産学連携先:JR西日本SC開発株式会社(ルクア大阪・天王寺ミオ)

 新型コロナウイルス感染症を機に急激に世の中が変化していく中で、消費者はSDGsに代表される環境への配慮を意識して生活していく「サステナブル」なライフスタイルという暮らしへの関心が高まっています。大型商業施設であるSC(ショッピングセンター)においても競争優位を獲得するためには、競合SCにさきがけてサステナブルを意識した経営を実現し、消費者に支持されるモデルをデザインする必要性が重要となっています。
 大村キャリアゼミでは、サステナブル社会を迎えてSCの社会貢献と地域貢献、環境配慮という3つの観点から、多様な顧客ニーズに適応し、進化する「新たなSCの在り方」を提案することを目的として活動を行いました。内容は、基本的な現状把握から、ディベロッパーやSCへのフィールドワークをとおして課題点をピックアップし、その課題解決についてデータを分析し、議論を重ねて、最終的にルクア大阪のディベロッパーであるJR西日本SC開発㈱様へ以下の提案をしました。

(1)ルクア大阪の社会貢献(SDGs・バリアフリー・防災拠点)
  ①SDGsの観点から、オリジナルエコバッグとドリンクのマイボトルの推奨
  ②フードロス削減のための取り組み
  ③3R+認証マーク商品を全体の30%(目標値設定)
  ④バリアフリー化の促進(気持ちよくサービスを楽しむ)
  ⑤大型商業施設による梅田防災スクラムの情報発信強化➡防災拠点化
(2)ルクア大阪の地域貢献(公共性・地域住民サービス・場の提供・まちづくり)
  ①医療・託児所サービスの提供
  ②健康サービスの提供➡コナミスポーツとタイアップ
  ③「天空の農園」「風の広場」を利用したコミュニティ・賑わいの提供
(3)ルクア大阪の利便性(「リアルとデジタル」を行き来する体験提供)
  ①テナント店舗の新作商品やおすすめメニューをいつでも動画で閲覧
  ②物販店は予約制でスタッフが「ライブコマース」による接客

学生活動状況報告

 当初、私はゼミ長として活動に様々な制限があるコロナ禍でどのようにメンバーをリードしていくのかを悩みました。先生と相談し、先ずメンバー15人を小チームに分けLINEを中心として連絡を取り合うことにしました。先ず、SC業界の現状など基本的な事柄を調べ、課題である「新しいSCの在り方」について、小チームで自由に議論し、それを取りまとめながら一本化させました。フィールドリサーチでは、事前に調査リストを準備したため、効率的に実施できました。調査した多くのSCから、その特徴や違い、営業努力の内容が理解できました。各小チームの調査結果を集め全員が共有し、最終的に3つの提案にまとめました。JR西日本SC開発様へのプレゼンは、各チーム代表が協力してスライドと台本を作成し臨みましたが、提案の切り口、内容について高い評価とアドバイスをいただき達成感がありました。今回提案した「社会貢献」「地域貢献」「顧客の利便性」は、議論を進めるうちに現代社会において、どのようなビジネスでも重要です。4月から社会人となりますが、この経験を活かして、少しでも社会に、会社に貢献していきたいと思います。

流通学部 山住 萌笑

参加学生一覧

西口 美佳、梅木 聖太、釜野 徹也、川崎 唯衣、島田 さくら、砂濱 未羽、立石 晴香、谷本 充佑、中川 真希、増田 茉尋、松田 愛日、深山 あすか、森山 咲、山住 萌笑、与田 音央

ゼミ集合写真

  • ※写真撮影時のみマスクを外しています

連携団体担当者からのコメント

JR西日本SC開発株式会社(ルクア大阪・天王寺ミオ)
カンパニー統括本部開発戦略室 室長 舟本 恵 様

 ルクア大阪に対し、非常に示唆深いご提案を頂きありがとうございました。改めて感謝申し上げます。詳細な実地調査に基づいた、具体的かつ論理的なご提案であったこと、また、ルクア大阪だけの調査に留まらず、他の商業施設とも比較したうえでの議論であり、極めて説得力の高いものでした。何より、ルクア大阪がターゲットとしている皆さんの価値観や消費スタイルが垣間見えたことも大きな学びとなりました。社会人になっても、今回の研究で学ばれた問題解決への取り組み姿勢を忘れず、ファッション業界を盛り上げて頂きたいと願っております。これからも頑張って下さい。

教員のコメント

流通学部
大村 邦年 教授

 本キャリアゼミでは、連携先企業であるJR西日本SC開発株式会社様が運営するJR大阪駅に隣接するルクア大阪へ「新たなSCの在り方」について提案をおこないました。コロナ禍ということで、活動制限がありましたが、ゼミ生には徹底してマーケティングの基本である「誰に、何を、どのような価値を提供するのか」を常に考えるように指導しました。また、明確な提案をおこなうには、問題意識の整理と適切な仮説をもとに内容を提示しなければなりません。そのためには、ゼミ生たちの深く考え抜く力、コミュニケーション力、役割分担の責任、最後までやり遂げる力など強いパフォーマンスが求められます。ゼミ生は、4つのチームに分かれて、常に自ら考え、ルクア大阪をはじめとする大阪と京都市内のSCへ安全対策の上、フィールドリサーチを実施しました。そして、LINEやteamsで毎回チームの発表をもとに全員で議論を繰り返し、最終的に成果として3つの提案にまとめてくれました。最後の連携先へのプレゼンでは、スライドと台本を分担して作成し、事前にプレゼン練習をおこない、ご担当のカンパニー統括本部開発戦略室室長舟本様から高い評価をいただきました。ゼミ生たちは、これらのプロセスを経て,「協働と議論」から生まれるチーム力や深く考え抜くことの重要性を感じ取ってくれたと考えます。4月からは社会人として新たな一歩を踏み出しますが、今回の経験価値が、社会で通用する人間成長の一助になったと確信します。最後になりますが、JR西日本SC開発株式会社舟本恵様はじめとする関係各位の皆様に衷心から感謝申し上げます。