2013.11.13

経済学部 西本真弓教授が第14回(平成25年度)労働関係論文優秀賞を受賞!

経済学部 西本真弓教授が第14回(平成25年度)労働関係論文優秀賞を受賞!

 経済学部西本真弓教授が10月30日、独立行政法人 労働政策研究・研修機構より、第14回(平成25年度)労働関係論文優秀賞を受賞されました。
 労働政策研究・研修機構は、我が国の労働政策の設計、立案に深くかかわる機関であり、西本教授が受賞された「労働関係論文優秀賞」は、労働関係をテーマとした新進研究者の総合的な調査研究を奨励する賞です。
 

労働関係論文優秀賞

 本賞は労働に関する新進研究者の総合的な調査研究を奨励し、もって当該分野の研究水準の向上を図るとともに、労働問題に関する知識と理解を深めることを目的としており、今年で14回目を迎えます。今回の選考は平成24年4月1日から平成25年3月31日までの1年間に『日本労働研究雑誌』に掲載された投稿論文を対象として行われました。
 平成25年5月30日の第1次審査委員会、9月11日の第2次審査委員会を経て検討した結果、第14回(平成25年度)労働関係論文優秀賞として、中嶌剛氏の「とりあえず志向と初期キャリア形成─地方公務員への入職行動の分析」(『日本労働研究雑誌』No.632)、西本真弓氏の「介護のための休業形態の選択について─介護と就業の両立のために望まれる制度とは?」(『日本労働研究雑誌』No.623)の2作を決定しました。

〜労働政策研究・研修機構(JILPT)とは〜

 労働政策研究・研修機構は、平成15年10月に日本労働研究機構と労働研修所(厚生労働省)が統合して設立された、厚生労働省所管の独立行政法人です。
 内外の労働に関する事情及び労働政策についての総合的な調査及び研究等並びにその成果の普及を行うとともに、その成果を活用して厚生労働省の労働に関する事務を担当する職員その他の関係者に対する研修を行うことにより、我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、もって労働者の福祉の増進と経済の発展に資することを目的としています。

「論文優秀賞の受賞にあたって」
〜西本真弓教授コメント〜

 このたび、論文優秀賞をいただき、驚きとともに、この上ない喜びでいっぱいです。今回、受賞いたしました論文「介護のための休業形態の選択について─介護と就業の両立のために望まれる制度とは?」(『日本労働研究雑誌』No.623)は、家族に介護が必要となったとき、労働者はどういう休業を選択するのかをデータ分析したものです。
 我が国には、家族の介護のために一定期間、仕事を休める介護休業制度があります。しかし、実際、介護休業制度を利用して介護をしている人は少なく、年休や欠勤などの1日単位の休暇を選択している人が多いのが現状です。今回、介護のための休業形態の選択をテーマとして取り上げようと思ったきっかけは、研究を始めた頃には、まだ介護のために休める1日単位の休暇がなく、そういう休業形態を求めている人がいるのなら分析によりそうした点を明らかにして、介護のための1日単位の休暇ができるように提案しようと思ったことです。
 しかし、論文を『日本労働研究雑誌』に投稿し、レフェリーからのアドバイスに従って何度かの改訂、加筆を重ねている間に、実際に介護のための1日単位の休暇が「介護休暇」としてスタートし、結果、論文は介護のための1日単位の休暇を提案するという形から、新設された「介護休暇」の機能を検証するという形へと構成を大きく変えることになりました。当初は、介護のための1日単位の休暇を労働者は求めているという斬新な主張をしたかったのですが、結局、論文が完成するより早く、その制度ができたというわけです。
 しかしながら、1日単位の休暇が必要という当初の推測は、実際に制度が開始されたことから考えて、大きく的を外れてはいなかったと確信しました。そして、さらに今回、このような論文優秀賞を賜り、研究者人生においてずっと心に残る論文になると思います。この受賞を忘れず、今後の研究活動も頑張っていきたいと思います。