2023年7月10日、「マーチャンダイジング」の授業にてゲスト講義及びゼミ交流会(キャリアゼミ)を行いました。今回はジェイアール西日本ファッショングッズ社長の玉永氏をお招きし、社長の歩まれた豊富な経歴を通じて、百貨店ファッションバイヤー時代から駅ビル、コンビニエンスストアまでMD実務について丁寧にお話をいただきました。「誰に何をどのように」(顧客分類⇒商品分類⇒展開分類)価値をもたらすのか、というバイヤーの果たすべきコアの部分を具体例を用いてお話しいただきました。特に顧客の「分類」と商品の「分類」をどのようにマッチングさせたらよいのかについて、テイストマップで視覚化したり、MDの5適をチェックしたり、あるいは消費者の購買行動に関心の度合いをつけたりといった方法で具体化していく説明を丁寧にお話いただきました。1期生ゼミ(3回生)のメンバーは百貨店とSCのMDのせめぎ合いについて質問をし、玉永氏は客数で稼ぐビジネスの難しさや、客単価で稼ぐ百貨店ビジネスの現状、SCビジネスの自由度の高さなどについてご説明いただき、一長一短であり一律に判じることの難しさについてご回答されました。
 
池澤ゼミ1期生(3回生)と集合写真。
 
「マーチャンダイジング」授業を実務的に総括していただきました。
 
バイヤーとは何か?そして、どのような活動を行っているかを具体的にご提示いただきました。
 
ファッションを見える化するだけでなく、言語化することの大切さを学生たちは実感。

 
百貨店とSCの競争優位性について、質問が出ました。

 
バイヤーの大変さと面白さを実感できた1コマでした。ありがとうございました!
 

学生コメント

 京都をはじめ、伊勢丹の開発をしている時のお話をしてくださって、PDCAサイクルから細かく分類したり商品の仕入先を研究したりと地道に進めてきた事が分かりました。今では梅田には伊勢丹は無く、ルクアイーレがあります。何年もかけて研究や開発をしてきたものが必ずしも成功し続けるものではないと思いました。それほどに梅田での競争が激しく、この場所で生き残り続けることは難しいのだと思いました。
流 稜太

参加学生一覧

青井 鏡悟、 流 稜太、 三國 真陽南、 光永 圭吾

連携先コメント

株式会社JR西日本ファッショングッズ
代表取締役社長 玉永 信彦 様

【プロフィール】
1993年、西日本旅客鉄道株式会社入社。(株)伊勢丹婦人服アシスタントバイヤー、JR京都伊勢丹開業時には婦人服バイヤーに就任(1995年)。また大阪三越伊勢丹(大阪店開業準備室)へ出向し、婦人服(TREND・CREATER)担当長兼バイヤー(2008年)。また、JR本社でSC統括のほか、京都駅・大阪駅・新大阪駅・広島駅などの主要ターミナル駅の改良工事を経験。また、㈱デイリーサービスネット(セブンイレブン店舗開発)直営事業本部担当部長を経て、2019年より㈱ジェイアール西日本ファッショングッズ代表取締役社長。

【コメント】
 マーチャンダイジング論を実際の現場でどのように活用しているのか、百貨店バイヤーの視点・経験から話をさせて頂きました。ファッションビジネス業界において、バイヤーは重要な役割を担っていますが、自分の好きなカッコいいものを集積するのではなく、あくまでマーケットを分析し、対象の「お客様」を設定し、「お客様」の欲しいもの想像し、集積することが大切です。今や経験がなくとも、SNSやネット上で、誰しもがものを売れる時代です。しかしながらその反面、実際の店舗でお客様と向かい合いながら買い物を楽しむ「リアル」も同時に必要とされていると思います。学生の皆さんの中から、一人でも多くファッション業界、バイヤーを志して頂ければ幸いです。

教員のコメント

流通学部
池澤 威郎 准教授

 JR西日本ファッショングッズの玉永信彦社長にご来学いただき、バイヤーとしての立ち位置から、MDのサイクル(PDCA)をどのように回しながら業務を進めていくのか、について実務的観点から「マーチャンダイジング」全体の総括をしていただきました。また、「ファッションビジネス」を事業として(商売として)成り立たせることの難しさについて触れました。「カッコ良さ」だけでバイイングするのではなく、売れ筋を押さえ、死に筋をカットする。また、その間には顧客の購買に必要な「見せ筋」が必要である、といった売上という成果につながるような調整が大切であることをお話されました。学生たちは「MD」の一端に触れ、業態を超えた一連の活動のサイクルについて理解できたようでした。