活動テーマ:兵庫県香美町で開催される姫ボタル瀞川平トレイルランを通じた観光産業の活性化
産学連携先:株式会社むらおか振興公社


 スポーツ庁、文化庁、観光庁では、スポーツや文化芸術資源の融合により、新たに生まれる地域の魅力を国内外に発信し、訪日観光客の増加や国内観光の活性化を図るための取り組みについて、「スポーツ文化ツーリズム」として3庁が連携して魅力あるコンテンツを創生する活動を推進している。こうした動きの中で、地方自治体では域内の観光およびスポーツ資源を活用した参加型スポーツイベントの開催を通じて、その地域を活性化させる取り組みを進めている。加えて、このようなスポーツイベントの開催やそれに伴う環境整備は、観光客数の増大だけではなく、地域住民のスポーツ参加率を上げ、健康づくりやコミュニティ形成に対する効果が期待される。
そこで本キャリアゼミでは、毎年夏に兵庫県香美町で行われる姫ボタル瀞川平トレイルランの大会運営とプロモーション活動から、地域活性化に寄与する方策について検討することを目的とした。

学生活動状況報告

 まず、5月中旬に兵庫県香美町に下見に行き、トレイルラン大会の田丸実行委員長と打ち合わせをしました。そこで今年度は、これまで通りのアンケート調査とプロモーション動画の作成に加えて、新たに「阪南エイド(ランナーに飲食物を提供する場所)」を運営することが決まりました。その後、約1カ月間かけて準備をし、6月24日に開催された「第6回姫ボタル瀞川平トレイルラン」に臨みました。私自身は2年目の参加でしたので、去年の経験を活かして学生スタッフの先頭に立って行動することができました。
 大会終了後はアンケートを集計して、7月中に実行委員長に結果をフィードバックしました。さらに、2019年2月11日に大阪成蹊大学で開催された「リサーチ・カンファレンス2019(主催:日本スポーツ産業学会、公益財団法人笹川スポーツ財団)」でキャリアゼミでの活動内容を発表したり、同月21日に香美町で開催した成果報告会では来年度に向けた課題などを報告しました。
 今年度のキャリアゼミでの自分の活動を振り返ると、自ら率先して他の学生スタッフにイベントの事前準備や運営方法を説明するなどして、チーム全体をまとめるために努力しました。また、アンケートチームの一員として結果を集計する一方で、エイドチームや動画チームと連携して、「参加記念品の改善」や「阪南エイドに適した飲食物」、「動画作成のスケジュール管理」などの改善点を整理することができました。このように、他のメンバーとの共同作業を通して、事前準備や相手の立場になって考えることの重要さを学びました。

流通学部 井上 幸涼

参加学生一覧

(黒部ゼミ)
(2年)
牧野 大和、今井 彩華、宇田 翔、久保 実梨、小松 聖、高橋 大成、田上 佳依、辰己 稜汰、半田 萌里、堀 海斗、前田 月弥、鎗山 崇大、吉田 隆将、

(3年)
宇野 智大、小野 瑛司、阿部 大悟、石田 武、井田 嘉楠、今江 勝政、川又 力哉、木村 俊輝、鶴島 豪、廣田 一宇、藤村 大輝、麓 沙羅、山口 塁、山中 善量、山本 敦輝、

(早乙女ゼミ)
(2年)
西山 あや音、上田 琢海、口脇 十海、後藤 彩花、志村 雄太、水舎 弘貴、竹内 晴輝、田代 結花、中野 知良、仲村 友来帆、吐山 くるみ、福島 崚太、三ツ井 滉哉、森島 佑太、山下 翔也、吉見 亮祐、和田 拓也、

(3年)
石川 和、鍛冶野 有里、野村 貴大、大谷 龍平、岡 駿祐、小楠 勇樹、久米 晋太郎、井上 幸涼、杉本 瑠奈、武田 幸一郎、土井 櫻衣心、土井 美奈、花田 絹香、東井 星心、丸谷 淳史

ゼミ集合写真

連携団体担当者からのコメント

株式会社むらおか振興公社
田丸 明人氏

 阪南大学の学生さんと共にイベント6回目を無事終了しました。大会も年ごとに良くしたい中、阪南大学生さんには、3班での活動でまず新たな取り組みとして阪南大学エイド(給水、食事テント)を自ら考えて頂きました。「手作りのレモンチョコレイト」「冷やしラーメン」の提供又応援グッズも持ち込みTシャツも揃え、ランナー応援をして頂きました。3回目のDVDの作成では撮影した多くの収録を「トレイルラン」という楽曲(クレージーウェストマウンティン)に合わせ、レベルの高い作品に仕上げて頂きました。ゴールでのランナーのサポートとアンケート調査では、ランナーの負担を考えて、答えやすいタイミング、場所を顧慮するなど前回の反省点を改善した様子を拝見させて頂きました。大会実行委員会としてはつらつとした学生さんの動きや笑顔が他のボランティアスタッフに好影響を与え明るく活気のあるイベントとして位置づけられていると実感しています。年ごとに進化を続けていきたいこのイベントに阪南大学生さんは、欠かせないものになってきています。

教員のコメント

流通学部 黒部 一道准教授

 早乙女ゼミとの連携型キャリアゼミも今年で3年目を終えました。ゼミの垣根を越えてスポーツを通じた地域活性とは何かを考え、実践を続けてきました。株式会社むらおか振興公社と産学連携活動を始めた初年度は学生もスポーツイベントの運営を知ること、運営側から与えられた仕事を全うすることに終始していたように感じます。しかし年々大会の経験者が増えるに従い、大会を盛り上げるために自分たちが出来ることは何か考えられるようになり、したいこと、やりたいことを具現化できるようになってきました。3年目の今年は例年行っている大会のプロモーション動画の作成だけでなく、学生による阪南エイドを立ち上げ、冷麺や手作りのチョコレートなどの提供に加え、太鼓を使った熱狂的な応援でランナーの背中を後押しすることができました。次大会向けた課題もありますが、学生が企画から準備、本番までのすべてを主体的に責任を持って行えたことは今年の大きな収穫でした。ボランティアもランナーも一緒に楽しめる大会をモットーに来年度も香美町を舞台とした連携活動を行っていきたいと思っております。

流通学部 早乙女 誉准教授

 2016年度からはじまった株式会社むらおか振興公社様との産学連携も今年度で3年目を迎えました。活動の内容はこれまで通り、夏のトレイルラン大会や冬のかまくらレストランの手伝いなどでしたが、2年間で蓄積したノウハウや過去にこの活動に関わってくれた「経験者」である上級生のおかげで、活動の質が飛躍的に向上した実感があります。
 特に、トレイルラン大会のプロモーション動画を作成した花田絹香(流通学部3年生)が目覚ましい活躍を見せてくれました。完成した動画は、動画作成の素人の私が見るとプロが作った作品かと思ってしまうくらいの高い完成度で、連携先の田丸社長からも高い評価を頂きました。加えて、井上幸涼(流通学部3年生)が、2019年2月11日に大阪成蹊大学で開催された「リサーチ・カンファレンス2019(主催:日本スポーツ産業学会、公益財団法人笹川スポーツ財団)」で発表し、見事、3年生以下の部で奨励賞(第2位)を受賞したことも大きな成果の1つです。
 このように、3年間かけて発展させてきた本活動を通して着々と学生が成長しています。2019年度も、キャリアゼミの主旨の1つである社会人基礎力の育成を目指して、この活動自体のPDCAサイクルを回していきたいと考えております。