4/27(木)3限 スポーツ組織論

2023年4月27日(木)3限スポーツ特講1(スポーツ組織論)の授業に、ソニーグループより山本太郎さんと中野真聖さんにご登壇いただきました。テーマは「ソニーのスポーツビジネス-ホークアイがもたらすイノベーション-」。当日の講演概要と学生の課題レポートをご紹介いたします。
 日本が世界に誇るソニー 、そんなソニーがスポーツ界においてどのようなビジネスを展開し、今後何を目指していくのか。山本さんからはソニーのスポーツビジネスの全体像を、中野さんからはホークアイのビデオリプレイ技術を導入するサッカーにおけるVARの実際の現場についてご説明いただきました。
  • 写真1.山本太郎さん

【ソニーのスポーツビジネスを担う3つの会社】

  1. ホークアイ:イギリスに事業部ファンクションをおき、その傘下にビデオリプレイ技術・トラッキング技術を活用した審判判定サポートサービス、データ取得サービスなどを行う。
  2. パルスライブ:Website運営・アプリ開発・OTT配信などを行う。
  3. ビヨンドスポーツ:データ分析・データのビジュアライゼーションを得意とする。
    以上3つのグループ会社を中心に、最高の判定補助サービスや放送制作およびデジタル領域でのソリューションをスポーツ界に提供。

【ビデオリプレイ技術の導入例:サッカーのビデオアシスタントレフェリー(VAR)】

 中野さんは「リプレイオペレーター(RO)」として、サッカーリーグに導入されているVARをサポートする。ROはホークアイのビデオリプレイ技術を駆使して、VARの指示に従い判定に必要な映像を提供する技術者である。ますます重要度が増すサッカーのVARにおいて、その技術を操るROなくしてプロサッカーは成り立たないとも言えるだろう。中野さんからはそんなROの具体的な役割と、現場における緊張観や準備の大切さを伝えてもらった。
  • 写真2.中野真聖さん

学生からの感想

藤原 優輝さん
私は普段からスポーツ観戦をします。その際にビデオ判定という言葉をよく耳にします。審判を補助するシステムということは理解していました。ですがクリケットの試合を元に作られたことは知りませんでした。そして様々なスポーツに活用され、試合の「公平性」が保たれていることが素晴らしいと感じました。にわかファンの人たちに興味を持ってもらうためにアニメと連動した映像を作られていました。ホークアイは審判の補助だけでなく、新たなファン層を増やす取り組みや選手のパフォーマンスの向上を補助することもできることから、今後球技以外のスポーツにも適用されるとおもしろいなと思いました。
 
伊藤 妃南さん
今日の講義を聞いてホークアイのシステムを使い、人とのコミュニケーションをとることで、スポーツの正確な判定をサポートできるようになることがわかりました。トラッキング技術が進化することで、ボール、プレイヤーの位置、骨格情報などが分かるようになっていて、そのデータを元に自分のプレーを確認することができたりするのですごいなと思いました。
レゴやアニメーションに映像を変えて、観客が動物だったり、ゴールをしたら爆発したりなど現実のスポーツではありえないことが映像では可能になっていて、見ていておもしろいなと思いました。
 
太田 莉生さん
3つの会社の中でも、ホークアイは、プレミアリーグでのゴールラインテクノロジーやVARをサポートしていることを知っていたので、会社の成り立ちや役割について非常に興味が湧くお話でした。役割は映像チェックだけだと思っていましたが、選手の骨格や写真、試合データまでもトラッキングしていることは、初めて知りました。また、これら3つの会社にソニーが携わっているとは知らなかったので意外でした。日本の会社が世界を代表するサッカーリーグやワールドカップの運営に大きく関わっていることを誇りに思います。Jリーグでも導入されているVARの流れ、ルール改正に合わせた変更など日々進歩している技術を強く感じると共に、華やかな舞台の進行を大きくサポートしているのだと印象を持ちました。映像を提供するだけでなく、その映像を使ってアニメーションへと瞬時に変換して提供すること、どの視点からも見られること、選手の走力やシュートスピード、ジャンプ力これら全てを見ることができることに私は無限な可能性を感じました。音楽や娯楽が主だと思っていたソニーの印象が180度変わり、世界中のエンターテインメントを支えているのだと強く感じました。将来の夢に関わってくるほど、大変貴重なお話を聞けたように思います。
 
  • 写真3.講演後に学生から個別に質問がくること

教員コメント

 われわれの想像をはるかに凌駕するソニーのテクノロジーとアイデアをご説明いただき、想像力を掻き立てられる講義となりました。最も印象的だった言葉は「価値の最大化」です。それはスポーツ選手のパフォーマンス向上にとどまらず、ライブ観戦、デバイスを通した観戦、さらにスポーツを通して人と人を繋ぎ、スポーツのその先にある人々を支えることを意味していました。ソニーのテクノロジーがどのようにスポーツの未来像を描き出すのか、無限の可能性を感じつつ、われわれもその中でスポーツを存分に楽しみ、また「関わって」いきたいと思わせてくれました。
 オブザーブにお越しいただいた先生方からも活発な質問をいただきました。最後に、山本さんのソニーのテクノロジーが子どもたちの「育成」に生かせないかというかという発想について、個人としてまた組織として何とかして協働したいと考えるようになりました。今日この日が、学生にとって「スポーツの楽しみ方を考える」、その一歩目になったと確信しています。山本さん、中野さん、シーズン中のお忙しいところ、本当にありがとうございました。