流通学部大村ゼミは、将来ファッション分野でリーダーとなる人材養成を大きなフラッグとして掲げ、ファッションブランド価値やファッションビジネスに関するさまざまな研究活動をおこなっています。
 7月12日(金)大村ゼミ2年次生15名は、JR西日本SC開発(株)様、西日本旅客鉄道㈱様のご協力により、JR大阪駅に隣接する大型商業施設「ルクアイーレ」で、フィールドリサーチをおこないました。今回の目的は、ファッションを中心としたSC(ショッピングセンター)がライフスタイルに対応させるように、新業態といえる新たなフードコートといえるチカバルやユニクロとGUのジョイント店舗などの経営戦略を学ぶことです。私たちは、表側の華やかな商業施設しか見れませんが、その裏側には綿密に計画されたさまざまなマーケティングを中心とした顧客ターゲットの設定、ブランディング、プロモーション、集客手法が実践されています。
 先ず、従業員入退館口から入館手続きをして、早速会議室でJR西日本SC開発㈱カンパニー統括本部 開発戦略室 室長の舟本 恵 様(SC経営士)から「ルクアイーレの開発コンセプトと戦略」について、レクチャーが始まります。主な内容は次の通りです。(1)ルクア大阪を取り巻く外部環境、(2)マーケットの変化と顧客ニーズ(3)SCと百貨店の融合、(4)ポジショニング(年齢・趣向性×客単)、(5)ターゲット分類、(6)ターゲットマインドに沿った提供する価値、(7)コンセプト、(8)マーケティングに裏うちされたMD戦略、(9)コンセプト設定、(10)レイヤープラン、(11)売上推移、(12)今後の方向性、(13)チカバルなどの新業態開発、などを詳しくレクチャーしていただきました。最後に、舟本様からゼミ生たちに対して、ビジネスでは常に「誰に」「どのような価値を」「どのようにして提供するか」を考えること、大学で学ぶ基本的なマーケティングが重要であるとメッセージをいただきました。
 その後は、商業施設の要といえるバックヤードを見学し、実際の駅ビル運営システムを学ばせていただきました。今回の経験から、将来ファッション業界をめざすゼミ生たちにとって、ファッションビジネスの重要な販売チャネルであるSCの裏側にある綿密な経営戦略を知れたことは、今後の就活でも大きな強みになることは間違いないでしょう。

スナップ

  • 舟本様によるルクアイーレ開発についての講義がスタート!

  • 講義後の質疑応答では活発な学生視点の質問が・・・。

  • 商業施設のバックヤードを見学。

  • 経営戦略を実際に目で見て学ぶ!

  • 最後は、舟本様への感謝として集合写真

  • 緊張のフィールドリサーチが無事終了!

感想文

与田 音央(2回生)

 今回、ルクアイーレの見学、そして、ルクアイーレの開発コンセプトと戦略についてのお話を聞かせていただき、さまざまなことを学ばせていただきました。 ルクアイーレの開発コンセプトと戦略については、実際に会議で使用された資料をもとに、当時どのような会議が行われ、どのように話が進んだのか、などとても貴重な内容を知ることができ、とても勉強になりました。特に、マーケティングにおいて、自社の「強み・弱み・機会・脅威」を分析するSWOT分析、また、「市場環境・競合環境・自社環境」を分析する3C分析、そして、「製品・価格・流通・販売促進」を明確にする4P理論など、基礎的な知識が重要であること。それらの基礎的な知識をもとにマーケティングを行うことで、すべてのファクト(事実)が明確になり、ビジネスが成功するということを学びました。将来、自分が企業に勤め、活躍するためには、大学で学ぶマーケティングに関する基礎的な知識が必要だと強く感じさせられました。とにかく大学で学べる自分の環境を大切にしたいと思いました。
 梅田駅周辺には、ルクアイーレ以外にも多数の商業施設があるので競争が激しく、厳しい経営環境だと思っていました。しかし競合施設が多いという脅威を、相互間で協力することで、地域全体の集客を増やす機会に変えるという内容を聞き、とても勉強になりました。例えば、バーゲンセールの開始日を統一することで、梅田に訪れる人を増やし、結果的に各施設の集客につなげるという具体的な戦略を学ぶことができました。
 私は、これまで消費者目線からビジネスを見ていました。しかし、今回のフィールドリサーチによって、マーケティングなどの戦略を考えた企業目線からビジネスを見ることが、少なくともできるようになり、自分自身が成長できる良い機会となりました。今回学んだことを、自分の将来につなげ、活かせるようにこれからも勉強していきたいです。

深山 あすか(2回生)

 7月12日のゼミ課外活動として、大阪駅直結にあるルクアイーレを見学させていただきました。私はルクアイーレでアルバイトしているので、バックヤードや売上入金機など、日ごろから見ていました。またいつもルクアイーレで買い物するので店内も見慣れていました。
 はじめにJR西日本SC開発㈱舟本様からルクアイーレの開発コンセプトとビジネス戦略について長い時間お話をしていただきました。その当時実際に使われた会議資料を用意していただき、その資料にはルクアイーレのコンセプト、戦略、価値など事細かに書かれていました。従来の駅ビルがターゲットにしたのは10代から20代が代表的でした。ルクアイーレはルクアに比べて、百貨店(三越伊勢丹)フロアと多くの雑貨店があり、年齢層が高いイメージがありました。しかし、その年齢層は大阪のショッピング施設の客層を考えたルクアイーレ独自の戦略だったことがわかりました。それは、ルクアイーレの前にあった三越伊勢丹の失敗を分析して、改善したことがあげられます。その背景には、実際に一万人のモニターから自社の「強みと弱み」をアンケート調査し、リアルな声を聞いたところにありました。そのアンケート結果をもとにルクアイーレの新たなターゲットが決定され、そのような客層はどういったモノを求めているのかという「価値の提供」について検討しました。この過程を経て、基本コンセプトが決定され、具体的なテナント誘致などの計画が検討されていく。既存のルクア本館との競合を避け、百貨店業態の三越伊勢丹との融合も考えながら梅田での独自のポジショニングを決めます。すぐ近くにあるグランフロント大阪とのポジショニングでのすみ分けも考え、ファッション感度の高いファストファッションを導入することで集客力の向上や梅田地域全体としてのターゲットの最大化も実現できます。このように、既存のルクアと三越伊勢丹、他の商業施設を分析することで、唯一無二のルクアイーレになったということがよく理解できました。
 今回のフィールドリサーチでは、商業施設がどのように計画され、運営されているのかを学ぶことができました。そして、基礎的なマーケティングこそが成功の秘訣だということがわかりました。ファッションやトレンドの知識も必要ですが、あらゆる角度から考え抜くことで、より深くファッションを学べると感じました。ルクアで働いているだけでは、わからないことばかりだったので、とても勉強になりました。販売員の立場から見た裏側とはまた違った目線でファッション業界を知ることができ、いい経験となりました。今回学んだことを今後に活かし、精進していきたいと思います。ありがとうございました。

中川真希(2回生)

 ルクアイーレの普段見ることのできない、バックヤードの様子を見させていただくことができました。セール中ということもあり、在庫に入りきらなかった商品をバックヤードの廊下に置くことにもルールがあることを初めて知りました。また、清潔感もあり、従業員用にコンビニエンスストアもあるということに驚き、お客様のことだけでなく、従業員のことも考えられているのだと感じました。ルクアは、売上として一日億単位のお金が動いており、その入金室を見学しましたが大変厳重なシステムでした。
 また、JR西日本SC開発㈱の舟本様の講義では、しっかりとビジネス環境に対する事実を押さえることが重要であるということを学びました。2015年のルクアイーレ開業以降、売上の推移も上がり、2018年には、200億円も伸ばしていることから、ルクアイーレの効果がうかがえます。ルクアイーレは、30代の百貨店離れということもあり、30代の顧客を獲得するため、三越伊勢丹がテナントとして出店し、SCと百貨店を融合させているということでした。しかし、ルクアイーレは、一般の百貨店と違い敷居が低く、若者でも入りやすいように感じました。このことから、モノを売ろうとしたとき、「何を売るかではなく、誰にどのような価値を提供するか」ということが、ポイントであることを教えていただきました。ターゲットとなる顧客の困りごとを解決するためにも、ターゲットのライフスタイルについて分析するなど、マーケティングは必要不可欠だと感じました。また、他の商業施設とセールの時期を合わせることで、相乗効果を狙っているということでした。私は、他の商業施設よりも、セールの時期を早くしたほうが、売り上げがアップするのではないかという考えでした。そして、店舗を出店する階も考えられており、ファッションブランドの顔となるものをJRの改札がある3階に持ってきているということを知りました。
 今回のフィールドワークでは、本当に貴重な体験をさせていただき、感謝しています。今後の将来に役立てられることが、たくさんありました。特に、私はこれから、マーケティングの基礎をしっかりと学んでいこうと思いました。