎、鵜飼 昭希、右近 ななこ、内田 優希、應治 卓、岡本 翔太、北山 沙也加、日下 翔太、久保 実のり、佐々岡 裕次郎、笹崎 光流、田中 匠馬、平山 明孝、福永 千珠、山崎 聖也、石崎 丈一朗、岩切 一真、岩崎 竜也、片岡 俊介、金本 真由美、杉浦 美来、高原 凪、西馬 琉、畠野 泰成、藤原 竜心、河野 鯨波、矢倉 寛、吉田 昂平、米谷 太一、和田 樹、和田 翔、瀧本 涼太、青山 夢唯斗、岩 優花、内海 香乃、奥田 亜美、小澤 美和、唐澤 仁輔、岸田 龍平、木下 佳奈、小竹 葉月、佐伯 桃香、武内 映璃、立神 怜央、田中 智也、田中 理穂、土持 智沙、西崎 日毬、西田 快誠、藤井 颯大、古谷 海星、宮武 宏次、村上 瑠夏

連携団体担当者からのコメント

松原市
主幹 植田 厚 様

 2021年度も新型コロナウイルスの感染状況が予想できないなか、小学生対象の取り組みを阪南大学スポーツマネジメント部の早乙女先生と相談しながらすすめてきました。

 土曜日に実施している「わくわくクラブ」ではバスケットボール教室を行いました。地域のミニバスのコーチや学生を中心に、基本的な練習からゲームまでメニューを考えて実施しました。このバスケットボール教室は前期・後期合わせて年間16回しかありませんが、参加した児童が教室以外の時間でも松原市人権交流センター(はーとビュー)のバスケットコートを利用しにやってくるようになっています。バスケットボールが好きになって中学校に進学してからもバスケ部を選ぶ人もおり、何年もバスケットコートを利用する人も増えています。

 日曜・祝日はーとビュークラブでは、昨年から始めた4回連続のダンス教室を実施し、新たに阪南大学の本キャンパスで行うイベントを企画することができました。水遊びは参加者から大きな反響があり、はーとビューと阪南大学本キャンパスでの2回を実施しました。特に今年度11月に実施した「のびのびあそびフェスティバル」では、事前に学生から企画の説明を受け意見交流をし、当日を思い浮かべながら企画することができました。学生が参加者に楽しんでもらうためのアイデアを出し合いながら準備をしてくれている様子から、学生にとっても実践的な学びの場になっているのだと感じ、うれしかったです。当日も多くの学生の協力のもと様々なブースが設けられ、学生たちの全力で参加した児童と遊んでいる様子を見て、一緒にすすめられてよかったと思いました。
 
 来年度も引き続き反響があり、リピーターの増えてきているイベントは継続しながらすすめていければと思っています。今後も学生のアイデアや視点から、より参加者にとって魅力的なイベントを企画していくことができるのではないかと思っています。今後もコロナウイルスの感染状況など先の見えないことはたくさんありますが、一緒にすすめていきたいと思っています。

教員のコメント

流通学部
早乙女 誉 准教授

 今年度も、これまでの活動を継続し、阪南大生や松原市民にスポーツをする・みる機会を提供することができた。昨年度は、コロナウィルスの影響でほとんど活動できなかったが、今回は、その反省を生かし、緊急事態宣言が発令されている時期にイベントの準備を進め、宣言が解除されるタイミングを見計らって準備していた企画を実現した。

 2021年11月に同時開催した「まつばら阪南のびのび遊びフェスティバル」と「まつばら阪南スポーツおさがりマーケット」には、松原市在住の子どもと保護者が約300名、運営に携わった学生スタッフが約40名参加し、10年続けてきたゼミ活動の中で最も大規模なイベントになった。この2つのイベントで中心的な役割を担った3年生は、PDCAの準備・実行の段階はもちろんイベント後も熱心に活動し、自分たちで実施したアンケートとインタビューの結果を基に次回につながる改善点をまとめた。4月から準備を始めて12月に終了したこの一連の活動の中で学生は多くの課題に直面したが、それを乗り越えるたびに達成感や自分自身の成長を感じていたようである。

 他にも1年を通して大小様々な企画を実現した。その中で活躍する3年生の姿を見て刺激を受けた2年生から「来年度は是非、自分で企画を実現したい」といった声を聞けたことも大きな成果の1つである。次年度も松原市のスポーツ振興に寄与する活動を継続しつつ、その中で学生が自分で自分を成長させられる道筋を作っていく予定である。加えて、2年生から4年生までの縦のつながりを強化し、先輩に刺激を受けた後輩が積極的に行動する雰囲気を醸成していきたい。