国際協力講座−体験ゲームで世界の現状(いま)を知ろう!

阪南大学は、日本学術振興会との共催で「科学研究費補助金の研究成果の社会還元・普及事業」に参画しています。

5回目を迎えた2011年度は、国際観光学部・段家誠教授を講師に、中高生を対象とした講座を、8月4日(木)に開講しました。当日は、24名が参加し、「開発と環境」「参加型学習」「対話」をキーワードに、様々な問題を地球規模の視点で考える「国際協力講座−体験ゲームで世界の現状(いま)を知ろう!」を受講。ゲームを通して楽しく、分かりやすく、国際協力ボランティアの世界を学びました。
  • 国際協力講座の風景

講座プログラム

時 間 内 容
10:00-10:30  受付
10:30-10:40  開講式、プログラム全体趣旨、
科研費の説明・諸注意
10:40-11:10  講義と簡単な実習 「世界地図を書いてみよう」
11:10-12:10  実習1「貿易ゲームで学ぼう、考えよう」
12:10-13:10  昼食(大学生TAとフリートーク)
13:10-14:30  実習2「開発問題を考える−写真から読み解く」
14:30-14:40  休憩
14:40-16:10  実習3「ロールプレイング・ダム開発を考える」
16:10-16:50  アンケート実施、
修了式「国際協力博士号」授与
17:00     解散

仮想通貨を使って国際経済の仕組みを学ぶ

午前の部

当日は、まず、科研費及びひらめき☆ときめきサイエンスの趣旨、そしてこれまで阪南大学で開催されたひらめき☆ときめきサイエンス講座について説明。
その後、自分の世界観を知るために受講生のみなさんに世界地図を描いてもらいました。受講生自身が世界について、少なくとも地理的な把握が大雑把であり、不正確なこと、また、いびつな世界地図しか描けないことに気づいてもらいました。その上で、世界と自分の距離を縮めるために、データと画像を活用しながら、世界の開発問題について講義を行いました。最初は緊張気味であった参加者も和やかな感じになり、明るい雰囲気で進めることができました。
次に、貿易ゲームの実習では、受講生を4つのグループに分けて、仮想通貨を使用。モノを生産し、取引を行うことによって、貿易の仕組みを学ぶとともに、国際経済秩序に存在する不公正な仕組みについて理解をしてもらいました。また、「フェアトレード」のあり方やその課題について分かりやすく解説しました。

開発援助による途上国の経済発展と影響を学ぶ

午後の部

昼食後は、講師がこれまでの科研費で実施した現地調査によって撮影した開発と環境の状況を示す写真を数多く用いて、そこから何が読み取れるか、その背景にある問題について、受講生の洞察力と想像力を養うプログラムを行いました。

次の実習では、国際協力、とくに世界銀行の開発援助によって開発途上国に作られる巨大ダム、橋、発電所などが途上国の経済発展と現地の人々にどのような影響を与えているかを、講師が現地で調査したデータならびに数多くの写真などを駆使して紹介しました。さらに、開発協力におけるプロジェクト・サイクルに沿って、関係するアクターを、政治家、国際公務員、現地政府役人、現地建設業者、先住民、現地住民、メディア、先進国市民等に分けて、それぞれ異なる立場を参加者に演じてステートメントを読むことによって、当事者の心情を疑似体験してもらいました。最後に、市民として日常生活でどのような行動を取れるか、いくつかの選択肢を示したカードを使ってダイヤグラムを作成し、議論をしました。

今回の講座では、開発途上国と先進国における様々な問題を、「開発と環境」「参加型学習」「対話」をキーワードに、参加者の考える力、問題解決能力を育成することが大きな目的でしたが、身近なことから国際協力に参加できるという思いが、この一日で芽生えたのでは、と思います。参加者にとっては有意義な一日になったことでしょう。最後に、修了者には「国際協力博士号」を授与し、締めくくりとしました。