国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 40号」学生たちが提案した「城崎温泉怪談祭」が実現

2017.9.5

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【国際観光学部 国際観光学科】

国際観光学部学生広報誌「ラ・れっとる 40号」学生たちが提案した「城崎温泉怪談祭」が実現

学生たちの「怪談祭」企画が実現

 「ラ・れっとる」第24号に掲載した「学生たちが城崎温泉で若旦那・若女将の密着体験」はお読みいただけましたでしょうか。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部と日本学生観光連盟のコラボ事業である「若旦那・若女将密着体験プロジェクト」で学生たちが頑張っている様子を紹介しています。そのとき学生が提案した「ホラーナイト」イベントが実を結び、「城崎温泉怪談祭」が開かれます。2017年2月より他大学の学生を含むプロジェクトチームを起ち上げて、進めてきたイベントです。わたくし川畑亜紀もこのプロジェクトのメンバーの一員ですので、仲間たちの活躍ぶりをぜひ紹介したく、同じく広報部員の湯栗未名実さんと2人で取材を申し込み、メンバーのまとめ役を担う国際観光学部4回生の森木麻衣さんと、城崎温泉の老舗旅館、錦水(きんすい)の経営者であり、プロジェクトの委員長を務める大将伸介さんにお話しを伺いました。(川畑亜紀)

※この広報活動は、阪南大学給付奨学金制度によって運営しています。

きっかけは軽いノリでしたが

湯栗:城崎温泉の旅館でのインターンシップに参加されたのはいつですか。
森木:2016年の夏です。関西と関東の大学の学生50人が参加しました。1回生から4回生までを含め、すべてが観光学を勉強している学生です。
湯栗:50人ですか。それは大所帯ですね。
森木:参加者は旅館ごとに分かれるので、ひとつの旅館で働く学生は3、4人になります。大学も違い、初対面でしたが、ともに働き、お風呂もいっしょでした。
湯栗:そうですか。ところで、旅館によって仕事の内容が違うのですか?
森木:基本的には同じですが、終わったあとに仲間たちと話すと、細かいところでは、違いがありました。私の場合は、受け入れ先のご厚意で、城崎の温泉街を案内していただきました。
湯栗:それはラッキーでしたね。参加されたのは、旅館での仕事に興味があったからですか。
森木:「将来を見すえて参加した」というわけではありません。インターンシップの情報を見て、「城崎で働けるなんて、楽しそう」と思ったことがきっかけですかね(笑)。
湯栗:軽いですね。
森木:きっかけは軽いノリなのですが、目下取り組んでいる「城崎温泉怪談祭」は、そのときの体験から生まれたのです。

提案するはヤスし、実行するはカタし

川畑:インターンシップの最終日に「城崎温泉をもっと盛り上げる」案を出す学生のプレゼンがあり、そこから出てきた企画が「城崎温泉怪談祭」なのです。森木さんのチームが「ホラーナイト」を提案したことがきっかけとなりました。城崎温泉ならば、洋風の「ホラー」よりも、和風の「怪談」が似合うのでは、という意見が出され、練り直した結果、この企画になったのです。
湯栗:たしかに、旅館には和風が合いますね。
川畑:活況を維持するためには、ありきたりな温泉街では厳しい。大阪からだと、有馬温泉のほうが便利ですし。旅館の方々が学生に意見を求めた意義はそこにあるようです。古き良きものを大切にするのは当然のこととして、新たな挑戦をしてゆく必要があるとのことです。
湯栗:城崎温泉の企画と言えば、小説と関連づけたキャンペーンが思い浮かびますね。中学生のときに、教科書で志賀直哉の『城の崎にて』を読んだことはあるのですが、行ったことがないのです。有名な小説家が書いた、城崎でしか買えない小説もあると聞くので、機会があれば行きたいですね。
森木:本が好きな方にもおススメです。行かれるのでしたら、怪談祭の期間が断然いいですよ。全但バスのご協力もあって、ツアー料金も安く抑えています。学生も参加できる値段です。
湯栗:ぜひ、行きたい。
川畑:詳しくは「城崎温泉怪談祭」で検索してみて下さい。長い休みの最後の思いで作りに、どうぞ。ところで、森木さんたちがホラーナイトを考えるに至ったきっかけは?
森木:プレゼンのテーマが城崎温泉を活性化することでしたので、まずは閑散期を調べ、9月に絞りました。9月といえば、私たち大学生はまだ夏休みです。そこで、「去年の自分は9月に何を楽しんだのか」と、記憶をたどりました。そして、USJのホラーナイトを思い出したのです。
湯栗:テーマパークのイベントがヒントに?
森木:インターンシップで私がお世話になった錦水の若旦那、大将伸介さんに聞いた話のなかに、「城崎温泉はひとつのテーマパークだ」という言葉があり、それが強く印象に残っていたこともあります。大胆な発想なので、不安でしたが、大将さんに相談したところ、「面白い」と背中を押して下さいました。
川畑:相談したのがよかったのですね。それでチームの方針が固まった、ということですね。
森木:はい。自分自身が「楽しい」と思えましたので、自信をもって提案しました。
川畑:テーマパークは一度入場したら、朝から晩まで、食事も込みで一日中楽しめる。温泉街の旅館や店を合わせて、ひとつのテーマパークにする、という考え方ですね。でも、イベントが実施に向かったあとの活動は大変でしたね。私も加わっていますので、よくわかります。
森木:準備で何度も挫けそうになりました。4回生になり、就活と並行しましたので、輪をかけて大変になりました。それでも、期限は容赦なく迫ってくる。後輩との連携にも手こずり、川畑さんやメンバーと、もがきましたね。実行委員長の大将さんに電話で相談することもたびたび。旅館の経営でお忙しいのに、お気の毒でした。
湯栗:大将さんとは、いい関係が築けていたのですね。
森木:インターンシップのときから、ずっとお世話になっています。はじめは厳しくて怖いイメージでしたが、責任感があっての厳しさだったのだと、感謝しています。就職先に大将さんのような上司がいたら、いいですね。
川畑:インターンシップは1週間でしたが、がぜん城崎温泉のファンになりました。今は「イベントを成功させたい」という気持ちでいっぱいですね。
森木:本当に。感謝しかないです。
湯栗:でも、辛いこともあったのでは?
森木:学生どうしでうまくチームを動かせなかったことですね。イベント企画は15人で行ないましたので、全員に仕事を割り振らなければならないのですが、予定が合わなかったりして、結局、大半は川畑さんと2人でやりました。人によって、やる気の度合いも違う。とにかく作業量が多く、大変でした。他大学の学生とは、ふだんの交流がないので、意思の疎通が難しい。会議も時間ばかりを使い、進まない。
湯栗:15人もいて、大学も異なると、大変ですね。会議とは、具体的に?
森木:1か月に1回の会議があります。前月の課題が達成できておらず、「もっと効率よくやるように」と注意を受けることもたびたび。会議中にもかかわらず、学生どうしで口論になり始めて、収拾がつかず、貴重な時間を無駄にしてしまう。こちらの調整がまずかったのが原因だと反省しています。
湯栗:うまくいかなかったときに、手を差し伸べてくれたのが大将さんなのですね。
森木:社会人と学生との壁を意識してしまい、最初のうちは気軽に相談できませんでした。お忙しいことも重々承知していましたし。でも、学生間で解決しなければならないとわかっていながら、どうしようもなく、相談させてもらうことに。そのときの大将さんが「神対応」でした。
湯栗:カミ対応?
川畑:参加していないメンバーに、うまく仕事を割り振って下さいました。叱るのではなく、役割を与えて、参加しやすい環境を作って下さったのです。不満を口にしても進まない。環境づくりが大切だったのです。勉強になりましたね。
森木:PR動画の撮影でも、お世話になりました。イベントの開催に向けて、プロに頼んで映像を作ったのですが、その絵コンテ、キャスト、小道具、音楽、撮影スケジュール、カメラのアングルなども自分たちで考えなければならない。戸惑いの連続でしたが、その際も一緒になって動いて下さいました。
川畑:映像の制作にかかわる機会がなかったので、いい経験でした。苦労もありましたが、視野が広がりましたね。
森木:頼んでいた出演者が急に来られなくなったときは、慌てましたね。結局、私がかわりに出演して乗り切りましたが。何度も見直したはずのスケジュールにも誤りがあって、迷惑をかけてしまい。ところが、撮影終了後に、大将さんからお礼を言ってもらえた。これが一番うれしかった。大将さんが一番大変だったはずなのに。
川畑:こちらがスケジュール変更したものですから、急遽、店と撮影の交渉をすることに。定休日の店に無理を言って開けてもらうことにも。それらすべてを大将さんが引き受けて下さいました。
森木:撮影に使う浴衣も、撮影スタッフや私たちの宿も用意して下さり、お弁当とか用品とか、城崎で用意できるものは、すべて手配して下さいました。大将さんご自身も旅館の仕事で忙しいのに、合間を縫って用意して下さったのです。
湯栗:まさしく、神対応ですね。

僕らと同様、学生も横のつながりを

 学生がずいぶんとお世話になりました城崎温泉錦水の大将伸介さんが大阪にいらしたときに、川畑と湯栗が森木さんと共に取材をさせていただきました。こころよく取材を受けていただいた大将さんに心から感謝いたします。

川畑:去年のインターンシップから大変お世話になっています。いきなりですが、学生を受け入れるのは大変だったのでは?
大将:インターンシップは初めてでしたが、ただ受け入れるだけですから、特に大変だったというわけではないですよ。通り一遍の見方では、城崎の良さは伝わらない。と思い、いろんな面を見てもらいました。城崎の旅館は一軒一軒の規模が小さい。小さな世界だけに収まっていたら、僕らの視野も狭くなってしまう。そこで、観光学を学ぶ若者に来てもらうことにしたのです。お互いに大切なことだと思いましたので。
湯栗:外の世界とつながることが大切だということですね。
大将:広くつながりを求めることで、人との絆も出てきます。横のつながりがあったほうが、新しいことを始めるときにも、何かと相談できますし。だからこそ、城崎温泉は手を取り合って街づくりをしています。インターンシップもそうでした。ひとつの宿ではなく、城崎温泉全体でインターン生を受け入れることにしたのです。単なる就業体験でなく、君たちにも横のつながりを作ってほしいから。
森木:それで、いろいろな旅館に分けられたのですね。
大将:インターンシップで提案された「城崎温泉怪談祭」も、ひとつの旅館では、到底できない。みんなで力を合わせるからできるのです。僕ら温泉側から言えば、イベントは城崎の良さを知ってもらうための手段として意義がある。でも、手伝ってくれる学生には、それ以上の意義があるのでは?第一、観光の勉強になるでしょう。お客様の興味を引くのは、容易なことではないので。
川畑:集客活動は、ただいま奮戦中です。
大将:お客様にウケるかどうかも、やってみないとわからないからね。
湯栗:前例のないイベントなのですよね。
大将:そうです。テレビドラマの脚本も書いている人が怪談祭に協力して下さったこと、近くにイベント会場にできる国際アートセンターがあること。こういう条件が整えばこその開催です。イベントは「お化け屋敷」「怪談話」「出張怪談」などなど。「どうやら城崎に百鬼夜行という、秘められたお祭りがあるらしい。それを確かめに行こう」というのがコンセプトですよね。「城崎でなぜ怪談なのか」という意味付けも忘れず、お膳立ては万全。あとは集客ですが、そちらは学生に担当してもらっています。「効果がある」と思う仕掛けを、どんどん実験して下さい。

ぜひ城崎温泉怪談祭へ

川畑:インターン生の受け入れや、学生とのイベント企画で苦労されたことは何ですか。
大将:お金を集めてくることですね。規模が大きくなるほど、お金を集めるのが大変。でも、枠組みとかやることが決まったら、あとはやるだけですから、みんな協力して。学生と苦労したこと、とは、なんだろうね。
川畑:大将さんの回答にドキドキしますね。
大将:あ、そうだ。真夜中のメール。社会人と学生じゃ、生活のリズムが違うから、仕方がないのだろうけど。
森木川畑:申し訳ございません!
湯栗:逆に、よかったことは?
大将:僕らには今の学生が何に関心があるのかがわからない。そこで意見をもらえたこと。あとは、一緒に活動してくれることかな。こちらも初めての試みを通じて学ばせてもらったことがたくさん。
湯栗:たとえば?
大将:ツアーの金額を抑えるきっかけも、学生たちの「高い!」の一言から。小規模の旅館で、場所も都会から遠いけど、期間限定で格安にすれば何とかと、みんなを動かせたのは、学生のご意見あってのこと。
川畑:前例のないものを作るのは難しいですよね。意見を出すのは簡単だけど、コストや交渉など、実現までには壁がたくさん。運営に携わらせていただいて、得たものは、すごく大きい。
大将:前例がないから頑張ることができたのかもしれないよ。ゼロから作っていくことが、大きなモチベーションになるからね。僕らにとっては、既存のものを活かしたほうが楽。だけど、学生はどうですかね。同じことを繰り返すことが君たちの勉強になるとは思えない。自分たちで起ち上げたほうが楽しいよね?
森木:たしかに。不安もあるけれど、だんだん形になっていくと、ワクワクします。
湯栗:これで「城崎温泉怪談祭」が盛り上がれば、言うことなしですね。
川畑:では、森木さん。怪談祭のアピールポイントを、どうぞ。
森木:多くの人のアイデアが詰まったイベントです。怪談というと、怖いもの見たさに惹かれるのでは?体験していただければ、盛り上がること間違いなしです。さらに、バスツアーの料金は、学生目線から半額のお値段にしました。城崎温泉での怪談イベントが楽しめるのは、今だけ。ぜひ、お越し下さい。
湯栗:森木さん、素晴らしいPRです。それでは最後に、大将さんからプロとしてのご意見を頂戴します。宿泊業界や旅行業界をめざす学生へのアドバイスを。学生のうちにやっておいた方がいいことは?
大将:世界を見ておくことですね、海外旅行に出かけるなどして。それと、デービッド=アトキンソンの『新・観光立国論』は読んでおこう。日本だけでトレンドを理解したつもりになってしまうと、時代遅れになるでしょう。たとえば、日本は全国の文化財修復予算に年間で200億円を投じているけど、イギリスではその10倍の2000億円をかけて文化財を保護していると。そのかわりに見学料金を高めにしても、観光客はきちんと理解してお金を払うらしい。日本と世界を比べると、観光に対する考えが全く違うことに気づかされる。観光について学んでいるなら、この本はMUST(必読)ですね。城崎について少しアピールしておくと、温泉街全体で日本文化を体験できる点に魅力を感じて訪れる欧米の個人旅行客が多いのが、城崎温泉の特徴のひとつ。観光業をめざす学生さんは、ぜひ一度、城崎温泉にいらして下さい。
川畑湯栗:ありがとうございました!

インタビュー後記

 このたびは学生を受け入れて下さった大将伸介さんと、インターンシップに参加した森木麻衣さんにお話しを伺いました。川畑亜紀さんは広報部員として、インターンシップ参加者として、一人二役をこなしてくれました。面白かったのは、ことの展開。森木さんの動機は、旅館で働きたいという思いではなく、ただ城崎が楽しそうだから、という実に軽いものでした。ところが、参加して、苦労しているうちに、ひとつのアイデアを思いつく。それが幸運にも採用されて、城崎温泉全体のイベントになってゆく。展開の面白さもさることながら、森木さんがチャンスを生かし、イベントの準備に携わって、たくさんの経験を積まれた努力に惹かれます。彼女の責任感の強さとチャレンジ精神は、同級生ながら、敬服するばかり。インタビューが終わると、3人の会話はすぐにイベント運営の話題に変わりました。大将さん、森木さん、そして川畑さんの熱意が伝わってきます。大学生には長い夏休みがありますが、それは休暇の期間ではなく、未知の世界を訪ね、新しいことにチャレンジする期間ではないでしょうか。みなさんの熱い会話を聞きながら、強くそう思った次第です。(湯栗未名実)

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