流通学部 流通学科  森中 由貴

9月14日(水)に、基礎演習(2年生)4名で日本銀行大阪支店を訪問しました。日本の金融の中枢である日本銀行についてはもちろんですが、大阪支店旧館の歴史、魅力についても詳しくご説明いただき、学生たちには大変興味深い見学になったようでした。

日本銀行大阪支店は、Osaka Metro(御堂筋線)の淀屋橋駅を下車し、徒歩5分弱のオフィス街にあります。土佐堀川を越えるとすぐ日本銀行大阪支店の美しい旧館の姿が見えます。

見学は、まず日本銀行の機能や役割を解説したDVDを視聴したのちに、新館の営業室ロビーから実際に日銀の職員の方々が業務を行っている窓口の様子を見学しました。続いて、旧館(階段室・記念室・資料展示コーナー)では、日本銀行大阪支店の歴史等をお聞きすることができました。

旧館の設計は、「日本近代建築の父」といわれる辰野金吾氏によるものです。この名前を知らなくても、東京駅(丸の内駅舎)は、知っている方もいるのではないでしょうか。彼は、同駅や日本銀行本店なども設計しました。
階段室では、旧館が建設された当時(1903年)の部材を再使用しながら復元された正面内玄関と階段を見学しました。階段は重たい鉄が使用されているにもかかわらず、柱がなく、階段をアーチ型にすることで重量を支える工夫がなされていました。欄間やステンドグラスが素晴らしかったです。
大阪支店の旧館では、明治時代の部材を使用して再現した記念室等を見学することができました。記念室は、かつて応接室(貴賓室)として利用されていたそうです。ちょうど、旧館のドームの真下に位置します。天井が非常に高く贅沢な空間でした。
(これは余談ですが、この記念室は2015年に放送されたNHKの連続テレビ小説「あさが来た」の撮影で使われたそうです。)

資料室コーナーでは、来年(2024年)に新しく発行される紙幣に施される工夫・技術をご説明いただき、実際の新紙幣を見て確認もしました。日本の偽造防止技術は、世界でもトップクラスと言われています。

また、こちらでは、1億円(模造)の重さも体験することができました。日本銀行によると、「お札を1,000枚でまとめて帯をかけたものを『束(そく)』と呼び、10束分をパックしたものを『十束封(じゅっそくふう)』」と言い、その重さは約10kgにもなるそうです。ということは、写真の40億円十束封は約400kgです!
最後に頂いたパンフレット等の中に、日本銀行券(紙幣)の屑が入っていました。これは、日本銀行に戻ってきたお札(紙幣)をみなさんが安心して使えるか確認(鑑査)したのちに、傷んだりして使えないものを裁断したものです。見学の記念品としてはおもしろいですね。これ以外に、裁断された紙幣の屑はリサイクルされ、トイレットペーパーなどになります。もしかしたら、みなさんが使っているものにも含まれているかもしれません。

学生のコメント

 日本銀行を実際に見学して驚いたのは、日銀に戻ってきた硬貨や紙幣を人の目で確認していることです。大雑把なところは機械でもできますが、最終的に判断するのは人の目で行っていました。さらに驚いたこととは、日本銀行の支店を各地に配置してきた理由です。私は支店のことなど全く気にも止めていませんでしたが、交通の便も考慮して歴代の支店を配置し日本全体の経済の発展等において一役を担っていました。
 そして極めつけはお札です。2024年から新しいお札が発行されます。その際にどの国の人でも分かりやすいように数字を大きくするなどユニバーサルデザイン化を進めていました。しかしその程度のことなら日本以外の国でも行っていることですが、日本のお札の真骨頂はニセ札防止技術です。現在のお札にも、特殊なライトを当てると浮かび上がるハンコの印章や書かれている文字自体に細工するなどかなり高い防止策がとられていました。今回新たに発行されるお札には、この上を行くニセ札防止策が使われていました。それは肖像のすかしの背景にひし形のマーク状のすき入れに加え、3Dホログラムが入るということです。この技術によって、お札を傾けるだけで中の人が横を向いたりします。これがお札に導入されるのは世界初です。
 上記のことを知っただけでもお札に対する向き合い方が、今後少し変わる気がしました。
森中ゼミ2年 吉田 永遠 

おわりに

大変わかりやすい説明をしてくださったご担当者様、見学を受け入れてくださった日本銀行大阪支店様に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。