本学は今年度初めからこれまで学生のみなさんの安全と健康を最優先として、すべての科目において遠隔授業を行ってまいりました。みなさんには大変なご不便をおかけしており、誠に申し訳なく思っております。
 7月から一部で対面授業が段階的に開始されますが、首都圏や北海道ではいまだ新型コロナウィルス感染の拡大が確認され、完全な終息の気配は見えていません。すなわち、対面授業再開とは言えまだまだ気を許すことはできない状態が続き、新型コロナウィルス感染を極力避けながら徐々に日常生活を取り戻していくことになるでしょう。
 この半年間、日本中、いや世界中がこれまでにはなかったような悲惨な経験をしてきました。日本では幸い都市封鎖などは行われませんでしたが、市中では営業自粛やテレワークによる労働とそれに伴う経済の停滞、また皆さんにとっては初めての移動自粛や遠隔授業など、おそらく史上初めての出来事が次から次へと出現しました。この間、医療従事者の方々などは過酷な条件下での仕事を余儀なくされ、命を失われた方も大勢出ています。この期間に世界中が被った損害は甚大であり、その回復に要する時間や費用は見積もることさえできないと言われています。
 しかしながら、人類は過去大きな災害が起きるたびに英知を結集してそれを乗り越え、その過程で得たものを糧として、さらなる進歩を築いてきました。今回の新型コロナウィルス禍が残したもの、それは決して負の側面ばかりではないはずです。現に我々は遠隔授業という、これまで一部でしか行われていなかった教育法を通常の授業において利用するすべを得ました。また、新型コロナウィルスに対する数々の防御策がインフルエンザウィルスやノロウィルスの感染を抑止していることが明らかとなり、今後のウィルス感染対策にひとつの道標を与えたことも大きいのではないかと思います。
 まだまだ、安心できる状況でないことは確かですが、7月1日を契機として阪南大学は回復への次の一歩を、大きく踏み出すことを決意しました。キャンパス内への出入口を限定し、手指消毒を徹底する、またソーシャルディスタンスの確保などの感染防止策を実施しながら、日常的な大学教育の回復に向かって着実に歩を進めて参りたいと思います。
 皆さんにおかれましては、政府の提唱する「新しい生活様式」に従い、感染防止に十分留意しながら、共にこれまで以上の阪南大学へ歩みを進めていただければと祈念します。
 なお、今後の状況の変化に応じて、対応内容を変更する場合がありますので、HInTの「あなたへの連絡」や「掲示板」をご確認ください。

阪南大学長 田上博司