大学入門ゼミの授業の一環で、11月28日にアートでまちづくりを行う大阪市住之江区北加賀屋へフィールドワークに行きました。参加者は1年生10名、3年生のスチューデント・アシスタント(SA)2名の13名で、今回は一般財団法人おおさか創造千島財団の加藤彩世様に案内をお願いしました。加藤様には事前学習のために、11月11日にオンラインにてレクチャーもしていただきました。今回大変お世話になりお礼を申し上げます。
 千島財団は、芸術・文化活動の環境整備を行い、大阪で活躍するアーティストを支援することにより、魅力的なまちづくりに貢献することを目的に2011年に設立されました。事業のひとつにKCV(北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ)構想があります。造船所跡を中心に、空き家や空き地を活かしてアーティストらが活動する場を提供し、芸術・文化が集積するまちづくりを展開しています。
 加藤様の案内で、コーポ北加賀屋(建築、アートなどさまざまな分野の人や組織が集まった協働スタジオ)、クリエイティブセンター大阪(近代化産業遺産に指定、造船所跡地を使った巨大創造スペース)、Super Studio Kitakagaya(造船所の倉庫を改装したアーティストの作品製作スタジオ)、MASK(鉄鋼工場を利用した大型美術作品の収蔵庫)、千島文化(文化住宅を改装した商業施設)、みんなのうえん(空地を活かし農園作りを行うコミュニティファーム)、M@M(美術家、森村泰昌氏の美術館)、ウォールアート等を見学しました。アートをコンセプトに、まちの中に点在する空き家や空き地を活用し、いかに創造的で魅力的なまちづくりをおこなっているのかを目の当たりにして、学生たちも感動していました。
 今年で北加賀屋のフィールドワークは3年目になりますが、関わるアーティストやクリエイターが毎年増えて、ますます魅力的な北加賀屋に進化していると感じました。
 参加した1年生3人のフィールドワークのレポートを報告します。

1年生 下里妃乃

 今回のフィールドワークでは、企業が中心となってまちづくりを行っている北加賀屋を視察しました。これまで「まちづくり」と聞いたことはあっても、地域行政が公共施設を整備したり、住民のために条例を立案したりと、私たちの見えないところで行われていることというイメージを持っていました。しかし、北加賀屋では企業が中心としてまちづくりに取り組んでいました。さらに、美術作品や空き家のリノベーションといった、一目でわかるような形でのまちづくりがあることを知りました。また、クリエイターへ作業環境を提供する代わりに、そのアート作品を公開してもらうなど双方にメリットのある仕組みも魅力的でした。若者向けのおしゃれなお店も多く、カラフルなウォールアートも見ながらまちあるきを楽しむことができました。アートを媒介としたまちづくりについて知識を深めることができ、まちづくりへの関心が高まりました。今回のフィールドワークで得たことを、今後の学習に活かしていきたいです。

1年生 長沖麟太郎

 今回のフィールドワークにおける私達のテーマは「アートがまちづくりに与える影響」と「ヒトとアートとの繋がり」の2つで、両側面からまちづくりを探っていく事にしました。実際に訪れてみると住宅街の壁や窓には多様なアートが描かれており、街全体がアートに包まれているような雰囲気になっていたり、古民家の良さを残しつつ新しくカフェや食堂をオープンさせ、そこから繋がる出会いや魅力作りを行っていたり、観光産業の一つとしてアートが街づくりを活性化させている事を大いに体感しました。また、観光地としての街づくりのみならず、北加賀屋に新しく住んでもらおうと、アーティストの人々への支援や、地域参加型のイベントを開催することで北加賀屋の住環境の発展を目指す取り組みもなされており、アートが生み出す最大限の可能性を、あらゆる角度から引き出そうと地域創生に携わっている人々の工夫や尽力を垣間見ることができた貴重な活動でした。

1年生 伊藤旬平

 今回のフィールドワークでは、今まで名前も聞いたことがなかった北加賀屋という街に行くことができ、また、案内してくださる方がいたおかげで、自分たちでは調べてもわからないことをたくさん知ることができました。クリエイターの方の作業スペースを見ることも始めての経験でした。フィールドワークに参加する前に、オンラインで加藤さんから事前にレクチャーを受けていましたが、現場に行って始めて実感することが多くありました。私たちのチームはリノベーションをテーマにしていたので、建物を重点的に見ていましたが、多くの建物がその対象となっており、外観を残しつつも新しい場に生まれ変わっていました。その中でも千鳥文化は昔の建物とリノベーションされた部分が融合していて、二階部分は展示物があるスペースになっており、一つの建物で食事とアート両方見ることができて発想が面白いと感じました。