活動テーマ:大型商業施設(SC)における新たな集客戦略の提案
産学連携先:JR西日本SC開発株式会社


 現代社会では、少子高齢化や消費者の価値観の多様性など、SC(大型商業施設)を取り巻く外部環境は大きく変化し、市場ニーズを的確に捉えることが著しく困難になっています。また、大都市圏では、SCや百貨店など商業施設のオーバーストアが問題となっています。また、ツタヤの枚方T-SITEやギンザ無印など異業種がSCビジネスに参入し、超過当競争が起こっています。ここで、競合する商業施設の中で生き残るためには、効果的な集客戦略によって「売れる環境」作りが不可欠となります。
 大村キャリアゼミでは、JR大阪駅に隣接するルクアイーレを対象として集客戦略に直結する「これからの都心型SCに求められるものは何か?」を問題意識に活動してきました。主な活動は、4つのチームに分かれ、SCのさまざまな情報収集とデータ分析によって、現状把握と課題を抽出しました。また、実際にルクアイーレを中心に数多くのSCへ現地調査をおこない、多くの課題を発見し、その解決策をゼミ内で議論し、以下の3点について具体的な提案を連携先企業であるJR西日本SC開発株式会社様におこないました。
  1. トイレを極める➡顧客満足
    ①女性トイレがスムーズに利用できない原因
    ②原因の解決策
    ③トイレ空き情報システムの導入(IoTのThroneシステム)
    ④男性トイレの充実
  2. 空中庭園を極める➡コミュニティ機能
    ①「天空の農園」スペースの有効活用(春夏秋冬企画)
    ② 「風の広場」スペースの有効活用(春夏秋冬企画)
  3. ライフスタイルビジネスを極める➡サステナブル
    ① 環境問題に取り組むブランド
    ② ソーシャルビジネスに取り組むブランド

学生活動状況報告

 キャリアゼミに際して、ゼミ長として全員をどのようにリードし、まとめようかと考えました。先ずは4チームに分け、先生から与えられた共通テーマ「新たな集客戦略とは」を徹底的に議論しました。議論の前提となる、SC業界の現状や社会ニーズについて調べることからさまざまな課題点が見えてきて、事前調査の重要性が理解できました。フィールドリサーチは、ルクア大阪と枚方T-SITE、京都BALなど多くの商業施設へ足を運び、実態調査を行いました。また、天王寺ミオや心斎橋オーパ、京都BALなどでも調査を行いました。多くのSCを見ると、さまざまな違いや集客について見えてきたことから、調査結果をもとに全員で議論し、ルクアイーレへ3つの提案にまとめました。そして、JR西日本SC開発の舟本様にプレゼンをさせていただき、舟本様からは、お褒めの言葉と提案に対する、今後の可能性などのアドバイスをいただき、大変学ぶことが多かったと思います。これから就職活動が始まりますが、今回の貴重な経験をプラスになるよう、日々頑張っていきたいと考えます。

流通学部 福田 雄飛

参加学生一覧

小島 佳美、中井 麻由奈、西林 拓真、井上 翔太、小澤 孝文、菊池 真魚、北原 佳乃、公文 航平、甲田 啓憲、古賀 七海、高森 彩、田中 里奈、仲谷 芙優、福田 雄飛、牧村 友哉

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

JR西日本SC開発株式会社
開発戦略室室長 舟本 恵 様

 今回、ルクア イーレにおける新たな集客戦略について研究成果の提案を行って頂きました。全体的に、具体的かつ論理的で、説得力のある発表であり、詳細に積み重ねられたファクトが説得力を増していると感じました。特に、ゼミ生の皆様のフィールドリサーチの精度が高く、様々な角度から問題・課題の抽出が行われていたことに感銘を受けました。また、問題・課題の抽出だけに留まらず、外部企業との連携や、遊休スペースの活用など、極めて具体的な打ち手が提案されたことに驚きました。是非とも、ファッション業界、あるいはショッピンセンター業界に進んで頂き、一緒に業界を盛り上げていきたいと感じました。非常に示唆深い発表でした。ありがとうございました。

教員のコメント

流通学部
大村 邦年 教授

 本キャリアゼミは、過当競争といえる大型商業施設(SC)の中で生き残るためには、日常的に消費者目線で、問題点を発見し、改善することが求められます。そしてマーケティングによって世の中の変化を的確につかむことが重要となります。つまり効果的な一手を打ち続けることが最終的に顧客満足から集客につながり、「ヒトが集まるSC」になると考えました。そこでゼミの問題意識と仮説を設定し、活動をとおして、連携先企業であるJR西日本SC開発株式会社様が運営するJR大阪駅に隣接するルクアイーレへ「新たな集客戦略」の提案をおこなうことを目的としました。
 先ずSC業界の基礎知識と市場分析、フィールドリサーチ(現場主義)に基づく現状把握と課題の発見、そして課題解決から導かれる最終提案というプロセスで進めました。学生には徹底的にマーケティングの基本である「誰に、何を、どのような価値を提供するのか」を考えさせ、提案をまとめ上げるように指導しました。ルクアイーレで実現可能な提案をおこなうためには、具体的な問題の背景と可視化できる内容を示さなければなりません。そのためには、ゼミ生たちの適正なキャスティングと集中力、深く考え抜く力、コミュニケーション力、役割分担の責任感、遂行力などの強いパフォーマンスが求められます。4チームのゼミ生は、常にチーム単位で自ら考え、ルクアイーレをはじめとする大阪市内のSC、TUTAYAが運営するSC枚方T-SITE、京都市内のSCへマーケティング調査を実施しました。そして、チーム毎の発表を元に全員で議論を繰り返しながら、最終的にキャリアゼミの成果として3つの提案にまとめ上げました。最後の連携先への提案では、事前に台本を作成し、プレゼン練習を周到におこなった結果、カンパニー統括本部開発戦略室室長舟本様から高い評価をいただきました。ゼミ生たちは、これらの活動プロセスを経て、「協働と議論」から生まれるチーム力や深く考え抜くことの重要性を肌で感じたのでないかと思います。これから本格的にスタートする就職活動と、さらなる人間成長へ重要な経験価値になったと確信します。最後になりますが、JR西日本SC開発株式会社舟本恵様はじめとする多くの皆様のご協力に衷心から感謝申し上げます。