阪南大学国際観光学部和泉研究室は「地域・観光の創造(地域資源や人的ネットワークなどを活用しながら、地域づくりや観光振興のための新たなデザインプランを思考・提案し、地域の方々と共創的に実践する)」を研究テーマとしています。平成27年度から兵庫県養父市大屋地区において、豊富な地域資源を観光資源として活用する観光地域づくりデザインを思考・実践し、コミュニティーベースの経済振興を生成しながら、地域基盤の強化や活性化を目指すという取り組みを養父市商工会との産学連携という形態で共創的に展開させています。
 平成30年度は、「農」と「観光」をキーワードに、国家戦略特区における潮流の中で産地化が期待される「ニンニク」に着目し、市内事業者の今後の新商品開発や販路開拓の一助となることを目的に、また、消費者動向などの情報不足による小規模事業者における同様コンテンツでの商品提供の長期化という背景の解消も視野に入れ、アンケート調査およびそれを踏まえた新たな加工品や新メニューレシピの提案などを行いました。
 平成31年2月6日、ふるさと交流の家「いろり」において、商工会関係者・養父市大屋地区における一番の規模の生産者である兵庫ナカバヤシ株式会社・市内の飲食業者などの関係者に向けて、これまでの成果を踏まえ試作品の提供とともに、新たな加工品や新メニューレシピを提案する報告会を開催しました。
 なお、当該研究活動は、和泉研究室3回生17名を4つのグループに分けて展開しました。

研究活動のプロセス

 ここで、あらためて今年度の研究活動を振り返っておきたいと思います。
 これまでの一連のプロセスは下記の通りです。

第1回アンケート調査の実施
平成30年5月13日:ビッグラボ(養父市)

 ニンニクに関する新たな加工品や新メニューレシピ開発に関する参考情報の収集を目的としてアンケート調査を実施しました。
 ※2018年5月22日のHP記事で紹介しています。

新たな加工品や新メニューレシピ開発に関する中間報告試食会の開催
平成30年9月20日:あゆ公園ペンション翡翠(養父市)

 第1回アンケート調査をもとに、大きく「加工品」・「お菓子」・「ジビエとのコラボ」などの方向性で試作品を提供する試食会を開催しました。 
 ※2018年7月30日および9月27日のHP記事で紹介しています。

第2回アンケート調査の実施
平成30年11月3・4日:阪南大学(松原市)

 ニンニクに関する新たな加工品や新メニューレシピ開発に関する参考情報の収集を目的としてアンケート調査を実施しました。なお、若い世代(20代未満・20代)の意見の収集を主たる目的(第1回アンケートの補完)としたため、大学祭において実施しました。
 ※2018年11月20日のHP記事で紹介しています。

新たな加工品や新メニューレシピ開発に関する報告会の開催
平成31年2月6日:ふるさと交流の家「いろり」(養父市)

 これまでの成果を踏まえ試作品の提供とともに、新たな加工品や新メニューレシピを提案する報告会を開催しました。 ※以下で紹介します。

新たな加工品や新メニューレシピ開発に関する報告会

 これまでのアンケート調査や中間報告試食会などの結果から、下記のような注目点を抽出しました。
  • 「調味料(加工品)」としてのニンニクの可能性
  • 「お菓子」など、既存イメージにないニンニクの可能性
  • 「麺類」への可能性(若い世代の加工品への期待)
  • 「ジビエ」とのコラボの可能性
  • 「パスタ」におけるニンニクの可能性
 そして、そこから、各グループ下表のような加工品や新メニューを思考し、平成31年2月6日の報告会において、試作品とともに提供しました。
 報告会に出席していただいた方々からは、「ニンニクバターは汎用性が高く、かなり期待できるのではないか」、「ニンニククッキーは美味しく、話題性もあり、面白いのではないか」など前向き、活発な意見をいただきました。
 また、「今後、何らかの形で共創できれば嬉しい」、「「ニンニクバター」を持ち帰り、少し試してみたい」など、今後につながるようなお声掛けもいただきました。
 今回の活動により、養父市大屋に所在する事業者において、「ニンニク」に関する新たな取り組み・展開が創発することを期待しています。
 当該研究活動は、3回生17名(稲垣紗菜・岩田悠佑・清水遼・山下美羽・高田有規子・小田原由依・甲斐雅人・川野瑞歩・窪悠里・田中晃太・大門沙紀・冨田いずみ・中野美紅・野崎伶奈・ボウティ・松岡愛・門前周)による活動でしたが、(私が言うのは恐縮ですが)1年間、地域を思考しながら、よく学んでくれたと思っています。
 このことは、来年度も養父市商工会から共創的な展開を継続する方向でお声掛けいただいたことが証明しています。