経済学部豆本ゼミでは、例年、フィールドワークを中心に据えたゼミ活動を行ってきました。2021年度に関しては、コロナ渦の渦中ということもあり、ソーシャルディスタンスの確保や可能な限りの感染防止対策を行ったうえで、フィールドワーク活動を行いました。
 12月8日には、クリーニング業とコインランドリー業を営む株式会社小森クリーニング商会(堺市堺区)を訪問し、主としてコインランドリー業界の現状について代表取締役の小森氏にお話を伺いました。通常、コインランドリーに設置してある業務用洗濯機は新品で10年、中古だと5年で入れ替えになります。その間に投資した分を回収しなくはならないため、いかに効率的に集客を行うかが肝であり、そこで何よりも重要なのが立地であるとのことです。小森氏の経験則では、大阪市郊外では駐車場付きの立地が必須であり、また無人ではなくスタッフがいる方が安心感があり、売り上げが良いとのことでした。同社はクリーニング業も行っているのでコインランドリーを併設することでこの条件をクリアしているとのことです。
 最近では電話で予約をして、専用の受取ボックスで洗濯物を受け取る非接触サービスも出てきているとのこと。これは業者が洗濯機から受取ボックスに移すことで、洗濯機に洗濯物を入れっぱなしになることを防ぐためでもあるとのことです。また、また、コインランドリーのキャッシュレス化はコストもかかるし、主要な利用者である高齢者に忌避されがちなので導入には否定的とのことでした。
 12月17日には大阪市浪速区にあるヘルシー温泉タテバ(大阪市浪速区)を訪問し、大阪における銭湯業界の現状についてお話を伺いました。代表取締役である西田氏によると、同社は1949年に大阪で創業。創業者である同氏の父親は石川県小松市の出身であり、当時、大阪での銭湯経営が儲かるとの同郷者からの話を聞き、大阪に出てきて創業したとのこと。そのため現在でも、大阪の銭湯経営者の9割近くが石川県小松市にルーツをもっているとのことでした。当時は、半径五百メートル以内に一軒銭湯があるほど多くあった銭湯も今ではかなり減少し大阪市内で300店ほどしか残っていないとのことでした。
 銭湯が減少した大きな理由としては、各家庭に風呂が普及したことに加え、当時また多く残っており銭湯の上客でもあった長屋が阪神淡路大震災で多数倒壊し、(住み替えで)銭湯の客足が一気に減少したとのことです。同社でも今後のことを考え、日焼けサロンを銭湯に併設しているそうです。非常に多くの貴重な話を伺うことができました。
(今回の調査では、阪南大学学会の補助を受けて実施しました)。