私たち清水ゼミ3回生は、ゼミ活動の一環として「旅行業の現状と課題」というテーマで、旅行会社と共同研究を行ってきました。15人のゼミ生を3チームに分け、「日本旅行TiS天王寺支店との共同研究」、「株式会社近畿日本ツーリストとの共同研究」、「旅行会社とテーマを自ら選択して行う研究」といった、3チームで研究を行いました。
 各チーム、最初に苦労したことはテーマ設定です。旅行会社との共同研究を行った2チームでは、研究に協力してくださる旅行会社の事前研究を行い、支店にヒアリング調査を実施し、支店の抱える悩みや改善点について支店長と相談を繰り返しました。自主テーマで研究を行ったチームでは、メンバー同士で何度の話し合い、ヒアリング先を探索、調査しました。そうして決定したテーマが「予約受注率向上に向けた、日本旅行TiS天王寺支店との共同研究」、「近畿日本ツーリストとの共同研究〜店舗売り上げ向上に向けての提案」、「旅行業のこれから〜バリアフリーツアーの可能性」です。

 3チームともアンケート集計、事例分析、販促ツールの作成など、学校が閉まる時間まで残ったり、学外での定点観測やバリアフリーツアーに同行したりと、ほぼ毎日研究に励みました。研究中、チーム同士の情報交換を行うことで研究方法を参考にしたり、他のチームの進捗状況に焦りを感じたりと、いい意味で刺激し合いながら研究を進めることができました。9月にタイで行われる研究発表会に向けて夏休みも集まって資料の作成や発表の練習に臨みました。残念ながら渡航予定日直前にタイでテロが起こったため、タイでの発表は叶いませんでした。しかし、清水先生が別の発表の場を作ってくださいました。発表を聞いていただいた、JTB総合研究所の内田氏よりアドバイスをいただき、それに基づいてまた研究内容を見直し、11月に開催された日本観光研究学会全国大会の学生ポスターセッションでも発表を行いました。こちらでも多くの研究者や実務家の方々、他大学の学生から新たな視点での意見を多数いただき、更に研究を深めることができました。
 2月には3チームがNPO観光力推進ネットワーク関西・学生連絡協議会学生研究発表会に参加し、内1チームが学生連絡協議会賞を受賞することができました。
 この1年間の研究で、実際に旅行業界で働く方の現場の声をきいたり、学外の多くの方とつながることができました。更に、多くの発表機会により発表技法や時間配分の調整能力も身に着けることができました。社会とつながることができたこと、私たちの研究を評価していただいたことは私たちの大きな自信になり、また研究の過程や成果は、これから先に活きてくる社会力をつけてくれたと感じます。研究を通じてゼミ生全員がお互いを高め合い、自身のレベルアップにつながった、濃厚な研究だったと1年間を振り返ります。

参加学生一覧

阿部壮馬、池谷悠、井上茜、岩間愛、上江洲清輝、新城朱里、西澤明広、林莉緒、藤原醇、峯松健、稲垣万夢、北拓真、清水敦弘、高橋香菜子、松宮勲旺

学生の感想

国際観光学部 清水 敦弘

 今回約1年間に渡る旅行会社との共同研究で私がゼミ生全員に感じたこと、それは「各々が自分の強み、課題を発見して大きく成長してくれた」というものです。ゼミのリーダーとして共同研究以前のプロジェクトから皆を観察し、お互いがお互いを高めあえるようにと考え今回のチーム編成を行いました。
 ゼミ発足当時からある程度の実力を持っていた者、自分の力不足に自信を無くしていた者、双方のゼミ生がいたように思います。しかし今回の旅行会社との共同研究を通して、自信を無くしていた者は新たな自分の可能性を発見し、ある程度実力を持っていた者は自分の課題を発見しさらに大きく成長してくれました。これはリーダーとして皆を観察してきた私の意見に過ぎませんが、各チーム研究過程で様々な壁に何度もぶつかっていたように思います。これを各々のチームで考え行動し、次々と乗り越えてくれました。今回の研究で得たこの経験は私たちゼミ生にとってかけがえのない宝物になるのではと思います。

教員のコメント

国際観光学部 清水 苗穂子 教授

 清水ゼミでは、社会人基礎力を身に付けることができるゼミ活動を強く意識しています。できるだけ多くのゼミ生に希望する企業に就職してほしいと考えています。その目標を実現するため、大手の旅行会社(近畿日本ツーリスト、日本旅行)各支店と協同研究を行っています。実際にお客様が利用される旅行会社の店舗のハード面やソフト面での調査、支店長へのヒアリング調査、お客様や店舗従業員の動向を観察する定点観測、販売ツールのあり方の検討など、さまざまな角度からビジネスの現場で調査を行います。また並行して文献調査、アンケート調査も行うことで、現場だけでなく研究の現状を客観的に把握し、自分たちの研究の立ち位置と研究の意義を知ることも学んでいます。研究をパワーポイントにまとめ、1年間に各チームが3回、成果を大学外で発表をしています。教員以外の実務者などから評価をもらうことは大変大きな学びになっています。これらの努力は、最終的にゼミ生の優良企業への就職へつながっています。