2011年の秋から冬にかけて,松村の書いた文章の掲載された図書が二冊刊行されました。日頃の研究・活動成果の一部です。阪南大学の図書館にも蔵書されていますので,ぜひご覧ください。

原口剛・稲田七海・白波瀬達也・平川隆啓編著『釜ヶ崎のススメ』洛北出版,2011年10月発行,2,400円(税抜)

 日雇い労働者のまち,単身高齢者のまち,野宿とホームレスのまち,生活保護のまち,国際観光のまち,釜ヶ崎はいつも変わり続けてきた。そんなまちの歴史と現在と未来を読み解き,いまを生き抜くヒントがこの本から学べます。筆頭編者の原口剛氏は,阪南大学で長らく地理学関連の非常勤講師も務めていたので,知っている在学生も多いことでしょう。
 松村は最後の第11章で「外国人旅行者が集い憩うまち,釜ヶ崎へ」という文章を寄せています。釜ヶ崎での国際観光振興を基軸としたまちづくりの胎動,OIGの結成から新今宮TICの運営に至るまでの経緯などを書きました。ゼミ生たちとの写真も数点掲載されています。
 本書に文章を寄せたのは総勢20名,いずれもこのまちをよく知り,日々,研究や活動を続けている後輩や尊敬する先輩ばかり。文章もわかりやすく,写真資料も多く,とても読みやすい本に仕上がりました。

石原潤編『西北中国はいま』ナカニシヤ出版,2011年12月,4,600円(税抜)

 中国の西北部(西安・酒泉・銀川など)は,西部大開発のもと,どのような変容を遂げてきたのか,本書は,その実態を地理学者たちの綿密な現地フィールドワークの成果から明らかにしている。
 松村は本書に,「歴史文化テーマパーク化する西安」(48-60頁)と「銀川市における宿泊施設の性格」(136-147頁)を寄稿している。西安の論文では,中国の古都西安の都市空間そのものが,テーマパーク化しつつある実態を指摘した。銀川の論文では,西北中国の地方の中心都市で,釜ヶ崎のような寄せ場空間が存立している実態に迫り,宿泊施設の多様な内実を明らかにした。本書では,最近になってようやく,現代中国研究でも話題になりつつあるような問題が,いくつも先駆的に論じられている。
 なお,本書には,石原潤編『内陸中国の変貌』ナカニシヤ出版,2003年10月刊行,石原潤編『変わり行く四川』ナカニシヤ出版,2010年1月刊行,という姉妹書がある。足かけ9年にも及ぶ日中両国の地理学者たちの共同研究の成果が,この三部作にまとめられている。

データ更新しましたので,ご覧ください!!