活動の目的及び取り組む課題

 本キャリアゼミでは、より実践的な力を身につけさせる為に、提携先企業の製品をいくつか選び、具体的な販売促進のアイディアを考えさせる。または提携先企業の持つ技術を活用した新製品のアイディアを考えさせる。
 そのために、対象企業または対象企業が属する業界についての基礎知識および製品開発・販売促進に関するマーケティング論の先行研究について学ぶ。
 上記研究活動をまとめ、流通学部ゼミナール大会と七大学合同ゼミ合宿・研究報告会で報告する。

活動内容

①鉛筆削りという誰もがかつて使っていたけれども、現在は縁が無くなってしまった「鉛筆削り」という製品を製造している企業を扱うため、まずは実際に日本で唯一の鉛筆削りメーカー、株式会社中島重久堂を訪問しました。そこで製造現場を見せていただくとともに代表取締役社長の中島潤也氏のお話を伺い、具体的なイメージを身につけました。
②鉛筆削りのプロモーションを行う前提として、自分たちが鉛筆を使わなくなった理由は何か、についてゼミ生の間で徹底的にディスカッションを行いました。
③鉛筆を使わなくなった理由を整理した上で、では今度は自分たちが鉛筆を使いたいと思うようになるためには何が必要かについて、ゼミ生の間でディスカッションを行いました。
④鉛筆を使いたいと感じるようになるために、鉛筆削りがどのような役割を果たすことができるか、どのような鉛筆削りであればどんどん鉛筆を使いたくなるのか、についてゼミ生全員でアイディアを出し合いました。
⑤中島重久堂という日本で唯一残った鉛筆削りメーカーの製品をブランディングするためにはどのような取り組みが必要か、ゼミ生全員でアイディアを出し合いました。
⑥③、④、⑤、および①を整理しパワーポイントのスライドにまとめ、流通学部ゼミナール大会で発表しました。
⑦⑥で発表した内容と、それに対して寄せられたコメントをもとにもう一度鉛筆削りのプロモーションのアイディアを練り直し、パワーポイントのスライドにまとめなおしました。
⑧再度中島重久堂を訪問し、中島社長にこれまでの活動で形にしてきたアイディアをプレゼンテーションしました。同時に、それに対するコメントを中島社長からいただきました。
⑨⑧で中島社長からいただいたコメントを参考にプレゼンテーションを作り直し、7大学合同ゼミ発表会で発表しました。
⑩これまでのキャリアゼミでの活動を振り返り、自分たちが学んだ内容、発表等で苦労した出来事について就職活動で自信を持って話すことができるよう、ゼミ生同士でディスカッションを行いました。

代表学生の感想

 11月の7大学合同ゼミ発表会に備えて10月に中島重久堂へ2回目の企業訪問をさせていただきました。
これまでの中島重久堂について調べた内容に加えて、私たちが考えた中島重久堂の新製品とプロモーションのアイディアを発表させていただきました。
発表したアイディアのうち、「有名ブランドとのコラボ」については、すでにやっているが自社ブランドを表に出せないとのことでした。また、「削りかすをカラフルに」というアイディアはすでにある鉛筆メーカーが実施しているとのことでした。「消しゴムをセットできる削り器」はヨーロッパでは売れているとのことでした。「5枚刃鉛筆削り」については、技術的に不可能ですが、2枚刃でしたらわずか2年前にある文具メーカーが企画を持ち込み、商品化してしまったとのことでした。
 そして11月の合同ゼミ大会では、私たちがこれまで中島重久堂の販売促進のことや、新商品のアイディアを考え話し合い、また直接、社長に会いお話を聞いた事を活かし発表致しました。自分たちの発表だけでなく他大学との交流により、プレゼンの仕方や発表の流れなどとても刺激を受けました。
 プレゼンの洗練度や読書量では他大学に敵いませんが、私たち杉田ゼミは他のどの大学も知らない鉛筆削りの世界をどこよりも深く勉強したので、その点では大変興味を持ってもらえました。

流通学部 3年 和田 直也

参加学生一覧

石田 晃希、小川 遥也、河野 神、小林 俊貴、笹原 悠希、下川 美咲、中逵 友太、西山 靖弘、藤原 杏奈、山中 瑠菜、横山 雅之、和田 直也

連携団体担当者からのコメント

株式会社中島重久堂 中島 潤也氏

 ご報告いただき有難うございました。
今回の皆さんの報告については、率直に言うとスタート地点かなと感じました。社会人のレベルだと、これでは通用しません。11月に他の大学の方々に対してまたプレゼンテーションするというのであればもう少し深掘りした方が良いと思います。今回のプレゼンに今回私から情報を聞いて作り込みをしてください。そうすればもっと良い発表ができると思います。
 例えば、1枚のスライドに文字と小さな写真が入っているのには違和感を感じました。我々がプレゼンをする時、スライドは極力シンプルなものにします。色は1色に統一して、一番知ってもらいたいことだけを1つだけ書いて、残りの伝えたいことは全部言葉でしゃべってください。
 写真は別のスライドに大きく単独で載せてください。例えば、文字があって、「海外の展示会に出展されています」、といってクリックしたら展示会の写真が大きく出てくる。そのようにすれば、もっと良くなると感じました。

教員のコメント

流通学部 杉田 宗聴 准教授

 今年度のキャリアゼミでは、大学の近くに立地するナンバーワンないしオンリーワンの技術をもった企業を扱おうと考えていました。今回提携して下さった株式会社中島重久堂は日本でただひとつ残った鉛筆削りメーカーであると同時に、鉛筆削りメーカーとして世界一の企業になる、という明確なヴィジョンを持った素晴らしい企業でした。そこでは、日本企業が得意とするものづくりの技術を日々研鑽しているだけでなく、製品の「魅せ方」にもこだわっていました。コモディティ製品と考えられていた鉛筆削りを芸術性または高いデザイン性を持ったインテリア製品として再定義して、パリで毎年行われているメゾン・エ・オブジェという世界最大規模のインテリア製品見本市に出展し、ニューヨーク近代美術館などに販路を広げています。
 加えて、「すてないで、つなげてつかおう」というコンセプトのオリジナル製品「TSUNAGO」をSNS等を活用し大ヒットさせています。
 規模は小さくても、培ってきた技術力を背景に、新しく「魅せ方」を工夫してブランド力を高めつつある中島重久堂という企業と提携できたことは、私にとってもゼミ生たちにとっても大変大きな刺激になりました。

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