経営情報学部 三好ゼミでは,ヤマハ(株)から提供いただいている平面スピーカを用いた避難誘導の可能性について,種々の実験を通して検証しています.昨年度は,走査される音響刺激の走査方向が認識できるか,認識できるとするとどのような走査方法がより走査方向を認識しやすいかについて検証し,ヤマハ担当者に報告を行いました.走査音の走査方向が高い割合で認識できることを検証したことを踏まえて,
  1. 多数スピーカ上で走査された音響刺激による追従可能性の検証
  2. 広域な廊下避難における音響刺激走査方法に関する検証
をテーマに検証を行ってきました.今年度1年間でえた成果を2020年2月26日にヤマハ本社で担当者に報告をおこないました.興味深い結果であるとのコメントをいただきました.今回のコメントを踏まえて,4年生での卒業研究のテーマ検討に活かせたらと考えています.

 提供されている平面スピーカは通常のダイナミックスピーカに比較して指向性の高いスピーカです.その高指向性を活かし多言語同時発信装置への活用を検討しており,平面スピーカの避難誘導への活用とは別に,その基礎的な性能評価実験の報告も併せて行いました.こちらは実験を始めたばかりで,まだ十分な成果が出ていませんので,引き続き,実験データを収集して詳細な検証を続けていく予定です.
 活動報告とあわせてヤマハ本社にある展示場「イノベーションロード」を見学させていただきました.メーカーとしての会社の使命や技術力向上への取り組み,品質維持のための技術について学びを深めました.学生にとっても,就職活動前に著名な企業に触れることができ,就職活動の参考になったと考えています.

参加学生の感想

3年 吉岡直輝

 三好ゼミでは、ヤマハ株式会社様から同社製品である紙製平面スピーカ「flatone™」をはじめとした音響機材をご提供いただき、その利用方法の検討と提案に取り組んでいます。一昨年度から音による積極的避難誘導/音による誘導可能性について研究しています。本年度は災害時、屋内の天井に設置されたスピーカでの避難誘導を想定した実験を実施しました。
 それらを取りまとめ静岡県浜松市にあるヤマハ株式会社本社を訪問し、学生2チームによる避難に関する研究成果の報告を行うとともに、三好教授から多言語発信装置に関する報告がなされていました。報告会に参加いただいた担当者様からの講評では発表に関するご指導や、スピーカの特性を考慮したうえで今後検討すべき課題、音による誘導可能性検証として本年度とは異なる実験方法の提案など貴重なご意見を賜りました。加えて「flatone™」の実用化に向けた現状の取り組み、普及に向けた構想についてもお聞きすることができました。

3年 渡邊 開

 三好ゼミで行った一年間の活動報告をするため、昨年に引き続き今年もヤマハ本社に訪問させていただきました。まず、ヤマハの本社に向かい、楽器、ヤマハの歴史、楽器の製作技術、最新技術などが展示されている、INNOVATION ROADを見学させていただき、ヤマハの歴史や技術を知り、あらためて素晴らし企業と関われていることを実感することができました。
 その後ミーティングルームにて発表を行いました。今回の発表に向け3人のチームで「走査音を用いた誘導システムの実環境への実装方法の検討」について、昨年の12月に行われた5学部発表会の準備を含め、約4ヶ月このグループで取り組みました。長期的に一つの課題に取り組み、ヤマハ本社で発表できたことは、自分にとってとてもいい経験になりました。今回の活動で得た経験を社会に出た時に活かしていきたいと思います。

3年 中園 和希

 私達はヤマハから提供していただいている薄型平面スピーカ「flatone」の研究成果を本社に訪問し、発表してきました。本社に着いてからは、初めにヤマハの歴史を展示しているイノベーションロードを見学しました。ピアノやギターの内部構造や、制作するに際してのこだわりなどについて知ることができました。細部に対しても徹底的にこだわり、技術的な探求の結果としての製品群が、今のヤマハ製品の人気や信頼性を保証していることを実感しました。また創業時から今に至るまでの商品などの展示がありました。私は個人的に「ヤマハ発動機株式会社」がどのようにして生まれたのか気になっていたのでその経緯が知れて良かったです。見学が終わってから私達の研究成果を発表し、次の実験についての音の特性や聴覚特性を踏まえた講評,助言を頂きました。これらを参考にして今後の研究に頑張って取り組みたいと思います。

3年 井ノ口千尋

 静岡県浜松市にあるヤマハ本社に訪問させて頂きました。まず、企業ミュージアムである「イノベーションロード」を見学させて頂きました。ヤマハの歴史、またそこから未来へ歩み続ける挑戦の道のりを見て、聞いて、触れてと実際に体験しながら感じることができました。高価なグランドピアノも実際に弾くことができ貴重な体験となりました。その後、ヤマハの担当の方に対して、ゼミの活動で取り組んできた事について発表しました。テーマは,「走査音に追従するシステムの広域展開時の走査方法の検証」について発表しました。対象地区が広域の場合は,対象地区を区分した範囲で誘導音を巡回して走査する必要があるため、走査サイクル、走査音の明確化のため単発・重複発信を要因とする検証を行いました。担当者の方からは、音響刺激は,反射したり回折したりするので,実験環境に強く依存する可能性があるとのコメントいただくとともに、反射の影響のない屋外での検証についても話題になりました。専門家からの新しい視点の講評を基に卒論に取り組んでいきたいと思います。