産学連携先:JFDA 日本香りデザイン協会,ファーストピクチャー神戸 

 キャリアゼミの一員である平山ゼミではファッション・ブランド研究を通して、ゼミ生それぞれがキャリア・アンカー(自分自身の拠り所)を探る活動を中心におこなってきました。
 そのために理論的な知識と技術をまず深めることで、ファッション・ブランド企業のブランドの本質とは何かを学んできました。次に、ファッションの本場である神戸ファッション美術館やモノづくり経験として神戸北野工房のまちにおいて皮革製品づくりに勤しむことから見えてくるクラフトマンシップの本質に迫ることになりました。
 最後に取り組む課題としては、地元松原市の市の花である「薔薇」と市の木である「松」をベースに、昨年度より本格的な香水づくりのレシピの提案を行い、地元松原市の地域ブランドとしての提案をおこなうことを目指しました。
 今回のゼミ活動の年間スケジュールにおいて重要なものとして位置づけられたポイントは次のとおりです。
  1. 年間ガイダンス 自己紹介 組織論的ゲーム
  2. ファッション知識・技術の習得
  3. キャリア・アンカー(自分自身の拠り所となるものを探る)の視点の取り入れ
  4. フィールドワークでの経験価値の蓄積
  5. クラフトマンシップ(ものづくり)への挑戦
  6. 関係団体へのプレゼンテーション・評価
  7. 総括

学生活動状況報告

 キャリアゼミの一員である平山ゼミでは日々ファッションに関わる知識と技術、そしてキャリア・アンカーという自分自身の拠り所を身に付けるために1年間さまざまな行事やファッション研究を通して取組んできました。その中で私自身がより前向きに将来の自分を考える機会やきっかけともなった行事ベスト3を紹介します。
①神戸ファッション美術館見学研修:ここでは学芸員の浜田久二雄先生から「ヨーロッパ・ファッション400年の歴史」を貴重な写真や映像を見ながら、それぞれの時代において人々がどのような衣服が流行していたのか、それらが現在のファッションに至るプロセスとしてお話されていたことがとても印象に残りました。
②神戸北野工房、香りの家オランダ館、元町中華街でフィールドワーク:ここではクラフトマンシップ(職人の方が一つひとつ心を込めてものづくりをする精神)を学ぶために「牛革キーホルダーケースづくり」にチャレンジし、牛革の質感や染色された色合いの違い、ビスや留め金などを選ぶ際に自分の考えるものづくりに近づけるために「わくわく感」がとまりませんでした。
③地元松原市をイメージした香水づくりの難しさ:普段何気なく香水を使っていますが、いざ自分が調香作業に入るときに、「PINE(松)」と「ROSE」(薔薇)」の香りを嗅いだり、自分の個性をどのようにプラスすればよいのか、いろいろと考えることが多かったです。この経験は五感を研ぎ澄ませることになり、その道のプロフェッショナルになることの大変さを知ることになり勉強になりました。
流通学部 日高 美羽

ゼミ集合写真

参加学生一覧

藤田 来未、阿部 龍稀、江口 瑠生、大谷 俊輔、大野 海玖、金崎 純花、佐々木 凜、首藤 颯斗、高谷 紘生、中田 実希、兵頭 朋和、東浦 正樹、日高 美羽、藤井 希昇、松吉 愛生、横田 夢生、依藤 未希也

連携団体担当者からのコメント

LLP日本香りデザイン協会(JFDA)代表理事
フランス調香師協会 会員
パフューマー(調香師) 三澤 朱実 様

 今年度も平山ゼミの感性豊かな学生達と、香水講座の講義と調香実習を通して心地よい時間を過ごさせていただきました。
 毎回、自分流にアレンジしたファッションやオシャレを楽しんでいる学生のみなさんの様子を見ると、現代若者の気質や志向、流行の変化に気づかされます。
 平山ゼミの地元大阪府松原市に対する「まつ(松=PINE)」と「ばら(薔薇=ROSE)」から連想する世界を導き出そうとする意欲に感銘を覚えました。そのため、講師としても持てる知識と技術を彼ら一人ひとりの個性に合わせたアドバイスを行いながら、講義と調香実習を進めることができました。
 香水業界も近年、急速にニッチブランドと言われるものが増えてきており、それに特化したショップもコロナ禍の現在、在宅時間が増えたことも追い風となり、通販サイトでの業績を伸ばしてきています。
 講義では、調香師(パフューマ—)としての立場から、筆者が自身のブランド「KOBE香水物語」(「神戸セレクション9」認定)として創作した香水も教材の一つとして例に取り上げ、香りを視覚的にも嗅覚的にも感じてもらいながら、その創作過程でのストーリーや描こうとした香りの世界観などについてもお話をしました。
 今回の講義と調香実習で、ものを創り出し表現する、作り手のその思いや苦労の一端を垣間見ていただき、そこで何か学ぶものがあるのであれば、講師として非常に嬉しく思います。
 以前本協会を設立した当初は、日本では欧米のメジャーブランドがまだまだ大きな影響力を与えていて、香水文化の歴史の浅い日本人は、香水の香りそのものの芸術性や調香師が描く世界観というものより、ブランドの名前で選び購入するという状況でしたが、時代の変化とともに、その考え方も徐々にではありますが、変化しているのを感じます。
 人々の個性が各々異なっているように、様々な個性を持つブランドが生まれ、香りが創作され、それを自分流の感性でファッションと融合させて楽しむような時代が令和の御世において近づいて来ているような気がします。

教員のコメント

流通学部 平山 弘 教授

 この1年間のキャリアゼミとしてファッション・ブランド研究を通したキャリア・アンカーの創造という研究テーマで活動してきましたが、以下に活動内容を示すことに致します。
 キャリア・デザインの前に必要なことはゼミ生各自の個性や性格並びに才能や資質を踏まえた上でのキャリア・アンカーとは何かをゼミ生各自に知ってもらうことにあります。それにはファッション・ブランドに知識・技術の習得と並行して、自分の価値を知るためのキャリア知識・技術が必要となってくるため、ゼミ活動そのものの要素の中にキャリア・アンカー的なものをカテゴリーとしてはめ込むことで、ゼミ生各自が知らず知らずのうちにそうした価値や能力が修得できるようにしていくことになります。
 キャリアゼミとしてのコンセプトは概ね以下のとおりです。
Ⅰ.ファッション・ブランド編
①知識・技術編 ②理論編 ③事例研究編 ④経験価値編
Ⅱ.キャリア・アンカー編
①知識・技術編 ②事例研究編 ③実践編
Ⅲ.総合力の生成
①キャリア・アンカーの可視化 ②キャリア・アンカー(自分自身の拠り所)の発見

社会人基礎力について
【前に踏み出す力】
①主体性 物事に進んで取り組む⼒ 修得 
②働きかけ⼒ 他⼈に働きかけ巻き込む⼒ 修得途中段階 
③実⾏⼒ ⽬的を設定し確実に⾏動する⼒ 修得
【考え抜く力】
④課題発⾒⼒ 現状を分析し⽬的や課題を明らかにする⼒ 修得
⑤計画力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する⼒ 修得途中段階
⑥創造⼒ 新しい価値を⽣み出す⼒ 修得途中段階
【チームで働く力】
⑦発信⼒ ⾃分の意⾒をわかりやすく伝える⼒ 修得 
⑧傾聴⼒ 相⼿の意⾒を丁寧に聴く⼒  修得 
⑨柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力 修得 
⑩情況把握⼒ 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力 未修得 
⑪規律性 社会のルールや⼈との約束を守る⼒ 修得途中段階
⑫ストレスコントロール力 ストレスの発⽣源に対応する⼒  修得途中段階

 最後になりましたが、提携先 JFDA 日本香りデザイン協会三澤朱実様、ファーストピクチャー神戸 額田淳様、関係のみなさま方に衷心より感謝申し上げます。有難うございました!