国際コミュニケーション学部 都市文化史論シンポジウムを開催しました。

10月22日(水)、フロンティアホールで今年度第1回目の「都市文化史論シンポジウム2014」を開催しました。
国際コミュニケーション学部では、「都市文化史論」の日本、アジア、ヨーロッパの3科目が同一曜日同一時限に配置されています。
担当者は日本(京都)が神尾登喜子教授、アジア(西安)が陳力教授、ヨーロッパ(フィレンツェ)が松本典昭教授です。普段とは異なる授業形態なので学生諸君も興味津々、熱心に聞き入り、ノートをとっていました。今回は、藤野ゼミの学生のみなさんも特別に聴講してくれました。MCは神尾教授でした。

教員のコメント

神尾教授

2010年から始まった「都市文化史論」のシンポジウムも今年で5回目となりました。毎年、違った発言と結論に導いてしまうMC担当の神尾です。それでも、毎回、担当している教員側が楽しいことは事実です。他学部からの受講生も多く、その中で、毎回違った印象と刺激を受けて下さっていることに、逆に私自身が刺激を受けています。それでは、受講学生諸君の感想をどうぞ。

陳教授

今回のシンポジウムの後、受講生から様々な質問と提案を受けました。特に提案の方は教員として非常にありがたいと思います。なぜなら、情報化社会の中の若い方の関心は毎年変わっています。このような提案と授業の趣旨と教員の個人の守備範囲とをすり合わせれば、より知的で学生の関心度の高い講義ができるからです。これからも、シンポジウムの後、学生のコメント、感想などを吟味し、受講生と連携して授業を展開していきたいです。

松本教授

毎年、少しずつ改良を加えているが、今年は最後に「3都市の歴史的関係性〜世界への扉が開かれる時!」を追加した。そのなかで奈良時代の遣唐使・安倍仲麻呂の紹介があった。唐の長安(現、西安)で科挙に合格し玄宗皇帝に仕えた人物である。百人一首に歌がおさめられた歌人でもある。私自身も西安観光で彼の巨大な記念碑を見て誇らしく思った経験がある。学生諸君、千数百年も前にこんなスーパー・エリート留学生がいたことにぜひ思いを馳せて欲しい。大切なのは想像力。時空間を超えて世界はつながっているのだから。

受講学生の感想

ゴ・アンキ(国際コミュニケーション学部)

 今回のシンポジウムで、フィレンツェ・西安・京都の3都市の話を聞いて、それぞれの共通点や相違点を知ることが出来ました。特にシンポジウム形式であることで、通常であれば一人の先生の話しか聞くことができませんが、同時に3人のそれぞれ異なった都市の話を聞けることは、大きなチャンスだと思います。
 授業中に紹介されるパワーポイントでは、画像を多用しての説明が展開されていることで、頭の中でイメージが容易にできました。

小山裕也(経営情報学部)

 シンポジウムに出席して、3都市の文化と共通点・相違点を比較対照しながらの授業形式が面白かった第一の点です。日本の京都のような古き良き文化都市が世界の各地にあることの驚きと、刺激は受けてみて初めて分かることだと思います。
 特に僕が興味を抱いたのは、3都市共に街路が直角に交わる直線道路だということ。そのような構造は京都だけだと思っていた中で、意外にもヨーロッパ・中国にあることを知り、各都市への観光旅行も良いかもしれないと感じたのは僕だけではないと確信しています。

青木美樺(経営情報学部)

 シンポジウムという授業形式をとることで、何時も受けている授業以外の都市の話を一気に聞くことが出来たことが面白かった点です。3人のそれぞれ異なった都市を扱う先生方が集まることで、それぞれの視点から都市空間を解明していく方法は、私たちに新たな刺激の種を植えて下さったように思います。
 3都市は離れていながらも、共通の発想と思考に縁どられている一方で、独自の歴史と文化形成をしているという、まだまだ知るべき事柄が満載していると感じました。未知の世界への第一歩。それが私にとってのこのシンポジウムだったと思えました。

角明日香(国際コミュニケーション学部)

 今回の授業は神尾先生が司会をして、神尾先生(京都)・松本先生(フィレンツェ)・陳先生(長安)が様々な面で3都市を比較して議論するシンポジウムが開かれました。3クラス合同の授業であり、藤野先生のゼミの学生たちも加わった大きい授業になりました。
 まず、この3つの都市の話を聞いて、共通点の多さと違いの多いに驚きました。どの都市も魅力がありました。まず都という場所は、国の中心都市となります。そのために立地条件や農作物の豊富さ、水条件などの要素が考えられて作られました。日本の場合は疫病が流行したために都が移転して最後に京都の地にたどりついたことを知り、とても驚きました。フィレンツェは海に面していない商業の町で、長安は長い歴史をもつ百万都市です。先生方の熱弁を通して先生方個々人の専門の都市への愛も強く感じました。
 中国については、陳先生の授業で聞いているので驚きませんが、長安周辺は水が少ない、海から離れているフィレンツェより、もっと水事情が悪いようです。このような水の少ない環境でもそれに適応した食文化を作り出したことに、昔の人々の工夫が現在まで伝承され、都であり続けたのだと思いました。
 このシンポジウムは単に合同授業ではなくて、比較し、先生たちも新しい発見をするような、とても新鮮な授業形態であると感じました。このような授業は私に知的刺激を与え、次回のシンポジウムがとても楽しみになりました。

濱口玲菜(国際コミュニケーション学部)

 去年は神尾先生の京都の授業を受講していました。シンポジウムは奥深い内容で、たくさん考え、学びたいことを自分の中で発見できたので、今年は陳先生の授業を受講しました。
 今年も先生方が都市のあり方を面白く語ってくださり、濃い時間が過ごせました。形が似ている、遠い昔から国際的なことを意識していた等の共通点もある中で、それぞれの都市ならではの文化が生まれていくこと。
 今回は去年とはまた違った視点で考えることができたと思います。次回のシンポジウムも期待しております。

古川加奈子(国際コミュニケーション学部)

 今まで大学で受講していた講義と違って、このように3人の先生方の意見が飛び交う講義は初めてだったので、とても斬新で興味深いものとなりました。ユリウス・カエサルの時代のユリウス月が7月(July)と結びつき、給料の塩からサラリーマンという言葉が生まれたことなど、面白い発見でした。いちばん、なるほどと感じたのは、3都市が共通して海に面していないことで、中国人留学生が海を知らなかったというエピソードでした。3都市のお話から、「今」だけがグローバルではない!!!今も昔も人々の知恵が「今」につながり、「今」を作っているのだ、と実感しました。

篠塚莉奈(国際コミュニケーション学部)

 ヨーロッパのフィレンツェ、中国の西安、日本の京都という一見まったく違う都市を比較対象にするという発想が自分になかったので、このシンポジウムを聴いて非常に面白かった。比べてみると、たくさんの共通点と相違点が見えてきたが、やはりアジアとヨーロッパは違いが多く、京都と西安は似ているところが多いと感じた。ひとつの都市だけを見ているとわからないことが、複数の都市を比較することで、その都市の良さや特殊性などが理解できると思った。世界的な規模の歴史と地理から3都市を見ていったので、それぞれの都市の位置づけがよくわかった。

中尾舞香(国際コミュニケーション学部)

 初めての3科目合同シンポジウムで、どんなものだろうか?と思っていましたが、実際、講義が終ってみると、とても時間が経つのが早かったという印象を受けました。通常の授業のように、ひとつの地域について学ぶのも勉強になりますが、今回のように3つの地域を具体的に学ぶのも、とてもわかりやすく、頭に入りやすいと思いました。本日、特に印象に残っているのは、都市の形です。遠く離れた地域であるにもかかわらず、3つの都市がすべてほぼ正方形でした。しかも道路は碁盤の目のように直角に交わっていました。人間の考えることは同じなのだろうか、と不思議に思いました。次回のシンポジウムも楽しみにしています。