2021.3.15

ファッションとしてのスポーツキャップ(帽子)の商品開発

産学連携先:株式会社コカジ

 近年、ファッショントレンドの傾向は、スポーツの要素を取り入れながら普段着にもなる「アスレジャー」が主流となっています。この「アスレジャー」は、現代社会の消費者行動に大きく影響を与え、「モノからコト」へ価値観とライフスタイルの変化を生み出し、衣食住すべてのものに日常的で肩の凝らない商品を好む傾向が顕在化しています。例えば、ラグジュアリーブランドの代表格であるルイ・ヴィトンでもコレクションでは、サステナブルな「アスレジャー」関連の商品が40%を占め、ナイキやプーマなどのスポーツ企業もスポーツをファッションと位置づけ新商品開発の競争が進んでいます。
 大村キャリアゼミでは、この「アスレジャー」を基軸として、そのスタイリングの定番となっているスポーツキャップの新商品開発提案を連携先株式会社コカジ様におこなうことを目的に活動してきました。コカジ様との打ち合わせやキャップ市場調査やサンプリング分析の結果、多くの課題を発見し、その解決策をゼミ内で議論しながら、以下の商品開発の提案をおこないました。

(1)高機能スペックを実感できるアスレジャーキャップ
①かぶって防水透湿など高機能性とあらゆるコーディネートにマッチ
②女性向のカラーや花柄を取り入れるユニセックス
③コカジの持つ専門技術力をファッションに融合
④リフレクター(反射材)使いによる安全性
(2)アウトドアとストリートシーンをオーバーラップさせたハイブリッド型キャップ
①高機能防水加工による野外フェスにも向くアウトドア仕様
②リバーシブルによる2WAYの利便性(二つ折り可能)
③品の良いブリント柄(タウン)とモノトーン無地(アウトドア)の表裏 

学生活動状況報告

 私たちはソックス市場の現状を知るために、心斎橋、梅田、あべのでキャップを販売する店舗調査をコロナ禍であるため4つの小チームに別れて、日程や場所が重ならないよう注意しておこないました。そこで分かったことは、スポーツ専門店では、品ぞろえが同質化していることです。また、商品の高機能を発信するキャップや女性向のファッション感度の高い商品が少ないことでした。また、チーム毎に興味を持ったキャップをサンプリングし、チームでその分析と理想のキャップについて議論しました。そしてコカジ様への提案をまとめる全体会議では、大村先生やコカジ野村部長様から、多くのアドバイスをいただき、具体的な内容をゼミでまとめ、2つの提案が出来上がりました。最終的にリモートになりましたが、コカジ様へプレゼンチーム5名で提案をおこない、具体的なご指摘をいただきました。そして、コカジ様から講評として「プレゼンが明快で聞き取りやすく、スライドも見やすく感心しました。提案内容も興味深い」とお言葉をいただき、達成感がありました。今後は、今回のキャリアゼミでの経験を活かし、これから本格的に始まる就活に向かって、頑張っていきたいと考えます。

流通学部 山住 萌笑

参加学生一覧

西口 美佳、梅木 聖太、釜野 徹也、川崎 唯衣、島田 さくら、砂濱 未羽、立石 晴香、谷本 充佑、中川 真希、増田 茉尋、松田 愛日、深山 あすか、森山 咲、山住 萌笑、与田 音央

ゼミ集合写真

  • ※写真撮影時のみマスクを外しています

連携団体担当者からのコメント

株式会社コカジ
ブランド戦略事業部長 野村 賢治 様

 今回、阪南大学大村ゼミの方々の提案発表は、現場に赴きかつユーザー視点を持って、市場分析やサンプリングの商品分析が実務的におこなわれており、大変興味深く拝聴しました。よくある学生の発表では体をなさない机上論が多いですが、彼らの仮説と検証は高度なレベルでおこなわれており、すぐにでも社会に役立てられる能力であると感心しました。提案についてもアウトドアとストリートを兼ね備えるハイブリッド型キャップは、非常に新鮮な切り口で、弊社においても検討する価値がある内容でした。このような貴重な機会を設けていただきまして、感謝いたします。

教員のコメント

流通学部
大村 邦年 教授

 本キャリアゼミは、大阪府箕面市にある1947年創業の総合帽子メーカー「株式会社コカジ」と連携し、スポーツキャップの新商品開発の提案を目的に活動してきました。同社のビジネスの競争優位性は、帽子のデザインから生地の裏張り、裁断、縫製、プレス、納品までを一貫して自社工場内で行える設備と70年の蓄積されたノウハウや高い技術力にあります。ここで、提案のミッションとしては、コカジ様の持つハイスペックな技術力を活かしながら、アスレジャーの必須アイテムとして消費者ニーズに適合する高感度でファッション性が高いキャップ開発としました。しかし、コロナ禍のゼミ活動ということで当初の計画とは程遠く、思うように動けません。ゼミ生たちはキャップに関する基礎知識の習得から現状分析と課題の発見、続いて少人数チームに別れて市場調査とサンプリング活動を実施しました。その後の検討と提案のスライド作成の作業など、多くがリモート中心で大変だったと思います。しかし、何度も議論を繰り返しながら、最終的に見事に2つのキャップ提案にまとめ上げてくれました。最後のteamsによる、コカジ様担当者である野村様へのプレゼンでは、あらかじめ台本を作成するなど事前準備をおこなった結果、非常に高い評価をいただくことが出来ました。ゼミ生たちは、企業への商品開発提案という高いミッションに取り組み、チームとして助け合いながら乗り越えたことは、自らの将来に向けて、貴重な経験になったと思います。
 あらためて、コカジ本社ブランド戦略事業部長の野村賢治様には、的確なアドバイスと講評、何よりもこのような環境下でご協力いただいたことに衷心から感謝申し上げます。