データの取りまとめに苦労しながら、何とかポスター発表ができました

 今年度の観光実習1(国内)は、2〜4年生11名が北海道標津町(しべつちょう)をフィールドに、4つの調査を進めてきました。これらのうち、観光ガイドへの聞き取り調査と観光客への質問票調査の結果をまとめ、12月3日に金沢星稜大学で開催された第32回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションで発表しました。
 今年度は8月21日から5日間、標津町の皆さまにご協力いただきながら、現地調査を実施しました。その後の授業において、観光ガイドへの聞き取り調査については、観光ガイドの属性ごとに聞き取り調査記録をコード化し、経験年数や立場による考え方の相違などを、メンバーで議論しながら整理していきました。一方、観光客への質問票調査については、質問票のデータの入力作業と集計を行い、観光客の動向や意向の把握を試みました。どちらの調査も慣れていないせいか、思った以上に時間を費やし、学会大会の出発前日にようやくポスターが完成するといった状態でした。
 こうしたこともあって、発表内容は必ずしも十分にまとめられたわけではありませんでしたが、他大学の先生方や学生の皆さんからたくさんのご意見やアドバイスをいただいたようで、今後の成果を取りまとめるにあたって、受講生は満足げな様子でした。発表内容の詳細や当日の様子について、以下で参加した学生が報告します。
 来年2月には、標津町の皆さまに向け、成果を還元するための現地報告会を開催する予定です。しばらく作業が続くことになりますが、この研究にご協力いただいている標津町の皆さまへのご恩返しのためにも、学生が奮闘してくれると期待しています。(森重昌之)

当日の発表の様子

  • 観光客への質問票調査結果の発表の様子

  • 観光客への質問票調査結果の発表の様子

  • 観光ガイドへの聞き取り調査結果の発表の様子

  • 観光ガイドへの聞き取り調査結果の発表の様子

  • 学生ポスターセッション発表会場の様子

  • 発表者全員で記念撮影

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参加した学生の報告

新たな課題が見つかったポスターセッション
 国際観光学部2年 高田有規子

 12月3日、石川県金沢市にある金沢星稜大学にて行われた第32回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。私たちは、夏に北海道標津町で調査した結果をポスターにまとめました。参加メンバーが多いため、観光客に向けたアンケート調査と観光ガイドへの聞き取り調査についての2つのグループに分けて発表しました。
 私は、アンケート調査のグループとして、夏の調査で得た情報をまとめていきました。観光客の年代や性別、住まい、滞在日数などの基本的な情報に加え、標津町を知ったきっかけや訪れたきっかけ、町内での移動手段、標津町の満足度についてもまとめました。その結果、標津町を訪れる観光客は中高年層の割合が高く、女性よりも男性の方が多く占めていることがわかりました。また、どこから訪れたのかという質問では、道内と道外の観光客数の割合が1対3という結果で、道外では関東地方の観光客が多くを占めていました。私は、関東地方から多くの観光客が標津町を訪れることについて、最寄りの空港である根室中標津空港は新千歳空港と羽田空港の2つの路線しかないため、直行便で訪れることが可能な関東地方からの観光客が多いのではないかと考えました。
 また、道外から訪れる観光客が全体の7割いるにもかかわらず、町内の滞在日数は半日と答える観光客が最も多いことから、改めて標津町が通過型観光地であることが確認できました。標津町を知ったきっかけは、ガイドブックやSNSと答えた割合が低く、標津町が発信する情報量が少ないことがうかがえます。また、町内で比較的知名度の高いサーモン科学館やポー川史跡自然公園、北方領土館は初めて標津町を訪れる観光客が多く、川北温泉や忠類川、旧根室標津駅転車台では、標津町を複数回訪れているリピーターが多く占めていることがわかりました。この結果から、初めて標津町を訪れる観光客が多い観光施設を拠点に、他の観光スポットの情報を発信することで周遊が生まれるのではないかと考えました。この他にも多くの結果や考えをグラフにまとめました。
 ポスターセッション当日、私たちは「通過型観光地における観光客の動向把握−北海道標津町における観光客の質問票調査から−」というタイトルで発表しました。他大学の先生方、学生の皆さんからさまざまなご指摘やご意見をいただきました。今回のアンケート調査は夏期間のみだったので、長期間でのアンケート調査の実施や施設ごとに詳しく結果をまとめてみてはどうかなど、これから活かせるものばかりで、とてもありがたいものばかりでした。また、他大学のポスターのレイアウトなども、これからの発表の参考になると思いました。
 今回、学会大会に参加し、他大学の先生方や学生と交流することで、改めて標津町を客観的に見ることができました。皆さまからの意見をこれからの標津町のプロジェクトで活かしていきたいです。

多くの意見をいただいたポスターセッション
 国際観光学部3年 井上佑太

 私たちは、12月3日に石川県の金沢星稜大学で行われた第32回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。「通過型観光地における観光客の動向把握−北海道標津町における観光客の質問票から−」と題したポスターを、多くの観光研究者、他大学の先生方、学生に向けて発表しました。
 私たちが研究している北海道標津町は、周りを知床や根室、釧路などの著名な観光地に囲まれており、滞在時間が短い通過型観光地と言われています。今までは観光客の動向を把握する調査が行われたことがなかったので、今年度の観光実習で調査を行いました。アンケート調査は、有人の観光施設では8月の1か月間の留置調査、無人の施設では標津町を訪問した時に受講生が分担して2日間立ち合い調査を行い、その結果をまとめて考察しました。アンケート結果から、道内と道外の観光客の割合は1対3であり、この傾向から標津町を訪れる観光客の多くが宿泊すると思われますが、実際に宿泊する観光客は40%程度と少なく、他の道東の観光地のついでに訪れる人が多い、通過型観光地であることが改めてわかりました。
 また、標津町の主要な観光施設である標津サーモン科学館、ポー川史跡自然公園、北方領土館は標津町を初めて訪れる観光客の割合が多く、知名度が低い川北温泉や忠類川サーモンフィッシング、旧根室標津駅転車台はリピーターの観光客が多いことがわかりました。そこで、標津に初めて訪れる観光客が多い場所で他の観光資源の情報を発信することで、そこから周遊が生まれるのではないかと考えました。標津町を訪れた理由の質問では、偶然通りがかった人が37%もいたことから、標津町の知名度がまだまだ少なく、知ったきっかけを見てもガイドブックやSNSの割合が低く、情報発信がまだ少ないことがわかりました。
 私たちの研究に足を止めてくださった方の中には、「参考になる研究ですね」と声をかけていただく一方で、「リピーターはどこからきているのか」、「もっとクロス集計をすべき」、「夏以外の季節ではアンケート結果が変わるのではないか」など、貴重な意見を多くいただくことができ、改めて課題を発見することができました。
 発表以外の時間には、愛媛大学や立教大学などの他大学のポスターを見学しました。同じ観光学を勉強している学生であっても、あらゆる視点から観光を捉えており、自分たちの研究にも生かせることが多くありました。
 今回のポスターセッションでいただいた意見を入れながら、さらに細かい分析を行い、来年2月の標津町での現地報告会にはまとまった調査結果を発表できるようにしていきます。

課題や改善点が見えたポスターセッション
 国際観光学部3年 山本真由美

 私たち観光実習1(国内)の受講生は、12月3日に金沢星陵大学で行われた第32回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。授業や8月に行った現地調査などでの研究成果をポスターにまとめ、「過型観光地における観光客の動向把握−北海道標津町における観光客の質問票調査から−」について発表しました。
 北海道標津町は、周辺を知床や阿寒、釧路などの有名な観光地に囲まれているため、通過型観光地となっていることが現状です。これまで観光客の実態を把握する機会がなかったため、質問票調査を実施することで課題を把握できるのではないかと考えました。8月に町内の観光施設5箇所では留め置き調査を行い、無人の観光地2箇所では約1週間の現地調査期間中の2日間、私たちが立ち会いのもと調査を行いました。後期の授業では集めたすべての質問票をデータ化し、分析しました。その結果、標津町は通過型観光地である一方、「また訪れたい」という意見が多く、リピーターの多い魅力的な観光資源があることがわかりました。
 今回のポスターセッションでは、今までの成果を初めて発表する機会となりました。まだまだ標津町についての知識も浅く、どのようなことを聞かれるのか不安で緊張しましたが、他の大学の先生や学生の方々、北海道について研究されている方など、多くの方々から意見をいただくことができました。グラフを見やすくするための工夫の方法や、これほど多くの観光客に調査することができたので、質問票調査の結果をもっと詳しく分析することが大切であるなどと言ってくださいました。また、どのような観光客に来てほしいのか、他にはない標津町ならではの魅力を発信する必要があるのではないかなど、いくつもの課題を見つけることもでき、今後の考えるべきことを知る機会になりました。
 私は、標津町へ現地調査に行った際、2日間とも無人の観光地である旧根室標津駅転車台と川北温泉で質問票の立ち合い調査を担当し、その際に観光客の方々からお話を聞くことができました。協力していただいた観光客の声を実際に標津町の方々に伝えるためにも、今後も詳しく分析を続けなければならないと感じました。質問票調査の結果は、標津町の方々にとっても、訪れている観光客の動向を知る上で、大切な機会であると感じています。今回のポスターセッションで指摘していただいたことを、今後の現地での調査報告に向けて改善していこうと思います。

さまざまなこと学んだ観光研究学会
 国際観光学部3年 松井昭憲

 2017年12月3日に、金沢星稜大学にて開催された日本観光研究学会全国大会の学生ポスターセッションに参加しました。発表内容は「通過型観光地における観光客の動向把握−北海道標津町における観光客の質問票調査から−」です。
 私たちは今年8月に北海道標津町において観光客の実態を把握するため、質問票調査を行いました。有人観光施設では留置調査を1ヶ月間、無人の観光スポットでは立ち合い調査を2日間、それぞれ実施しました。調査結果を分析し、考察を行った結果、「通過型観光地であることが改めて確認できた」、「道外から観光客が多い」、「標津町の情報発信力が弱い」、「リピーターが多く集まる魅力ある観光資源がある」ことなどがわかりました。これらを踏まえ、「来場者数が比較的多い観光施設において、他の観光資源の情報を発信することによって周遊性を高め、滞在時間を延ばす」、「まだ標津町があまり行っていないSNSやインターネットを充実させ、標津町への観光客の増加させる」ことを考えました。そして、分析したデータをもとにグラフを作成し、記載した考察などをポスターにまとめました。
 発表では、他大学の先生や観光業界の方々から質問やアドバイスをいただきました。まず標津町について聞かれることが多く、標津町の認知度の低さを改めて実感するとともに、「これからの場所だから頑張って欲しい」と応援の言葉もいただきました。他にも「留め置き調査をただ置くだけでは回収量が少ないのではないか」、「このグラフは円グラフではなく、棒グラフの方が理解しやすい」、「AとBのグラフをクロス集計すると良い」など、私たちがあまり考えていなかったデータの収集方法や、あまり深くまで踏み込めていなかったグラフの見せ方を教えていただきました。また発表していくうちに、記載されている内容が間違っていたり、抜けていたりする部分あるなど、反省点も見つかりました。
 今回初めて学会に参加し、他大学の先生方や学生とさまざまな視点から観光学に関する意見を交わし、また自分が専攻していない分野の研究や同じ専攻分野でも違う視点のポスターセッションを拝見し、これからの改善点やヒントとなるものをたくさん得ることができました。また、大学の中だけでは得ることがないこの貴重な経験は、私にとって新しい知識の獲得や今後の活動の刺激にもなりました。
 私たちはいただいたアドバイスも含め、学んだことはこれからの観光実習の授業や普段のゼミ活動で活かしていきます。また、課題は今後の標津町の方々への報告会に向けて、標津町が観光の力で活性化していくための材料になるよう、少しでも改善していきたいと思います。

観光客の視点から気づいた滞在時間の短さ
 国際観光学部3年 平澤ななみ

 12月3日、観光実習1のメンバーで、金沢星稜大学で開催された日本観光研究学会全国大会の学生ポスターセッションに参加しました。私は標津町を訪れるようになってから、今年で3年になります。今回の調査では、標津町内の観光施設5カ所における留め置き調査と、無人の観光スポット2カ所での立ち会い調査による観光客への質問票調査を実施したり、標津町の観光ガイドの方々への聞き取り調査を実施したりするなど、具体的なデータを自分たちの調査で集め、研究を進めていきました。そのため、これまでの研究とは違った視点から標津町を見ることができたように思います。
 今回は、質問票調査のチームとガイドへの聞き取り調査のチームの2つに分かれて発表しました。私は質問票調査のチームになり、「通過型観光地における観光客の動向把握−北海道標津町における観光客の質問票調査から−」と題し、発表しました。これまで複数回にわたって標津町を訪れているため、標津町で有名なものやどのような観光スポットがあるのかなど、ある程度の知識は持っていました。しかし、今回の質問票調査の結果を分析していく中で、標津町を訪れる観光客の動向や意図なども詳しく知ることができたので、とても視点が広がったように思います。調査データによると、標津町を訪れた人の半数以上が「また訪れたい」と答えていたり、川北温泉や忠類川サーモンフィッシング、旧根室標津駅転車台を訪れた人の80%が2回以上訪れていたりすることがわかりました。改めて、標津町が観光客にとってとても魅力のあるところだと感じました。
 しかし、標津町は周辺を知床、阿寒、釧路といった著名な観光地に囲まれた通過型観光地であり、調査結果から見ても標津町を目的として訪れる人は少なく、通りがかりで訪れる人も多いという現状がわかりました。そこで、上にあげられたようなリピーターの多い観光資源を積極的にアピールしていくことで、標津町での滞在時間を延ばせるのではないかという提案をしました。
 当日、ポスター発表をする中で、たくさんの貴重なご意見・ご感想をいただくことができました。何人かの先生方には『おもしろいねえ、一度行ってみたい』と言っていただきました。今後は今回のポスター発表の際にいただいたご意見をもとに、もう一度みんなで話し合い、標津町の皆さまにもさらに良い研究成果を発表できればと考えています。そして、今回の発表を通して、今後も標津町にたくさんの人に足を運んでもらえるよう、標津町の魅力を伝えるお手伝いができたらよいなという思いが強くなりました。

それぞれが考える「観光」に触れることができるポスターセッション
 国際観光学部3年 世木杏佳

 私たち観光実習1の受講生は、12月3日に石川県金沢市の金沢星稜大学で行われた第32回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。北海道標津町のフィールドワークで行ったアンケート調査と観光ガイドの皆さまへの聞き取り調査の内容をまとめ、発表しました。私は聞き取り調査のポスター「聞き取り調査から見た観光ガイド協会の組織運営の課題−北海道標津町を事例に−」の発表を担当しました。
 標津町観光ガイド協会は設立してから17年経っているのですが、ガイドの皆さまがどのような問題意識を持っておられるのか、ガイド間での情報共有の有無、今後の方向性などについてこれまで調査されたことがありませんでした。そこで、これらの実態を明らかにするため、ベテラン、中堅、新人といった属性に分け、聞き取り調査を行いました。その結果、属性ごとにさまざまな意見が上がり、ガイド間での問題意識のずれや情報共有が不十分なこと、将来像が定まっていないことなどがわかりました。これらを標津町の概要や観光の現状、標津町観光ガイド協会の概要などと合わせてポスターにまとめました。発表では、「自分たちの提案をまとめるともっと良くなる」など、貴重なご意見をいただくことができ、この研究の精度を上げるための課題がたくさん見つかりました。
 他大学のポスターを見て回ると、私たちのポスターとはまったく異なる個性的なレイアウトや、紙質にまでこだわっているところもあり、驚きました。今回のポスターセッションを通じて、それぞれが考える「観光」を見たり、聞いたりすることができ、とても刺激を受けました。京都外国語大学の「日・タイにおける若年層の観光交流の活性化を考える」という発表を聞きましたが、私たちの研究とはまったく違うもので、ツアープランが細かく考えられていて驚きました。そして、実際に行ったアンケートやポスターを手持ち資料にして配っていた点も、よりわかりやすくて良い案だと感じました。
 今回、ポスター制作や人前での発表など、何もかもが初めてのことで、とても不安がありましたが、終わった時には達成感を得ることができ、頑張ってよかったと感じました。しかし、今回の研究は見直さなければいけない点もまだまだたくさんあるので、今回いただいたご意見を今後の研究に生かし、来年2月に行われるインカレねむろ研究発表会や現地報告会に向けて試行錯誤し、より良い内容にしていけるよう努力していきます。今回のポスターセッションを通じて、学びの面でもたくさんの発見がありましたが、それだけでなくメンバーの仲もより深まったように感じました。今回、私たちのポスターに足を止め、アドバイスを下さった先生方や学生の皆さまに感謝申し上げます。

観光の可能性について感じたポスターセッション
 国際観光学部2年 安田知弘

 12月3日(日)、金沢星陵大学にて日本観光研究学会全国大会が行われ、観光実習のグループで北海道標津町を事例にあげ、「観光客に対するアンケート調査」と「観光ガイドに対する聞き取り調査」をポスターセッションで発表しました。私たちのグループは、観光ガイドに対する聞き取り調査を担当しました。
 ポスターを作成する前の分析作業では、どの項目がどこの分野に当てはまるのかということに多くの時間を費やしましたが、作業を進めていくに連れて、次第に理解できるようになりました。しかし、まとめた内容についてさらに細かく分析する作業は複雑で、とても難しく感じました。ポスターの内容についてもまとめていきましたが、文字の配置や表現の方法、まとめ方などについて、事前にたくさんの指摘をいただき、訂正していきました。どのようにすれば相手にわかりやすく伝わるかなどを同時に考えることになり、ポスターセッションではその研究の要点や課題、考察をしっかりまとめてわかりやすく見せることが大事だということを知りました。
 ポスターセッション当日は、このような学会で発表することが初めてでしたので、緊張していた半面、楽しさもありました。まだ理解できていないところやうまくまとめられないところもあったので、みんなで何回も予行練習し、お互いに指摘し合いました。私自身、あまり人前に立って話したり、発表したりすることが得意な方ではありません。しかし、今回ポスターセッションという良い機会でしたので、私たちが北海道標津町で行ったアンケート調査や聞き取り調査で得たことや感じたことを、聞きに来てくださった人にわかりやすく説明することを心がけました。
 しかし、発表後の質疑応答では、私たちが想定していない考えやご意見もたくさんいただき、第三者からの視点がいかに大事かということを改めて実感しました。私たちの大学の他にもいろいろな大学が来ていて、発表を聞いているとそれぞれの発表において違った研究方法や視点で物事を考えていて、とても勉強になりました。また、観光の研究には切り口がたくさんあり、視点を変えることによってたくさんの可能性が広がっているということを再認識できました。
 今回のポスターセッションを通して、研究したことをただ発表するのではなく、その中で自分の考えなどを相手に伝え、ご意見をいただくことによって発想を豊かにでき、そして研究を通じて今後の観光の可能性を見つけ出せると感じました。今回のポスターセッションで経験したことを、今後のゼミ活動や大学生活で生かしていきたいと考えています。

貴重な意見をいただいた研究発表
 国際観光学部4年 山内菜美子

 12月3日に、日本観光研究学会全国大会の学生ポスターセッションに参加しました。標津町では、17年前から体験型観光を積極的に行っているのですが、その間観光ガイド協会の組織運営の方向性についての調査が行われたことがないため、その実態が明らかではありませんでした。今回は、標津町観光ガイド協会の組織運営の方向性を検討する目的でポスターを作成し、発表を行いました。
 8月のフィールドワークで行った観光ガイドの聞き取り調査では、ベテラン、中堅、新人、女性など、属性ごとにグループを分けて行い、そこで得た情報をもとに分析を行いました。聞き取り調査で得られた意見をまとめると、体験メニューの運営、顧客満足やガイドシップ、スキルアップとその向上、将来像、標津町の魅力について整理できました。体験メニューの運営について、中堅はチーフからの日程連絡が遅い、女性は都合によって体験時間を変えられることに不満を感じている、新人は自分たちの意見が反映されていないという意見にまとめました。顧客満足やガイドシップでは、ベテランと女性、中堅は現状でも顧客満足度が高く、さらに顧客満足度を上げられると考えている一方、新人は顧客満足度が低く、改善が必要と認識していました。
 スキルアップと向上では、ベテランと女性は反省会の実施やガイド個々の反省会ですでにスキルアップが図られていると思っていますが、中堅と新人はマニュアルの作成や勉強会の積極的な参加、個々のスキルアップの必要性を感じていました。さらに、ベテランは現状の講習会で満足していますが、中堅と新人は現状の講習会では満足していないという差も見られました。将来像では、ベテランと女性は観光ガイド協会の認知度を上げたいと考えていました。また、観光を標津町の産業として発展させていきたいと考えていますが、現状のままボランティアとして発展させたいガイドと、ガイド協会を法人化して発展させていきたいガイドに分かれました。標津町の魅力では、ガイド一人一人が魅力を認識していますが、それが具現化できていない状況でした。
 これらの意見から、観光ガイド協会の現状に満足しているベテランと、問題意識を持っている中堅と新人という構図が見られ、ガイド間に意識のずれがあることが明らかになりました。さらに、特に新人の意見が組織全体にうまく伝わっておらず、情報共有ができていないことも明らかになりました。観光を産業化したいと考えているガイドが多いのですが、今後ガイド協会をどのようにしていくのかについての具体的な考えは定まっていませんでした。
 このように、観光ガイド協会への聞き取り調査の結果を分析し、明らかになったことを発表しました。発表では、ガイド協会のチーフを新人にして毎年入れ替えてはどうかや、私たちと観光ガイド協会のガイドが意見交換できる場をつくってはどうかなど、さまざまなご意見をいただきました。これらの得たご意見を標津町での現地報告会までに整理し、今後どのようにすべきか考えていきます。

たくさんの人びとの力をかりて、ガイド協会が成長するためには
 国際観光学部3年 佐古健太

 2017年12月3日、石川県の金沢星稜大学にて第32回日本観光研究学会全国大会が開催され、学生ポスターセッションで発表をしました。私たち観光実習1(国内)では、「通過型観光地における観光客の動向把握−北海道標津町における観光客の質問票調査から−」、「聞き取り調査から見た観光ガイド協会の組織運営の課題−北海道標津町を事例に−」の2つのテーマで行い、私は後者の聞き取り調査についての発表に参加しました。
 北海道標津町では、2001年に標津町エコ・ツーリズム交流推進協議会を設立して体験型観光を導入するなど、観光客の誘致に取り組んでいます。標津町観光ガイド協会は、町民ガイドからなる任意団体です。また、広報活動はガイド協会が行っているわけではなく、エコ・ツーリズム協議会や観光協会が行っています。しかし、ガイド協会が設立されて17年が経ちましたが、これまでガイドの問題意識の有無やガイド間での情報共有の実態、今後の方向性などについての調査が行われたことがありませんでした。そこで、観光ガイド協会の今後の組織運営の方向性を検討することを目的として、8月21日より5日間で、観光ガイドへの聞き取り調査を年齢や性別で4つのグループに分けて行いました。
 この調査の結果、3つのことがわかりました。まず、ベテランと新人の間で意識のずれがあるということです。体験メニューの運営や顧客満足度、スキルアップの観点でベテランは現状で満足しているようでしたが、中堅、新人は不満があるようでした。また、将来像についても、組織や個々人で考えにずれがありました。これは組織としての具体的な将来像が示されていないことが原因であるということが考えられました。加えて、新人、中堅の不満がベテランに伝わらないのは、情報共有に問題があることが原因であると考えられました。
 今回、これらの調査で得られたものを分析、考察し、発表しました。発表は何人かの先生方に聞いていただくことができ、一定の評価をいただきました。また、具体的な組織への提案や、組織にとって外部者である学生だからこそいろいろとできることがあるのではないかなど、貴重なご意見をたくさんいただきました。そして、標津町の魅力も個々人で認識しており、新たな体験メニューも考えることができるが、それを具現化する機会がないということでした。
 日本観光研究学会の学生ポスターセッションへの参加は今回が初めてでしたが、他大学の学生や先生方など、普段意見を交わすことのない方との交流ができ、自分では気付くことができない意見などを聞く機会になりました。学ぶことがたくさんありました。今回の学生ポスターセッションでの意見を参考にして、観光ガイド協会へ良いフィードバックができればと思います。

さまざまな情報を得られたポスターセッション
 国際観光学部4年 西内拓史

 12月3日に、石川県の金沢星稜大学で行われた第32回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。私たちが研究調査を行った場所は北海道標津町で、8月21日から27日にかけて行ったフィールドワーク調査の結果をまとめ、発表しました。今回のポスターセッションでは、「聞き取り調査から見た観光ガイド協会の組織運営の課題−北海道標津町を事例に−」という題目で発表し、私は考察から結論にかけての発表を担当しました。
 今回の発表の概要は、標津町の観光ガイドの方々に対して行った聞き取り調査でした。調査方法はグループインタビューで、1時間から2時間半にかけて、ベテラン、新人、中堅、女性など、属性ごとに6つのグループに分けて行いました。調査の内容は、ガイドの性別や年齢、職業、ガイドの経験年数、町内での居住年数といった属性、ガイドの機能やノウハウに関する事項、ガイド間での情報共有に関する事項、組織運営に関する事項などについてインタビューを行いました。フィールドワークの後、毎週火曜日の観光実習の時間に夜遅くまで話し合い、インタビュー調査の結果をまとめました。
 結果を分析すると、ガイド全体で意識のずれが問題となっており、特にベテランと新人の意思疎通がとれていないことが明らかになりました。現状で満足しているベテランと、もっと組織を改善する必要があると組織に問題意識を抱えている新人でずれがありました。改善には組織の改革や意見交換会など、情報共有の場を設定する必要があることがわかりました。
 今回のポスターセッションでは、私たちの研究に対して足を止めてくださった方々からさまざまな意見をいただきました。ガイドの聞き取り調査から出てきた課題をどのようにすれば解決できるのか、さまざまなアドバイスをいただき、今後研究を進めていく中でとても参考になる意見ばかりでした。私たちの意見だけでなく、周りからのご意見を得ることができ、新しい発見もできたので、今後の研究にも生かしていけると感じました。また、他大学の学生や同じ阪南大学の学生も参加しており、それぞれの研究を見て、同じ観光についての研究に取り組んでいても、私たちとはまた違った観点で事象を捉えていて、参考になりました。
 今回のポスターセッションでの発表で皆さまからいただいたご意見やアドバイスを参考に、今後の標津町の課題を解決するために、引き続き全力を尽くしていきたいと思います。

聞き取り調査を通じてわかった情報共有の大切さ
 国際観光学部2年 清水遼

 私たちは、石川県の金沢星稜大学で行われた第32回日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションに参加しました。ポスターセッションの内容としては、今年8月に標津町で1週間フィールドワークを行い、そこで得られた情報をもとに、大きくまとめて2つのポスターを作成しました。1つは「観光客に向けてのアンケート調査」です。もう1つは、標津町の「観光ガイドへの聞き取り調査」です。今回のポスターセッションでは2つのグループに分かれ、それぞれ発表を行いました。私は観光ガイドの聞き取り調査のポスター発表を担当しました。
 「観光ガイドへの聞き取り調査」を行った目的として、観光ガイド協会が設立されてから17年が経ったのですが、標津町観光ガイド協会がどのような組織運営を行っているのか、ガイド間での情報共有はしっかりとられているのかなど、これまで観光ガイド協会の実態が明らかになっていませんでした。そこで、これらを明らかにしていくことを目的としました。
 この目的のもと、観光ガイドの方々をベテラン、中堅、新人といったガイドの経験年数や性別などの属性に基づき、6つのグループに分けて、聞き取り調査を行いました。主に、ガイドの技術やノウハウに関係すること、ガイド間でどのように情報を共有しているか、観光ガイド協会の組織運営などに関することを尋ねました。聞き取り調査を行って、得られたデータをコーディングして分析した結果、大きく3つの問題にまとめることができました。1つ目は「ガイド間での意識のずれ」です。ベテランの方々は現状のままである程度満足されていますが、中堅、新人の方々は個々のスキルアップや観光ガイド協会の発展の方向性など、現状に不満を感じておられました。2つ目は「情報共有ができていない」ことです。体験が終わった後に反省会や意見を交換する場があるというガイドと、それらが不十分であるというガイドが見られ、情報共有の場が必要であることがわかりました。3つ目は「具体的な将来像が示されていない」ことです。将来に向けた組織の方向性やガイド個々人が立案した新メニューなど、新しい物事を見出していかなければいけないことがわかりました。
 これらが明らかになったことから、情報共有の大切さ、そして情報共有を行う「場」の大切さを学びました。学会発表では、私たち学生が情報共有の場を設けてはどうかという提案をいただきました。今後は学会発表でのご意見をもとに、より問題となっている点の紐を解き、濃い内容にまとめていきたいと思います。