——キャプテン高橋唯人が語る、阪南バスケの現在地とこれから

劇的ブザービート!忘れられない関西学院戦

高橋選手が最も印象に残っていると語ったのは、関西学院大学との激戦だった。
3Q終了時点で16点差をつけられる展開。しかし、選手たちは誰ひとりとして諦めることなく、粘り続けた。

4Qではついに10点差まで詰め寄り、最後の最後で迎えたラストプレー。髙橋が放ったスリーポイントがブザービートで決まり、劇的な逆転勝利となった。

「正直、あの瞬間のことはあまり覚えてないです。興奮しすぎて、正直その時の細かい記憶は飛んでしまってます。でも、全員が最後まで“勝てる”と信じていたことが、あの結果につながったと思います」

“通用する”という確信と、“まだ足りない”という実感

続くベスト4進出をかけた試合では惜しくも敗れた。格上の相手の勢いやプレッシャーにのまれ、試合に入り切れなかったことが悔やまれたという。
「チームのエンジンがかかるのが遅くて、気づいた時には流れを相手に持っていかれていました。もっと試合への入り方を大事にしないといけないと感じました」

この試合をきっかけに、試合前の準備や心構えの重要性をあらためて実感した。

そして、その後に待ち受ける順位決定戦では、再び強豪大学との連戦が続いたが、チームは堂々と戦い抜いた。
関学戦での勝利が、まぎれもなく確かな自信になっていた。
「“自分たちでも通用する”という手応えを持てたのが大きかったです。思い切ってプレーできたし、内容的にもいい試合ができたと思っています」

1部の大学との連戦の中でも、阪南は堂々と戦い抜いた。悔しさと自信、その両方が、この大会で確かにチームを成長させていた。

孤独と責任——たった一人の4回生として

今季の阪南大学バスケ部では、高橋選手は唯一の4回生。
仲間が去っていく中で、強く感じるようになったのが「責任」だった。

「最初は正直、少し孤独でした。でもその分、自分がしっかりしないといけないという気持ちが強くなりました。自分がやるべきことを後輩たちに見せないと、ついてこないだろうし、チームとしてもまとまらないと思ったので」

プレー面だけでなく、姿勢や声かけでもチームを引っ張り続けた高橋選手。
この1年で成長したのは、技術だけではないという。

「一番変わったのはメンタルの部分だと思います。こういう状況だからこそ、人としても大きくなれた気がしています。この経験は、今後どんな場面でも活きると思っています」

練習を変えた「意識」の力

チームの力が上がってきた背景には、日々の練習への向き合い方があった。
高橋選手はキャプテンとして、練習の“質”を変えることに注力してきた。

「前は“こなすだけ”の練習が多かったんです。でも、試合を意識しながらやらないと意味がない。練習中に一度、みんなにそのことを伝えました。やらされる練習では勝てないし、無駄な時間になってしまうので」

その言葉をきっかけにチームの空気は変わり、実際に試合での粘りや集中力にもつながった。

最後に——1部昇格へ。
「このチームなら、いける」

阪南大学バスケ部が目指す次なる目標は、1部昇格。長丁場のリーグ戦を勝ち抜くために、チームとしての底上げが求められている。

「いいチームになってきてるとは思います。でも、個々の課題はまだあるし、自分の強みをさらに伸ばす意識も必要。あとはやっぱり、メンタル面。そこが鍛えられれば、もっと強くなれるはずです」

注目選手として名前があがり、監督との距離もより近くなったいま、高橋選手が感じる責任は以前にも増して大きい。

「プレッシャーはあります。でも、自分はそれを楽しめるタイプだと思ってます。今はすごく楽しいです。でも、あくまで個人が目立ってもチームが勝たなきゃ意味がない。勝ちにこだわるチームを、もっと作っていきたいですね」


阪南大学バスケットボール部は、まだまだ進化の途中だ。
新たなステージへの挑戦に挑む、彼らはこれからもっと面白くなる。

個性光るメンバーはまだまだいる!